第四話 お小遣いと便器
学校へ行こうとすると三千代が一美を呼び止めて封筒を渡した。
「今月のお小遣いです大切に使いなさい」
一美が中を確かめると一万円札が五枚入っているみたいだった。
高校一年生としては少なくない方かな?
二葉と三久と四恩も中学の制服を着て一緒に登校する。
僕たちの学校は小中高一貫校で中学の校舎は隣だからだ。
みんな一美と二葉が姦られたことなんか無かったみたいにいつも通り普通にしている。
いや、アレって逆レイプで犯されたのは僕なのかな?
それより早く学校に行ってトイレ…
学校へ向かう道すがら一美は妹たちに問いかけた。
「みんなはお小遣いはいくら貰ってるの?」
三久が変な顔をした「お母さんからお小遣い貰ってるのカズねえだけだよ」
四恩も変な顔をしている「ウチで無収入なの一美姉様だけですけど」
二葉は短冊に筆ペンで書いて見せた「お母さんの扶養 一美だけ」
一美は驚いて印象派芸術みたいな顔になっている。
僕は状況を理解して一美に説明した「一美って五年ぶりに帰ってきたから知らないんだよね」
一美は表情が死んだ顔で僕に向き直った「どういう意味ですか?」
「二葉は本の印税だけで年収が億いってるし、三久は数学のミレニアム懸賞問題を解いた賞金100万ドルが振り込まれて三千代の扶養から外れちゃったんだ」
「四恩は芸能活動の収入が結構あるから」
「みんな稼いでるの?」
三久はツッコミを入れた「だからウチで無収入なのカズねえだけだってば」
「坊ちゃまは?」
「えっと、その…ママのおかげで印税とか出演料とか結構あるんだ…」「それと…一応…イリーナ・グループの大株主だから配当金とか…」「全部ママの力だから僕の実力じゃ無いんだけどね…」
一美は何かに絶望したような顔でうつむいてしまった。なんか足元もフラフラしている。
僕はマズいと思って擁護した。
「まって、一美は16歳の女子高生なんだよ、まだ入学したばっかりじゃないか」
「世間じゃ無収入なの普通だよ、お母さんからお小遣い貰ってるの普通だよ!」
四恩が追い打ちをかけた「一美姉様がアメリカで医大に通うための学費は全部奥様が出してくださいましたよね」
三久も容赦ない「飛び級して節約しても三千万円以上消えてるよね」
一美は瀕死の声で問いかけてきた「坊ちゃま…私は三千万円分の価値がある肉便器でしょうか…」
ココで一美を全肯定できなかったら僕たちの関係はおしまいだ。
「もちろんだよ、一美は最高の美女じゃないか」
僕の言葉を聞いた一美は死にそうな声で訴えた。
「今朝…肉便器をお使い頂けなかったのは…私が糞ザコマンコだからですか…」
僕は必死で叫んだ。
「違うよ、一美はスレンダーで足が長くてモデル体型の絶世の美女だよ」
「長い黒髪が綺麗だし8頭身美女じゃないか」
僕の言葉に一美が生気を取り戻しかけているのが見えた。
その時、四恩がヘアピンを抜いて頭の後ろのおだんごをほどいた。
綺麗な黒髪をフッサアと風になびかせた。
四恩の黒髪が眩しい、さすがアイドルグループKGB48のセンターを務めるトップアイドルだ。
周囲の人達が注目して眩しさに恍惚としている。
僕が四恩に見とれたのに一美が絶望的な顔をした…
一美は小さな声で呟いた「私も何か稼がないと…」
僕は何かフォローしようと考えた「一美には医師免許があるじゃないか一番稼げる資格だよね」
一美は死にそうな顔で答えた「アメリカの免許なので日本で使えません」
僕は必死でフォローを考えた「予備試験うけて日本の国家試験も受験するんだよね」
二葉が短冊に書いて見せた「医師法第三条 未成年者には、免許を与えない」
三久がツッコミを入れた「日本は試験に合格してもハタチにならないとダメなの」
一美が暗い顔で呟いている「無収入の役立たず…役に立たない糞ザコマンコ…」
僕は必死で叫んで擁護した。
「まって、高校一年生はソレが普通だから、普通の16歳は稼ぎなんか無いのが普通だから」
「私だけ坊ちゃまに貢ぐお金が無い…」
「逆だよ何でも僕が貢ぐよ、一美の初めてを貰ったんだからそれぐらい当然だよ」
「二葉にもですか?」
僕は二葉をチラ見して誤魔化した「もちろんだよ僕たちは兄妹同然に育った家族じゃないか長男の僕がなんでも買ってあげるよ」
「順番から言えば私が長女で坊ちゃまが次男ですよね」
「僕たち誕生日同じだよね、一美は四時間ぐらい先に生まれただけじゃないか」
四恩がいいことを言ってくれた「坊ちゃまと一美姉様は双子みたいな関係ですね」
「そう、そう、どっちが上とか誤差の範囲だよ」
三久も話を合わせてくれた。
「まあ、フタねえと私も双子と間違えられるよね」
「フタねえが1998年4月11日産まれで三久が1999年3月25日だからギリで学年同じになったからね」
「11ヶ月と14日差の姉妹なんてお母さんとお父さん、私達作るの頑張りすぎだよ」
「四恩の誕生日が3月12日」
「三久が3月25日」
「カズねえと坊ちゃまが4月9日」
「フタねえが4月11日」
「すごいよね、ウチって一ヶ月に誕生日が詰まってる」
あっ、そういえば一美にプレゼントするつもりで買ったアレを贈り損ねてる…
二葉のプレゼントも用意しておいたのに…
三人とも普通に通学路ではしゃいでいる女子中学生だ、どうみても二葉は昨日の夜に犯されて酷い目に遭ったようには見えない。
三久と四恩も姉二人が目の前で犯された事を気にしているようには見えない。
隣を無言で歩いている一美を見ると顔色が悪いけど大丈夫かな?
えっと、原因は一つしか無いよね…自分の処女を奪っておきながら妹まで犯してるなんて気分が悪くなるに決まってるよね。
一美がフラフラと地面に手を突いて倒れた。
通学路に集まっている生徒が一美に注目してる。
助け起こそうとすると大変なことに気付いた、今日はノーパンなんだ、地面に手を突いて四つん這いになってるから後ろからモロに見えちゃってる…
後ろで女子生徒が手を合わせて拝んでる…
「一美ちゃん朝から御開帳だね」「いやーピンク色で綺麗だね、眼福です」
「瞳子さん!」
「アレクセイ君、そのまま首輪付けて四つ足で登校させる気なのかな?」「朝から御盛んだね」
僕は全否定で叫んだ「違います!」
あっ、同じクラスの男子生徒がぶち切れそうな怖い顔で睨んでる。
たしか本田君だっけ…
坊主頭から湯気が昇る幻覚が見えて僕を殴りたい殺気が突き刺さる。
僕たちが心配していると一美はフラフラと立ち上がり小中高の生徒が大勢歩いている通学路の真ん中で大声で叫んだ。
「あと8日、8日だけお待ちください」
「必ず坊ちゃまに相応しい性欲処理の穴になって見せます!」
もうダメだ一美は僕が憎くて社会的に抹殺する気なんだ。
あれ、三人が何かヒソヒソと相談している。
二葉が和紙の短冊に筆ペンで書いてよこした。
「今すぐ一美にオシッコ飲ませろ」
なんだコレは、今すぐやらなければ一美が死ぬみたいな気迫が込められている。
三人が僕と一美を通学路わきの草むらへ連れ込んだ。
四恩が謎に急かしている「一美姉様はやく」
|三久が僕の社会の窓を開けてアレを引っ張り出した。
「私にはまだ坊ちゃまのモノを咥える資格が…」一美は謎の遠慮をしている。
一体何がどうなってるの?
「坊ちゃま早くオシッコ出して」三久が急かしてくる。
二葉が一美の額に「小便器」と書いた短冊を貼り付けた。
ずっと我慢していた僕はなんだかココに出さなきゃいけない気がして放尿してしまった。
一美は大きく口を開けて僕のアレに口を付けないように一滴もこぼさずに飲んだ。
飲み終わると死にそうな顔がどこかへ行ってしまい恍惚とした満足そうな顔になっていた。
僕は何が起きたのか分からずとりあえずアレを収納してチャックを閉めた。
一美は「肉便器をご利用頂きありがとうございました」と丁寧にお礼を言うと完全に生気を取り戻したみたいでしっかりした足取りで学校へ向かった。
あれ、もしかして脱水症状だったの?
何がどうなったのか分からないけど一美は元気になってくれた。
それから、夜になって夕食前にママに怒られた。
ママが僕をこんなに強く怒ったのは初めてだ。
一美が具合が悪かったのは朝食抜きだったからだって。
そこまでは理解出来るんだけど…
なんで一美の朝食が僕の排泄物なの?
僕は訳が分からないままママに怒られて翌朝から一美を肉便器として使うようになってしまった。
最大の問題は…どうみても一美が喜んでいるようにしか見えない。
一美はアメリカにいる間に特殊性癖に目覚めちゃってたのかな…