15、女
ある日、街で出会った大人の女性。彼女の目的は何?
今回のストーリー要素
サバイバル ★☆☆
感情度 ★☆☆
危険度 ★★★(女との出会い)
ほっこり度 ☆☆☆
タケシはこの日、飲み屋街でターゲットを絞ったらマリを飲食店のごみ置き場に隠し、塾通いの小学生を装ってターゲットに近付いた。
狙うのは会社終わりに飲み歩く団体で、その中の2番目くらいに年配の男性にターゲットを絞った。
団体行動の男性を狙うのは見つかれば袋叩きにあうリスクもあるが、油断も多いので失敗する確率も低い。タケシは背が低い方だから実年齢より2歳ほど若く見え、幼い格好をすれば誰もがちいさな子供だと油断した。
ターゲットの男性に思いっきりぶつかって、地面に自分のカバンの物をぶちまける。
できるだけ遠くまで広がるようにスーパーボールや小さな文房具、小銭をぶちまけると大人たちは誰もが親切に拾い集めてくれて注意が散漫する。
その隙に3人まとめて財布を抜き取り、そこから現金を半分ほど抜いて戻す。
後で財布の現金が多少減っていることに気付いたとしても誰もが酔っ払っていてどこかで払い間違えをしたくらいにしか思わなかった。
そのような技術をいくつか持っており、年齢や場所柄を考えてその都度作戦を変えた。
いつものように飲み屋街でいくつかのスリを行い、マリの元へ戻ろうとした時、後ろから声を掛けられた。
「きみ、お金落としたよ。」
咄嗟の事で不覚にも後ろを振り向いてしまった。
背後には若くて背の低い女性が立っていた。
そしてタケシの後ろには5千円札が落ちていた。
「僕のじゃありません。」
と言って急いで立ち去ろうとしたタケシにその女性は
「話したいことがあるんだけど着いてきてくれる?」というと背を向けて歩き出した。
その女性から逃げようと思えば簡単だった。一瞬、迷った。
その時、ごみ置き場に隠してきたはずのマリが居酒屋の看板の影からタケシに目で合図を送った。そのマリの合図でタケシはその女に付いていく覚悟を決める。
その女の後ろを一定の距離をあけてついて行くとマリもその後ろを隠れて着いて来た。
その女性はタケシを店の外にテーブルを出す居酒屋に連れて行き、自分は酎ハイを頼み、タケシにはコーラをそして焼き鳥やポテトフライも一緒に注文した。
その女性はタケシを見てやさしく笑っていたが、彼女の一言目に発した言葉にタケシは絶句した。
「よくあの島から半グレ達を追い出したわね。その度胸とスリのテクニックを買ってあなたにお願いしたい仕事があるんだけど興味はある?」
タケシはマリを絶対的に信じていた。この女性は確かに悪い大人のひとりであるはずだが、それは社会にとっての悪であって自分たちにとっての悪ではないはずだ。
それに今のやり方だけで現金を奪うことには限界があり、もっと大きな物を狙いたいと思っていた。
それは生活の為というよりスリルが目的だった。
そして自分の能力を認めてくれて仕事をくれると言うこの女性の事を信用してみようと思った。
〈〈 次回、情報屋とはどんな仕事なのか。ご期待ください。〉〉
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