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outlaws weapon  作者: 上平 五平
奥多摩廃工場殺人事件
4/9

1-4

どうも、上平です。

間が空いてしまいましたが、四話です。


それではどうぞ・・・・


二千二十×年 四月八日 十一時三十三分

  東京都新宿区 新大久保駅付近


 正太郎からの指令を受け、巧介と草壁は新大久保駅付近に訪れていた。

 休日の昼時という事もあって人も多く、飲飲食店からは食欲をそそる匂いが漂う。

「にしてもこんな人通り多い所に本当にいるんですか?その密輸武器関係に詳しい情報屋って」

と巧介が尋ねる。

「あぁ、今まで何回か協力してもらってな。ユージに関しては、その情報屋と飲み仲間兼同業者だ」

「にしても俺たちに情報渡してて、危ない連中に狙われたりしないんですかね」

「俺たちの事知ってるのは裏の世界でも極一部だし、逆に俺たちと贔屓にしている情報屋が消されたら、俺たちが勘付く事になるしな。」

 「それもそうか」

 そんな会話をしながら駅から西側へ進んでいくと、異国情緒溢れる街並みへ変わっていく。

 観光客寄りの街並みという寄り、飲み歩き慣れている人間が好みそうな風景に変わってきた。

 二人は飲食店が入っている雑居ビルの地下一階へと足を踏み入れた。

 階段を降りると廊下に複数の扉が並んでおり、ほとんどが飲み屋やスナックになっており、使われていないテナントになっている。昼時という事もあり、営業時間外の店がほとんどだが、草壁は気にせずに奥へ進んでいく。

 すると一番奥にある店の前で立ち止まった。

 店の扉の前はオープンの文字のネオンが点滅している。

 「えーと、これが噂の情報屋がいる店?」

 「多国籍料理屋ベッピン、ここはアジアの料理中心に旨いもんだすんだ。それにつられて人と情報が集まる」

 と草壁が言う。

 「人と情報が集まるのはいいですけど、店の中が不穏な感じで賑やかになってますけど」

 巧介の言う通り、店から普段聞こえてくるであろう笑い声やカラオケの音ではなく、明らかに罵声や何かが割れる音が聞こえる。

 「アンタラガ必要トシテル情報ナンテ無イネ。トットト帰ルヨロシイ」

 「()さん、そんな事言っていいのかな? こちらは五人、対してアンタ一人は何が出来る」

 中から片言の日本語を喋る男とそれに対し、脅迫めいた台詞で脅しをかける男の声が聞こえた。

 二人は危機を察知し、扉の外で構える。

 巧介は拳を構え、草壁は携帯している警棒を取り出し、臨戦態勢に入る。

 「はぁ、またやってるよ。あの人どうしてこうも変なのに絡まれるんだよ・・・・」

 「情報屋さん、大丈夫ですかね。情報にありつく前に死なれたらこまりますよ」 

 と巧介は草壁に尋ねる。

 「いや、この場合は相手の方が・・・・、まぁいい俺の合図で突入するぞ」

 巧介は首を縦に振った事を確認し、草壁がドアに手をかけようとした次の瞬間、二人の扉が廊下の壁まで吹き飛んだ。

 「「へ?」」

 二人は一瞬の事に状況を吞み込めなかったが、吹き飛ばされた壁の方を見ると一人の男が伸びている。恐らく片言の男を脅していた五人組の一人だろう。

 今度は店内を覗いてみると困惑している半グレ集団であろう四人とエプロン姿の男がいた。

 「お、おい! こんな強い奴なんいて聞いてねぇぞ!」

 「知るかよ!俺はただこのオヤジが裏金とか武器の入手ルートとか知ってるって噂って聞いただけで」

 男がたじろいていると、エプロン姿の男がため息をつく。

 「扉ノ修理代カカル。アンタラ弁償シテネ」

 「「「「あんたが壊したんだろ!」」」」

 (もう帰りたい・・・・)

 草壁がそんな事を考えるとエプロン姿の男が気付く。

 「アラ草壁サン、来テタノネ。連絡受ケテタ件調ベテタヨ。隣ニイルノハ噂ノ新人サン」

 「呉さん、ようやく気付いてくれたのね・・・。で、こいつら追っ払った方がいい?」

 「ウン、オ願イネ」

 草壁が呉と会話をしていると、半グレ集団たちの矛先がこちらに向いた。

 「お兄さんたち、お客さんかな?悪いけど今取り込み中なんだわ。帰んな」

 「いや、待て。この兄ちゃん、見るからにヤクザ風だ。このジジィに頼んでいる情報も武器や金になる情報かもしれねぇ」

 「で、でも本物のヤクザなら俺たちもただで済まないんじゃぁ」

 「うるせぇ! ここまでコケにされておめおめ帰れるかっつの」

 四人組がもめている姿を見て、草壁はため息をつく。

 (こいつら素人だな。これなら素手でも・・・・)

 警棒をしまい、四人組に歩みかかろうとした瞬間、巧介が腕を出し草壁を止める。

 「草壁さん、ここ俺にやらせもらってもいいですか?」

 「いいけど殺すなよ。相手は素人なんだから」

 「分かってますよ。俺がやってる鍛錬は力を制御する事がメインなの知ってるでしょ」

 「なら頼むぞ」

 巧介のたちの前に立ちはだかった。

 「何だ。俺たちの相手はガキか?」

 「見くびられたな。おい坊主、死にたくなきゃ金になる情報吐くか、半殺しにされるか選びな」

 四人組はそれぞれの武器をちらつかせながら、挑発してくる。

 「準備運動にもならなさそう・・・・・・」

 「あぁ、てめぇ今何てーーーーーー」

 一人の男が巧介の言葉に反応した。するといつの間にか巧介は男の目の前に立っており、男は全身の力が抜けたように倒れる。

 「お、おい。どうした⁉」

 「このガキ! 何かしやがった!」

 三人組になってしまった半グレ集団たちは、巧介の瞬時の行動に状況が吞み込めていない。

 (間を詰めて、拳で顎をかすめて脳震盪を狙ったか。にしても技や暗器の力を使わなくともこのレベル、巧介の持ち前の身体能力と五十幡流の鍛錬の賜物か)

 草壁は巧介の戦いを眺めながら一服する。 

 「この野郎ぉ!」

 一人の男が金属バットを振りかぶり、巧介にフルスイングで襲いかかる。

 巧介はダッキングで回避し、よろけた男の腹部目掛けて膝を入れる。

 「ぐはぁっ」

 男は悶絶しながら倒れこみ、のたうち回る。

 するともう一人の男が巧介の背後に回り、ナイフで巧介の首を狙う。

 しかし、男の方を見ていない巧介は、首を左に傾け、ナイフを突き刺してきた腕をかわす。

 「え、何で⁉」

 男は、巧介によけられてた事に驚いた。

 同時に男がナイフを持っている腕を左手で掴み、一本背負いの如く、床めがけて叩きつける。

 男は背中から床に落とされた衝撃で意識を失う。

 巧介は相手の意識を絶った事を確認し、最後の一人に向かって歩みをすすめる。

 最後の一人は、三人が瞬時に倒されてしまった事に驚き、尻餅を付いて懸命に後退りをするが、巧介が男に追いつく。

 「お、俺たちが悪かった。か、金なら払うしこのじいさんにも二度と絡まれぇから、ゆ、許しーーーーーー」

 男が台詞を言いかける瞬間、巧介は笑みを浮かべた。

 「歯食いしばれ」

 次の瞬間、巧介の拳が男の顔面向かって振り下ろされる。男の顔面を直撃しようとした次の瞬間、

 「そこまでだ」

 草壁が巧介の腕を掴んだ。間一髪男の顔面に巧介の拳が突き刺さる事が無かったが、男は白目を向いて、失神している。

 「お前殺そうとしてなかったか? さっき言ったよな。殺すなって」

 草壁が低く力がこもった声で巧介を問う。

 「やだなぁ、殺す気何てありませんよ。ただ、こんなクズどもは一度死ぬ思いしないと自分の実の程が分からないと思ったんで」

 左手で頭を掻きながら、巧介は答える。その表情は何か悪い事をしたかと問うような表情だった。

 「まぁ、俺だったからいいが、他のメンバーの前で同じ事するなよ。お前が半殺しになる」

 「はい。すいませんでした」

 巧介は頭を下げる。

 それが草壁には形式上の謝罪にしか見えなかった。

 草壁は巧介から手をほどき振り向くと、倒された男たちの財布を物色する呉の姿があった。

 「結構、財布ニ入ッテルネ。オォ身分証モ入ッテル。写メ写メット」

 呉は男たちの財布の中身を抜き取りm身分証の写真をスマートフォンで撮ってる。

 「呉さん、何やってんの?」

 「何ッテ、修理代徴収ト情報取集ネ。コイツラノ情報売レル思ッテ」

 「相変わらずこの人は・・・・」

 草壁は頭を抱える。

 「ソレニシテモ君強イネ。名前何テ言ウ。ウチニキテ、ボーイ件用心棒ヤラナイ?」

 「風見巧介と申します。折角のお誘いありがたいのですが、今の仕事でも勉強させていただく事がまだ多いので・・・・」

 「君、学生サンデショ? 丁寧ナ言葉遣イネ。五十幡サンノ所クビニナッタライツデモ来テ。君ノルックスナラ女ノ子ノ客モ増エル間違イ無シネ」

 「呉さん、いい加減依頼してた情報を・・・・」

 「アァ、ゴメンネ。ハイコレネ。暗器ノ事ハワレナカッタケド、犯人使ッタ同ジチャカノ売買記録ヨ」

 「ありがとう。いつも助かるよ」

 「イヤイヤ。五十幡商事、特ニユージサント麻里奈チャンニハイツモオ世話ニナッテルカラ」

と呉は微笑みながら情報の入った資料を手渡す。

 「それじゃあ、これで失礼するよ。後処理は大丈夫そう?」

 「大丈夫ネ。アトコレ、来ル思ッテタカラ作ッテタカヨ」

呉は弁当袋が入ったビニール袋を差し出す。

 「新メニュー入ッテル。実験台ヨロシク」

 「俺たち以外の分もあるじゃないですか。いつもすんません」

 草壁は申し訳なさそうに言う。

 「やった中華弁当だ! ご馳走様です」

 巧介は上機嫌に弁当の入ったビニール袋を持ち、草壁と店を出た。


いかがでしょうか。


ようやく戦闘を盛り込めました。

まさかの先制攻撃は呉さんでしたね・・・・


それではまた次回、お会いしましょう!

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