分岐点
「おい!カルロ!!いつまでサボってるんだ」
遠くから父さんの声が聞こえる。
「はいはい、父さん今からするところですよ」
そう叫んで俺は背伸びをした。
俺は代々農家営んでいる家の一人息子だ。
だからこうして常に手伝いをさせられている。
「はあ、またバレちまった。毎日毎日農作業の連続だ。ゆっくり気ままに過ごしたいのに肉体労働ばっかりで嫌になっちまう。」
俺はそう思いながらゆっくりと父さんの方へ向かう。
「カルロ、あなたももうすぐ15歳になるんですよ。いつまでも怠けてたら成人の儀で神様からろくなスキルをもらえないわよ」
「はあ」
母さんからも小言を言われてしまった。母さんが言った成人の儀とは15歳になると全員、近くの神殿に行ってお祈りをしするのだ。そこで神様からスキルをもらうことになる。
このスキルによって億万長者になったり王宮へ仕えたりと人生が変わる人たちがいる。
まあ大抵の人は、日頃から生活で行なっているスキルや使えないスキルなどをもらうのが普通だ。
「俺は楽して生きたいだけ。なにもレアスキルなんて望んでない。そう、何も働かずにお金が手に入るスキルなんかあったらなあ~」
そう言いながら今日も親の手伝いで畑を耕していく。
成人式まで残り1日となった日、俺は成人の儀がある都市部へ向かうために家を出た。
母さんが相変わらず心配で
「カルロ、しっかり荷物はもった?忘れ物はない?」
「大丈夫さ、母さん。カルロだってもう大人さ。心配しすぎさ」
「父さんの言う通りだよ、母さん。準備万端だよ!忘れ物も何度も確認したよ!もう大丈夫だよ。そろそろ行ってくるよ!行ってきます!」
「「行ってらっしゃい」」
両親の声を背に俺は
成人式まで残り1日となった日に成人の儀がある都市部へ向かうために家を出た。
そうしてカルロはのちに世界に名を轟かす一歩を歩んだのだった。