第五話 ホール・ホラー
日曜日の夕方、僕はテレビでママを見ていた。
ママはタヨタ自動車のキャンペーンガールをずっとやっている。
今年で20年目なんだって。
とても38歳には見えない、どう見ても20歳ぐらいにしか見えない。
でも、僕たち家族だけは知っている。
ママはお腹の真ん中に大きな傷痕がある。
だからビキニとかお腹を出すのはダメでワンピースのハイレグを着ている。
美容手術で消せると言われたけど、僕を産んだときの傷痕だから消したくないと言って残している。
僕は見た目意外に取り柄の無い駄目人間だ。
本当にママの子供なのか悩んだこともあるけど、どこから見ても血がつながっているようにしか見えないと言われた。
鏡を見てもよく似ている。
僕が美少年なのはママが世界一の美女だからだ。
ということは…
ダメ人間なのはパパの遺伝子って事になるんだけど。
僕のパパに関してはよくわからない。
一応、パパには映画俳優の肩書きがある。
ママの主演映画でメインキャストの一人を務めているからだ。
でも、これって、ママの恋人ってだけでキャスティングされただけだよね。
ママの息子ってだけでテレビに出演してる今の僕と同じじゃないか。
パパは山田五郎という名前の日本人。
ママよりかなり年上で定職に就いたことの無い中卒のフリーター。
テレビ番組の企画で知り合って付き合い始めて僕を妊娠。
それから農作業中にトラクターに巻き込まれて死んじゃった。
どう考えてもママと釣り合わない駄目人間にしか見えない。
もしかして、ママ好みの美形だったのかと思ったんだけど…
写真を見ても美形には見えない…
しかもハゲてるし、僕もハゲるのかな。
僕が駄目人間である客観的事実を説明できるから間違いないんだろうけど。
なんで、ママはそんな男と付き合って僕を妊娠したの?
テレビのチャンネルを変えるとアイドルグループが歌っている。
元々はママの為に作られた芸能プロダクションKGB48、その稼ぎ頭のアイドルグループもKGB48を名乗っている。
小学五年生からセンターを務めているのが四恩だ。
中学二年にして日本のトップアイドルになっている。
そして、作詞作曲家で振付師もある。
KGB48の楽曲は全て四恩が作詞作曲しているしダンスも四恩が指導している。
僕を始め四恩が作ってくれた曲を歌っている芸能人は沢山いる。
「坊ちゃま紅茶をどうぞ」メイド服姿の三久が紅茶を煎れてくれた。
「一美はどうしてるのかな?」
「特訓に出かけたよ」
「一体どこで何の特訓をしてるんだろ?」
「昨日は出版社の美咲社長の所だったけど今日はブルーウッドのタチアナ社長の所へ行ってる」
「今日の特訓ってパソコンの使い方なの?」
「エロゲーヒロインの勉強じゃない」
「グェ、ゴホ」僕は紅茶をむせてしまった。
「坊ちゃまがエロゲー主人公だからカズねえもエローゲーヒロイン目指してるんだよ」
僕は三久が14歳でエロゲーに詳しいのが不安になっている「三久がエロゲーの開発に関わっていることは秘密だからね」
「大丈夫、私が作ってるのは音声合成エンジンとか会話AIとかモーションAIでエロ絵とかエロテキストじゃ無いからセーフ」
「それにブルーウッドは全年齢対象ゲームも売ってるし、そっちにも使ってるから問題ないよ」
僕はちょっと心配になった「そうだよね、大丈夫だよね」
三久はノートパソコンを広げてソフトを起動した。
「それはそうと三久が作った新しい音声合成ソフト聞いてください」
三久はこの年で数学の未解決問題を解いて統計解析から人工知能開発までこなす天才だ、問題はその能力がエロゲー開発に使われている…
建前はエロゲーにも使えるソフトウエアの部品だからセーフなんだけど。
「あっはぁん、いやあぁん、ヌル、ジュポ、ぐちゅぐちゅ」
ノートパソコンからあえぎ声とかエロい音が流れてきた。
全て合成されたモノなのにすさまじくエロい。
いや、計算され尽くして作られた人工物だからこそ本物以上にエロいのかもしれない。
僕は勃起しないように心を無にしてやり過ごそうとしてるんだけど…
だめだ、エロが脳内に流れ込んで浸食してくる。
僕が耐えていると普段はざっくばらんに喋る三久が丁寧にお願いした。
「新製品の試作品を作ったので坊ちゃまに試して頂けませんでしょうか」
僕が条件反射でうなずくと何かを取りに行った。
僕は三久が運んできた物体を見て目が点になった。
人間の下半身だけの実物大人形
「それって…」
「開発中のエロゲー用スペシャルオプションだよ」
「お尻の穴もリアルに再現して両方とも使えるよ」
三久はお尻の部分を広げて見せた。
樹脂で人間そっくりに作られている。
触ってみると柔らかくて温かくて人間の体みたいだ。
「三久運んであげたわよ」
僕が作り物の尻を撫でているとベテランメイドのヴァルヴァラがエロゲーヒロインの実物大人形と大きな立て板を担いで持ってきた。
ヴァルヴァラってエロゲーみたいにピンク色の髪の毛してるんだけど珍しい地毛らしい。
ヴァルヴァラは居間に人形と板を置くと戻っていった。
メイド服を着たエロゲーヒロインの実物大人形はツインテールで三久にそっくりだった。
三久がゲームのコントローラーを手にすると人形が動いた。
「コレってロボットなの、さすがに二足歩行は無理だから台座に固定されて動けないけどね」
「これって定価いくらなの?」
「このままだと600万円ぐらいしちゃうから市販は無理、数学ミレニアム問題の懸賞金で作っちゃった」
「なんて無駄遣いしてるの!」
「奥様が節約するぐらいなら稼げって仰ってるじゃない」
「200万円ぐらいにしかならなかったけどフィールズ賞の賞金も入ったから大丈夫だよ」
「それにアーベル賞狙いでコラッツ予想を証明する論文がActa Mathematicaにアクセプトされたから賞金期待してるし」
数学って中学生でもお手軽に賞金が稼げるんだ…
さっきから流れ続けている音声合成エンジンのエロ音声がうるさい…
三久は大きな板を床に立てるとそこに下半身人形を取り付けて板にエロゲーヒロインのポスターを貼った。
「こうすればエロゲーヒロインと三次元で出来る夢のデバイスだよ」「コッチなら30万円ぐらいで市販できちゃう」
三久は人形と同じように四つん這いになってスカートをめくって白いパンツを見せると宣言した。
「究極の二択です」
「坊ちゃまは人形と姦るか三久と姦るかどっちか選ばないといけません」
僕は三久の悪ふざけに呆れた。
「あーっ、はい、はい、僕に新製品のモニターヤレって言うのね」
「大正解!」
僕は三久を冷たく突き放した。
「恥ずかしいからあっち行って」
僕の冷たいあしらいに三久はド正論どまんなかにぶち込んできた。
「私の目の前でカズねえとフタねえ犯してるのに見られたら恥ずかしいの?」
僕は痛恨の一撃を食らって心が瀕死になった。
「一美も二葉も僕とやったことは忘れて欲しいんだよ」
三久は下半身だけの人形を指さして宣告した。
「じゃっ、そういうことでコレが坊ちゃま専用の穴です」
そうか、三久はお姉さん達が犯されるのが耐えられなくて遠回しにオモチャで我慢しろって言いたかったんだ。
僕に相応しい穴はコレだ一美を穴にしちゃいけないコレを使おう。
僕は三久にお礼を言った。
「ありがたく使わせて貰うよ」
三久はパソコンを手にすると「セッティングするからちょっと後ろを向いてください」と言った。
僕は後ろを向いて準備が終わるのを待った。
一分もすると三久が声をかけた「準備できましたどうぞ」
僕はズボンとパンツを下ろすと床に立てた板に固定された人形に挿入した。
何かが破けたような気がするけどデカチン過ぎて樹脂が裂けたのかな?
ちょっとキツいけど僕がデカチンすぎるせいかな。
僕専用ならもう少しユルくてもいい気がする。
使っているうちにいい感じになじんできた。
「気持ちいい」
「うん、僕に相応しい穴はコレだよ、僕はコレでいいんだ」
僕は目の前に立っている板に貼り付けられた実在しない女のエロ絵に興奮した。
相手のことを気にせずに出来る穴って楽でいい。
気持ちよくなって遠慮無く穴の中に沢山出した。
「すごく気持ちよかった、ありがとう」
僕がお礼を言って三久の方を振り向くと異常に気付いた。
少し離れた場所に立っている三久だと思っていたのは実物大エロゲーヒロインの人形だった。
あれ、三久はどこにと思って周囲を見渡してもいない。
尻からナニを抜くと白い精液と混ざった赤いモノがたれてビックと動いた。
嫌な予感がして周囲を見回すと居間の床に布をかけられた見慣れない物体が落ちている。
布を取るとそれは今やっていたはずの下半身…
ふと、振り返ると床に立てた板の向こう側には上半身もあった…
「ひぃぃぃぃ、、、、」あまりのホラーに僕は悲鳴を上げた
手品の種明かしみたいに三久は床に立てた板の穴から抜け出した。
種明かしをされた僕は何が起きていたのかやっと理解した。
「坊ちゃまに相応しい穴は三久だよね」
僕は必死で叫んだ「違う今のは事故、錯誤無効だ」
「うん、今のは肉オナホを使っただけって事でいいよ」
三久は丸出しの下半身の股間を指で左右に広げて血と精液が混ざった液体がビチャッと床に落ちる所を見せつけながら宣言した。
「でも、僕に相応しい穴はコレだって言ったの忘れないから」
僕が出した白いモノが赤くなって床に落ちている。
僕は流血ホラーに耐えきれずに逃げ出して自分の部屋に引きこもった。
翌朝、ママが僕に伝えた。
「一美ちゃんはアレクセイの好みに合うように調教してるから週末まで待ってあげてね」
ママがナニを考えているのか判らない一美は本当に大丈夫なんだろうか?
三久は昨日の出来事がエロゲーの中のことだったみたいに普通にしている。
四姉妹は少しも気にしている様子が無くて昔と何も変わっていない。
いつも通りにみんなで登校したのが逆にホラーで怖い!
今日も一美は学校の隣の席で僕をじっと見つめている…
一美が小さく呟いた「土曜日までお待ちください、三久より優れた穴になって見せます」
三久と姦っちゃったの知ってるんだ…