小さな小さな 大冒険!87
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だが、裏で暗躍する存在がいるからこそソンメルが利用されている可能性が高いと判断していた。
相手は未来視を持つ魔術師なのだ。
龍徳達がレインベール城に攻め込む事も全て予知しているのだからアストゥーが既にレインベール城にいない事は分かっている。
そうなると龍徳をもってして予想外の事を企んでいるという事になる。
龍族であるソーマでさえ予想外の存在なのに?
ここで、疑問が残った。
何故アストゥーはワザワザ、ソーマを龍徳にけしかけたのか?
分かっている限り最大の戦力である事は想像に容易い。
であるならばワザワザ戦わせる必要などない。
ソンメルがアストゥーから話を聞き、ナターシャの迎撃の為にソーマを戦わせたのなら話は分かる・・・が、ソンメルとアストゥーは繋がっていない。
それどころか利用されている可能性が高い。
そこで、逆説としての可能性が浮かび上がってくる。
龍徳が現れる事を知っていたからこそ、敢えてソーマをけしかけた。
そうなるとアストゥーの狙いは龍徳だった可能性があるのだ。
その場合、アストゥーにとってナツやレインベールの事は関係なくなってしまう。
であるならば、龍徳とアストゥーは以前でどこかで出会っている・・・そして強い恨みを持っている可能性を示唆すると考えていた。
ソーマが負けた事は既に知っているアストゥーがソンメルに何もしないはずが無い。
ソーマでさえ勝てなかった龍徳にそれより弱い魔物をぶつけるのか?
答えは当然だが、否である。
ナツが倒せるならそれが一番良いと思っていたからこそ
万が一の事を考えこの数日間で強制的にパワーアップを計った。
ハルとアキでは、足枷になる可能性があったからこそ実力が拮抗しているレイナと組ませたのだ。
ソーマが言うにはアストゥーの未来視は連続した未来を見る事は出来ないらしい。
だが、アストゥーは対策を施していた・・・“魔法耐性“だ。
今までの戦いもそうだが、魔法が使えなかったら魔物との戦いなど不可能に近い。
ソーマを超える化け物との戦闘が始まる事が分かっていて城に残っている馬鹿はいない。
だからこそ住人の移動に東門を使わせなかったのだ。
だからこそアストゥーの目撃例は一切なかった。
だからこそ“死の大地”で何かを企んでいる事が予想できたのだ。
だからこそ死の大地がある東門にソーマをつかせた。
2000mもの垂直に聳え立つ岸壁などソーマ以外に登れる訳がないのだから・・・
傍から見たら龍徳の予測は理解出来ないのも無理はない。
実際、魔物が城内にいたら?
ワザワザ戦力を分断する必要があるのか?
全住人を脱出させる必要があるのか?
戦闘力が高いソーマを正面から攻めさせた方が良いのでは?
そんな反論もあったが、結果をみれば全て龍徳の予測通り
ハルとアキが城に潜入したら脱出が間に合わなかっただろう。
アキをパートナーとして王の間を攻めていたら狭すぎてアビスは使えない。
そうなったらアキは戦力外だ。
ナツ一人では、殺されていたに違いない。
凄まじい思考力で全てを読み切った龍徳だったがソンメルの姿を見て、考えうる限りの最悪のパターンであったと覚悟を決めざるを得なかったのだ。
凶悪な魔獣に変身し終えたソンメルが足元にいるはずの龍徳の姿を探す。
「ガルルルルル・・・終わりだ・・・ん? 奴は・・・何処に行った!」
『所詮は陰邪石を植え込まれた化け物・・・動物の本能もなければ洗練された戦士な訳でもない』
龍徳はソンメルの変身が終わる前に上空へと跳躍していたのだ。
ただの跳躍ではない。
上空へ上空へと足場を蹴っては昇り既に死の大地が横に見える程の上空へと辿り着いていた。
「全員戦闘区域外へ避難しているな・・・これなら本気で魔法が放てる!! 行くぞ!! ハァァァァ~!! ドルオーラ全開!! 多重魔法陣展開!!」
4つの巨大魔法陣が龍徳の眼下に展開され周囲が質量を持ったかのように歪んでいく。
「この魔法・・・龍聖君の精霊融合の練習の副産物なんだがな・・・よもや使う事になるとは・・・」
そう・・・龍徳が今から放つ魔法は以前、精霊融合の練習を一人で練習していた時に生まれたもの・・・
それは・・・
「我が主・・・大丈夫でございますか?」
「はぁはぁはぁ・・・クソッ!やっぱり難しいか~!!」
疲れ果て仰向けで空を見上げる龍徳の周りには従属している4大精霊が心配そうに龍徳を覗き込んでいる。
「龍徳の魔力が強過ぎるから無理だって言ったのに」
「エエ・・・ご主人様のお役に立ちたいのですが、こればかりは・・・」
「教えて貰ったが俺は自分でやらないと信じきれないタイプだからな・・・でも・・・あと一寸で何かを掴めそうな気がするんだが・・・」
そう言ってパッと立ち上がる。
「よし!無属性魔法を中心に組み立ててみるとしよう!」
「大丈夫なの~龍徳~さっきもそれで魔の森吹き飛ばしたばかりだよ?」
心配そうにディーナが声を掛ける。
「ウッ・・・そうだったな・・・だったら威力を最小にして試せばいい。」
「それなら・・・ん~大丈夫かな~?」
「つべこべ言わず時間が無いんだ!付き合ってもらうぞ!」
「は~い♪」
「いつまでも付いて参りますわ♪」
「ボクはいつでも良いよ~♪」
「我が主の望むままに!」
『とは言っても・・・さっきの爆発はヤバかったからな・・・地上でやると危険か・・・だったら!上空で試すか!』
そう言って空へと駆け上がって行く。
「先ず・・・魔力量の調整・・・まてよ・・・その前に通常魔法で4属性が融合できるか試してからの方が早いかも知れないな」
そう言って眼下に魔法を発動させていく。
「順番は・・・火・・・それを土で・・・違うな・・・最初が水・・・それを土で包み・・・風で覆い・・・炎を纏わせる」
ここまでは以前も練習していたのでどうにか形にする事は出来るが、問題は融合の速度。
理想は一瞬で融合させる方法であった。
『それを感覚だけでやっている龍聖は自分の子ながら凄まじいな・・・』
何度も失敗する中いくつかの魔法操作を放棄する事で融合させる事に成功した。
「逆転の発想だったな・・・何でも魔法で解決しようとしたから盲点だったな・・・」
そう言って4つの魔法陣を眼下に展開させるとそれを縦一列に操作する。
「アクアランス」
そう言って魔法を発動させたが、槍の形をしていない。
単純に球体となった水の魔法。
それを放つのではなく指先から落とした。
その球体が魔法陣を通過する瞬間に「ストーンランス!」続いて「エアーランス!」「ファイアーランス」と
魔法陣を通過する度に魔法を発動させていく
そして、最後の魔法陣を通過した瞬間に無属性魔法で融合させたのだった。
質量を持った魔法は自然落下によって地面へと落ちていく。
「良し!4属性の融合に成功したぞ! これを自分に当てはめればいけるんじゃないか!?」
っと喜んでいた時、融合された魔法が臨界点を超え地面に衝突した。
「ドゴ~ン!!!!!」
突如龍徳の眼下で凄まじい大爆発が巻き起こったのだ。
「グッ!・・・な・なんだ・・・この凄まじい魔法は!?」
立ち昇る煙を風の精霊シルフィーに除去させると、そこには50m程の巨大なクレーターが広がっていた。
「ランス程度で・・・これは危険な魔法を作ってしまったかも知れんな・・・」
「「「「・・・・・・」」」」
その光景を目の当たりにした4人の精霊達は目を丸くして驚いていた。
その魔法を全力で放ったらどうなるのか・・・
龍徳が顕現させた魔法陣が一列に並んでいく。
「ギガアクアフォール・・・」
直径50mを超える巨大な球体が龍徳の指から自然降下し始める。
「メテオドーム・・・」「ギガストーム」・・・「アマテラス」
次々に巨大魔法陣を通過していき最後の魔法陣を通過した時・・・
「無属性魔法・・・断罪の空間」
無属性魔法を唱えた瞬間。
直径100m程に迄膨れ上がった魔力玉が僅か1m程に迄圧縮されていく。
ユックリ自然降下していた今までと違い圧縮した途端、速度を上げソンメルへと落ちていく。
そして・・・
「むっ! なんだ?」
上空に異常を感じたソンメルが首を傾けるが・・
「終わりだ・・・5属性融合魔法・・・ビッグバン!!」
その直後!凄まじい輝きと共にソンメルを飲み込んでいく。
爆発のエネルギーが中心に向かって引っ張られているからなのか爆発というより徐々に破壊の球体が拡大していく。
破壊の渦は、城を飲み込み周囲に広がっていた森林の半ばまで拡大した時、今度は凄まじい勢いで収束し始めた。
限界を超える程、小さくなった光源がポッと消えた瞬間この世の光景とは思えない程の大爆発を引き起こすのであった。
その少し前・・・
「これで全員じゃな!」
「うん!大丈夫だと思う。」
「では、サッサとこの場を離れるぞ!」
レインベール城の北門へとハルとアキが駆け出し始めた。
「後はこのまま撤退で町に向かえば良いんだよね?」
「うむ。龍徳殿の言われた通りに動くんじゃ!」
そう言って樹木が生い茂る北門へと走り出した時だった。
後方から爆発音が聞こえ慌てて振り返ると・・・
「レインベール城の先端が崩壊している・・・。」
「うむ・・・やはり陰邪石を使っていたようじゃな・・・急ぐぞハル!!」
「うん。」
森林地帯を抜け北門が見えて来た。
「はぁはぁはぁ・・・取り敢えずここで合流だったよね?」
「うむ・・・じゃが・・・少々ナターシャ様達が遅れている様じゃな・・・。」
「うん・・・無事だと良いんだけど・・・。」
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