2/19[春:正月中気] 雨水
「あれ? 今日は雨か…… 」
一昨日には積もるほどの雪が降ったというのに、
寒さもピークを越えたのか、朝からみぞれ交じりの雨模様だ。
雪なら、フードをかぶれば傘を差すことはなかったんだが、
雨となるとそういう訳にはいかない。
雲行きからして止む気配はなく、すぐ雪に変わるとも思えない。
(傘は邪魔になるからなぁ…)
鬱陶しく思いながら、ドアの脇に立てかけてあった傘を手に取る。
「――ほこりまみれだ…」
もう2ヵ月も使ってなかった。
自分の紺色の傘と、もう一つの赤い傘と。
雨が降ると積もった雪が融け始める。
雪の下のその下の、土の中で眠っていた野の草花がもうすぐ芽吹く。
フクジュソウ、カタクリ、オオイヌノフグリ、…
――モノクロの世界を、いち早く彩る
ふきのとう、こごみ、つくし、…
――ほろ苦い春の味覚、大人の味
雪解け水が野山を潤し、新たな恵みの源となる。
大地が次の季節に向かって動き出す。
雨は心に積もった想いも、洗い流してくれる。
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♪冷たい雨(荒井由実)
彼の部屋を飛び出した彼女と、
彼女の隙間を別の娘で埋めた彼。
雨の中、彼女の選択肢は「戻る」ことだけ。
対して、彼が選んだ道は…。
心に冷たい雨が降り続く中、彼女はまた歩き出す。
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雨水
├ 太陽黄経:330°
├ グレゴリオ暦:2月18-19日
└ 七十二候
├ 初候:土脉潤起
├ 次候:霞始靆
└ 末候:草木萌動