光へ
そう懇願する最中白髪の顔を見るのが怖かった
下を向き、返事を待っているとぽたっと雫が落ちて畳に吸い込まれていく
何事かと顔を上げると、白髪が綺麗なまつ毛を震わせ瞳には涙を浮かべている
言葉は無い、けれど確かに頷いた
赤「いいのか?俺と一緒で……。」
不安だった
涙を浮かべ頷くだけなのは一緒に来てくれるということなのか
はたまた、あの日連れていかれたように無理だと言われるのではないかと
だが、そんな不安は次の言葉で打ち消された
白「ずっと一緒だと言ったじゃないか。」
そう言いながら濡れた瞳で微笑み
白「一緒に連れて行ってくれ。」
確かにそう言った
そうこうしていると準備の時よりも店の中が騒がしい気がして襖を開けて様子を伺おうとした時
「新撰組局長、近藤勇!御用改めである!」
よく通る威勢のいい声が響き渡り店の中は大混乱に陥る
時間が来たのだ
白「え、何がおきてるの?」
困惑するのも当然だろう
赤「あいつらは俺らの味方だ。御館様を捕え、売られていた男達は保護される。今のうちに俺らはここから逃げるんだ!」
そう話し手を握り「行こう」と促す
それに答えるようにしっかりと頷く白髪
二人は手を繋ぎ混乱の中走り抜ける
一瞬永倉と目が合っい頷き合う
永「よし、行けー!!」
と走る背中に声が届く
その言葉に背中を押されるように店から抜け出してもなお走り続けた