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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!83


小人の国に来てから強敵との連戦が続いたため昨晩ナツに言われるまで全員倒すつもりでいたのだ。

それは昨日の日中の事・・・


「龍徳様・・・もし可能であれば場内の衛兵たちは出来る限り殺さないで頂きたいのですが・・・」

街からの住民の避難もある程度終わり作戦も決まった直後の事。


「そうだな・・・出来る事なら命まで奪うつもりはないが・・・手加減出来る余裕があるか・・・」

小人の国に来てから激選が続いていたのだ・・・

実際、強力な治癒魔法があったから生きていられるだけなのだ。


万が一気を失っていたら・・・

万が一脳や心臓を一突きにされていたら・・・

今日まで完勝している様に見えるが実際は心臓が破裂しそうな程のプレッシャーであった。


考えれば当然なのだ。

現在の日本に太古の恐竜が生きていたとして目の前に現れたとする。

倒せる力があるから倒してみろ!と言われてアッサリ倒す事が出来る訳がない。


人間など自分より小さなスズメバチにさえ驚く生き物なのだ。

現代なら相手が豹であったら?ライオンであったらどうだ?もしくは熊でも構わない・・・

自分より圧倒的に大きい象が攻撃的に襲い掛かって来たら?


勝てるだろう力があったとしても命の遣り取りである限り楽勝と余裕がある訳がないのだ。

ましてや相手は恐竜を超える化け物サイズの魔物。

そんな状況で同族だから命は助けたいと言われたところで“わかった”と即答する事は出来なかった。


そんな事を龍徳が考えていたらナツが不思議そうな顔で小首をかしげたのだった。

「えっと・・・それは龍徳様の冗談なのでしょうか?」

予想外の一言が放たれた。


「冗談? 何を・・・」

何を言っているんだ?と口に出そうとしたらナツが龍徳の言葉を妨げる様に言葉を続けた。


「我々小人族など龍徳様が手加減して殴られただけでも恐らく死んでしまう程か弱い種族ですから・・・」

そこまで言って龍徳が何故即答しなかったのかの答えを自分なりに勘違いする。

「あぁ~なるほど 上手く手加減出来ない可能性もありますわね・・・」

そう言われて龍徳が不可思議そうに自分の蟀谷に手を当てて考え始めた。


覗き込むように龍徳を見つめていたレイナが、そのポーズを以前見た事を思い出したようだ。

「神谷部長?どうされたんですか? あぁ~分かった~♪ 以前こんな神谷部長見た記憶があるわね♪

フフ♪ 部長~勘違いしていたでしょう~♪」

そう言われて「ん?」っとレイナの方へ龍徳が顔を向ける。


「勘違い?」

「ウフフ♪ (偶に見せるこの顔も好きだなぁ~♪)だって小人族って私達より圧倒的に弱いんですよ?まぁ~今まで強敵ばかり戦ってきたから忘れていたんでしょうけど、まぁ~私は街中で何回か普通の小人族と戦ったから分かるんですが、本当に手加減しないとスプラッターになりかねませんからね!」


そこまで言われてハッとする。

「あっ!」

『そうだった・・・ナツ達を鍛えすぎたから忘れていた・・・』


巨人族の短距離走世界一の速力でも小人族なら時速3㎞あるかどうか・・・

腕力に至っては巨人族で500㎏を上げられる筋肉ムキムキの人間が、小人だと20gも上げる事が出来ないのだ。

その代り水に浮かびやすいなど体重が軽いからこそ巨人状態では味わえない面白い現象もあるが、何にしても小人族は非力な種族である事をハッキリと思い出したのだった。


いくら小人化しているとはいえ元が巨人族の龍徳達は最初から小人族の3倍以上の力がある。

鍛えに鍛えまくった今であれば言うまでもない。


「フフ♪ その顔~ヤッパリ忘れていましたね♪」

「うっ! 助かった・・・確かにスプラッターになりかねんところだったな・・・」

『最愛の龍聖の前で小人族をスプラッターなど・・・考えただけで恐ろしい・・・ナツとレイナに感謝だな』


「皆・・・悪いが計画を少し変更させて貰いたい。」

「では、私の願いを聞き入れて頂けるのですね♪」

「ああ♪ ナツに言われなければとんでもない事になるところだった。ありがとうなナツ♪」


「そんな・・・寛大なお心遣い感謝いたしますわ♪」

「神谷部長~私は~?」

「コホン・・・レイナ君にも感謝する・・・ありがとうな♪」

「ヘヘ♪」




ってな事があったのだった。

その為、衛兵達と鬼ごっこの状態になっているのであった。

『それにしても・・・この速度にも付いて来られないとは・・・危なかった~』

疲労ではなく冷や汗が流れる龍徳であった。


そして、東門をそのまま通過する。

レインベール城の東門は断崖絶壁の崖が聳え立っている。

疲れ果てた衛兵たちが東門の門番に大声で応援を要請したが何人も現れる事がなかったのだった。


「殺してないだろうな・・・」

ボソリと龍徳が独り言ちる。

この場所は先程、ソーマが到着した場所であった。


当然ソーマは敵側の人間であった為、門番に止められる事は有り得ない。

その為、龍徳はソーマに殺さず無力化する事を命じていたのである。


「ソーマ、恐らくそっちには陰邪石による魔物はいないと俺は考える。」

「ほぅ~何を根拠に?」

「先程の質問でソーマが答えられないもしくは知らない事を踏まえて導き出しただけだ。」


「グルル・・・答えられなければ、それが答えでもある訳か・・・ワッハッハッハッハー♪ 面白い!やはり龍徳は面白いのー♪」

「フッ♪褒め言葉としておくよ。それよりも・・・そうなった場合は死の大地をお前に調査して貰いたい。」


「フム・・・なるほどな・・・吾も知らされていない事を考えるとって事か」

「そう言う事だ。明日の戦いに現れる敵が目撃例にあった魔物かどうか・・・嫌な予感がしてな・・・」

「グルル・・・確かに・・・吾も龍徳との戦いの後、死の大地から嫌な気配を感じていたところだ。」


「もしそうであれば・・・かなり危険な戦いになるかも知れんが・・・今のお前なら大丈夫だろう?」

そう言って龍徳がソーマに向けて口角を上げる。

「グルル・・・あれだけ魔力を供給されたからな・・・以前なら無理だったであろうが・・・今であれば・・・まぁ~やってみない事には分からんがな」


そう・・・龍徳は目撃された巨大な魔物の情報が場所によって食い違っている事に違和感を覚えたのだ。

「俺が最悪なシナリオを描くとするなら・・・」

そう言って思案した後・・・


「今回の戦いには恐らく完成した陰邪石を使用した魔物が配置されている可能性が高いな・・・。」

だが、そうなると目撃された他の魔物は何なのか・・・

予想し過ぎであれば良いがそうでない場合はシャレにならない。

何故ならいくら龍であるソーマと言えど変身後の大きさは精々15m程度なのだ。


先日の龍徳との戦いではソーマは完全龍化をしなかったのではなく出来なかったと言った方が早いだろう。

何故なら本来のソーマの力にはほど遠いからであった。

ドラゴン本来の姿に戻るには小人族の大きさ程度では話にならないのだ。


ノミ以下にまで小さくなったソーマを陰陽術によって縛られて弱体化していた時と比べれば、この数年間でやっとあの程度の強さを取り戻していただけなのだ。


15mもの龍であれば十分だと思うかもしれないが、それは巨人サイズでの話。

小人状態の15mは精々30cm程度の大きさなのだ。

そして、普通の獣であればその状態でも何の問題もなくソーマが勝つだろう。


だが、ここで矛盾が生じる。

世界最強のドラゴンがいるのにワザワザ他の巨大な魔物を使役する必要があるのだろうか?

完全に支配下に置けないからとの理由もあるだろうが、それでも矛盾を感じてしまう。

小人族であれば凶悪な巨大魔物であっても本来のソーマであれば話にならない只の獣である。


そうなると普通の獣ではないと龍徳は答えを導き出したのであった。

例えば、完成した陰邪石を小人ではなく獣に与えたら?

その答えに辿り着いた時、龍徳の背中に悪寒が走ったのだった。


小人をあそこ迄、凶悪な化け物に買える陰邪石だ。

容易に想像を絶する怪物である事は想像がつくだろう。


未来視をもつアストゥーなる魔術師がソンメルの右腕ではない可能性が高い。

となれば、龍徳達が乗り込んでいる事をソンメルに伝えず利用する。


実際ここまでは、最悪のケースで予想が当たっている。

要するにアストゥーは何かを企んでいる。


何の為に?


第一目標はソンメルを倒しレインベールを取り戻す事。

その為、前線を離れる事が出来ない龍徳がソーマに死の大地の調査を依頼したのである。





城内で龍徳が衛兵たちをかく乱している間にナツとレイナが城門を素通りする姿があった。

「こっちですレイナさん!」

ナツに導かれ城の中へと2人が入って行く。


龍徳によって城内の衛兵の大半が出撃している事で、何のトラブルもなく2人は城に侵入する事が出来ていた。

「それにしても・・・流石は神谷部長だわ・・・完全に読み通りね♪」

「あの方が言われた事は間違いありませんもの」


入り組んだ城の中をナツは迷わず進んで行く。

階段を駆け上がり、衛兵が居れば戦闘を避け身を隠す。


「ドキドキしてきたわね・・・」

「はい・・・私も緊張してきましたわ・・・」


「恐らくソンメルは最上階の王の間にいるはず・・・」

「ええ。野心家であるソンメルが魔物を城内に配置しているはずが無いと神谷部長が仰ってましたし・・・」


「フフ♪ ついでに小心者であるソンメルは城の一番奥にいるとも仰っておられましたものね」

「一番奥・・・要するに最上階って訳ね」

「はい。」


そして、階段をさらに駆け上がると

「レイナさん待って!」

「どうしたの?」


「この上が王の間です・・・当然入り口には衛兵がいるはず・・・」

「って事は・・・ここからは戦わないとダメって事ね・・・」

「ええ・・・ですが、ここはレイナさんの魔法で感電させる方が宜しいかと・・・」


「なるほど・・・下手に攻撃したらスプラッターになるかも知れないもんね・・・だったら一番弱いエレクトリックサンダー(広範囲感電魔法)で!」

そう言って階段の折り返しから片手を向け


「エレクトリックサンダー!!」

スゥーっと一瞬暗闇が広がったと思ったら静電気の様な小さな雷が水平に広がった。

バタ、バタ、バタっと何かが倒れる物音。


「どうやら成功のようね♪」

「ですわね♪」

そう言って階段を上がると王の間を守護していた騎士が6人ピクピクしながら痙攣していた。



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