9/8[秋:八月節気] 白露
3月下旬に、今年一番早くにやって来たツバメが滞在場所に選んだのは、駅構内にアナウンスを流すスピーカーの上だった。
何気に巣作りを眺めていたすぐ隣で、同じように見上げていた少女。それが僕と君との出会いだった。
物静かな雰囲気の少女だった。
隣で、同じツバメの巣を見ているのに、君の視線はどこか遠くを見ているような、なぜかそんな気がした。
それからツバメはどんどんやって来て、駅の周辺は飛び交うツバメたちで賑やかになった。
僕は毎日、朝と夕方、電車に乗る前と降りたあと、少しの時間だけれどツバメを眺めていた。
君は、毎日ではないけれど、ふと気づくと隣にいて、ふと気づくといなくなっていた。
やがてヒナが孵り、親ツバメは寸暇を惜しんでエサを運ぶようになった。
僕と君がツバメたちを眺めるようになって1ヵ月近く経ったけれど、相変わらず僕は君の名前さえ知らなかった。
子ツバメも巣立ち、お盆休みを過ぎた頃から駅周辺にツバメは次第に少なくなり、9月に入ると駅のまわりでツバメを見かける機会はすっかり減ってしまった。
そんなある日の夕方、もうすぐ暗くなるという時間に、踏切を渡って県境の川へと向かって歩く君を見つけた。
(ちょっとストーカーかな)
などと思いながら、君のあとを追った。
夕焼けの残る広い川原の上空には、数え切れないほどのツバメたちが飛び交っていた。
「あの子たちの塒よ」
君の声を初めて聞いた。
「――え?!」
唐突に話しかけられ、戸惑う僕に君が続けた。
「みんなで集まって、南に向かう準備をするの。もうすぐ旅立つわ。」
君の声に思わず空を見上げると、右から左へ、上から下へ、縦横無尽に飛び回るツバメたち。
「君は……」
と視線を戻したとき、すでに君はそこにはなく、川原の真ん中を駆けていた。
それが、僕が見た君の最後の姿だった。
「また来年、春に。 必ず戻ってこいよ」
小さく、だけど力強く、僕はつぶやいた。
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♪風は秋色(松田聖子)
松田聖子の初期のシングル曲。
彼女のヒット曲の中で、実感と実績がかけ離れているように感じる曲。
彼女のTOP3のヒットの割に、扱いが低い気がする。
初期の松田聖子はしっかりと声が出ていて、ぶりっ子というラベルとは逆に、本当に歌唱力で勝負できていたと思える。
爽やかさをそのまま曲にした小田裕一郎はさすがだし、三浦徳子の詞もよく考えられている。
その後の楽曲からも見て取れるが“松田聖子”というのは本当にすごいプロジェクトだったんだと思う。
多くのスタッフ、スポンサーが出資し、その時代ヒットメーカーやビッグネームが楽曲を提供し、それを彼女が1人で演じる。
その重責は今の多人数アイドルにはとてもじゃないが荷が重いだろう。
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白露
├ 太陽黄経:165°
├ グレゴリオ暦:9月7-8日
└ 七十二候
├ 初候:草露白
├ 次候:鶺鴒鳴
└ 末候:玄鳥去




