目
夜、風の強い夜、僕はベッドに横たわっていた。
この意識は夢の中なのか、それとも現実か区別がつかない。
カーテンの隙間からは、白い街灯の人工的な光が差し込む。
風が強い。
自分の感覚が研ぎ澄まされている。
何気なく、ベッドとは対角にある扉の方を見る。
ドアは半開きになっていて、隙間から何かがのぞいている。
それはまさにのぞくという表現がぴったりなものだった。
「目」。
誰かの目があった。
ただ、大きさは僕たちが持っているものと段違いに大きい。
胸あたりの高さまでありそうだ。
僕はこの段階でこれは夢だろうと断定した。
ここは現実ではないと確信するともう恐怖感はなく、興味のみが湧き上がる。
「目」はひとつ瞬きする。
それに触れてみたらどうなるだろう。
触れてみたいという思いが湧き上がる。ただ、ベッドから立ち上がるには面倒だ。
じゃあ、何か投げてみよう、そう思うのに時間は掛からなかった。
ベッド脇のテーブル、小さいテーブルからダーツの矢を一つ手に持つ。
特に狙いを定めずに、矢を放つ。
10点を獲得。
僕はそこで目を覚ます。
そこで夢は終わる。
さぁ、これから目を開けよう。