小さな小さな 大冒険!! 8
筆者の神龍です♪
一つの小説を書いている間に他の小説を書きたくなってしまったので、新しくアップさせて頂きました。
もし面白かったら読んでくださいね♪
毎週月曜日と木曜日の朝7時に更新します。
「オッと!まだまだ!ウリャァァァッ!」
苦しんでいるイフリート目掛けて跳躍するとイフリートを通り越し天井まで届いてしまったので、今度は天井を蹴って勢いをつけ頭上から回し蹴りを頭に叩き込んでやった。
これでも俺は、武術全般・・・有段者だ!
「グベェッ!」
キィィィ~ンと風を切りながらテーブルに激突した。
ダメージがあったのかイフリートの変身が解けさっきまでの姿に戻っていた。
そして、ジュゥゥゥッとテーブルを焦がし黒い煙が立ち込めた。
「この野郎!家を火事にする気か! それに!・・・亡くなった親父の形見を焦がしやがって! プッチ~ン!神谷さんは久しぶりに本気で切れてしまいました!」
そのまま急降下すると膝をイフリートの鳩尾に深々と突き刺した。
「ぐばぁっ! もう・・・・・」
「もう・・・何だ~うおりゃぁぁぁ!」
苦しがって横たわるイフリートの首を掴むと強引に立たせてから顎目掛けてアッパーカットを叩き込む。
グバンッ!と変な音が鳴りまたしても上空に舞い上がった。
「グァァァ~ も・もう・・・」
「さっきから煩いんだよ!お前の様な愚かな者は、徹底的に調教してやる!」
今度は狙いを定めて跳躍するとイフリートの溝に拳を減り込ますと同時に足首を掴んでもう一度テーブルの上に叩き付けた。
そして、またしてもテーブルが焦がされた。
「お前は~懲りない奴だな! もう少し痛いお仕置きが必要そうだな!」
「(それは、私のせいじゃ・・・)ヒィ~許して下さい!」
亀の様に丸まって小さくなっている。が、大好きだった親父の形見を焦がした事は許されない!
なので、丸まっている背中に向けて拳を叩き込んでやった。
「ふざけるなよ~! はぁぁっ!」
ドゴン!と金属が凹んだような音が鳴り、悶絶しているイフリートが転げまわっている。
「カハッ!」
「ゲホッ!ゲホッ! お・・・お許しください! 本当に申し訳ございませんでした。」
立てずに転がっているが両手を組んで情けない顔をしながら懇願してきた。
「馬鹿が!だったら最初から大人しくしていれば良いんだよ! 俺の宝物を焦がしやがって! 悪いが許すつもりはないな!」
昔から頭に気過ぎるとやり過ぎてしまうのが俺の悪いところだ。
「ヒィ~ごめんなさい!ごめんなさい!調子に乗って吾が間違っておりました。貴方様に忠誠を尽くします!貴方様の僕として永遠に忠誠を誓いますので、何卒お怒りをお沈め下さい~・・・。」
「やだね!お前みたいな性格の悪い奴などいらん! 二度と俺に歯向かえない様に徹底的にボッコボッコにしてやる!」
俺の言葉に灼熱の深紅の肉体を持つイフリートが青ざめ始めた・・・。
「クックック♪ 精霊って・・・殺しても罪にはなんないのかな・・・。」
俺としては、真剣に考えた言葉だったのだが、イフリートにはどうやら脅しに聞こえたらしい。
「ヒッ!」
その時、ナツの声が耳に届いた。
「龍徳様!お言葉を挟む事をお許しくださいませ! 龍徳様!の大事にされているテーブルは私の魔法で治す事が出来ますわ! そこにおられるイフリートは、本来性格の悪い精霊ではありません! 龍徳様のお怒りも分かりますが、どうか冷静になって頂けないでしょうか?」
喧嘩の途中で止めてくる奴がいると頭に来る!これも俺の悪い癖だな・・・。
一瞬にしてナツの前に移動するとナツの手を取って抱き寄せる。
「本当だな!」
ナツの頭と腰に手を回し首を持ち上げると冷酷な目でナツを見つめてしまった。
「は・はい!本当ですわ・・・」
「嘘だったら俺の怒りがお前に向くぞ」
ナツの顔が龍徳の顔と付くほど近づけると脅しの様な一言を放った。
「あぁぁ・・・ほ・本当でございます・・・」
「ふん! だったらナツを信用してあいつを許してやるよ!」
跳躍してからまだ、横たわっているイフリートの横に立つ。
「ヒィ~」
俺の顔を見ただけで頭を抱えて丸まってしまった。
「ナツがテーブルを直してくれるってよ!ナツに感謝するんだぞ!だから・・・これで許してやるよ!」
俺の言葉にホッとしたのか涙を流して喜んでいた。
「有難うございます♪ このご恩は一生忘れません。」
「別に忘れて構わない・・・が!二度とふざけた態度や話し方をするなよ! 次は無いと思え!」
冷たい目をしながらイフリートを睨み付ける。
「は・はい!お約束いたします!それで・・・私目を貴方様の僕にして頂けないでしょうか?」
「さっきも言っただろうが!」
その時テーブルの修理の為にナツが上がってきた。
「龍徳様!今一度、冷静に考えて下さいませんか? イフリート程の精霊と契約出来るお方など私は知りません! 本来、炎の精霊の王であるイフリートが契約に応じるどころか・・・“僕”などと自らのプライドを捨ててまで龍徳様の事を認められているのです! その事が分からない龍徳様ではないと思うのですが?」
痛いところを付いてくるな・・・
「クスクスクス♪ お前・・・アキの嫁じゃなかったら惚れてたかもな・・・良い女だ。」
ナツがポ~っとした表情で・・・
「えっ? そ・それは・・・」
そして、俺は、自分の両頬をパンパンっと叩く
「はぁ~落ち着いた! いや~ さっきはゴメンねナツ! 冷静になったよ♪ ありがとうね♪ さて!イフリート!そんなに俺と契約したいのか?」
「はい!もちろんでございます! 炎の精霊王になってから、この5000年の間に吾を呼び出した事がある人間は何人もおりましたが、貴方様の様なお方に出会えたことは一度しかありません! それも3000年も前の事! その時でさえ対等な契約でしたが・・・」
「ふん!俺と対等に契約したいと言いたいのか?」
落ち着いた気がゾワゾワっと溢れ出す。
「ヒッ! 違います! 先程も言った事は吾の本心です! 貴方様の下僕となり忠誠を誓います! 貴方様の様な方など見た事も聞いた事もありません。なので、どうしても貴方様の今後を見届けたいのです!」
「クスクスクス♪ なんだよ・・・そんな風に話が出来るんじゃないか♪ 分かった・・・だが、勘違いするなよ! これは、お前を僕にする為の契約だと言う事を!」
「有難うございます! 有難うございます! では、我に貴方様の真の名前と隷属紋を打ち込んでは頂けないでしょうか?」
「イフリートが・・・自分から・・・?」
「隷属紋だと・・・?」
アキとハルが目を大きくさせて驚入れいる。
それ以上開くと落ちちゃうぞ?
「隷属紋?・・・って何? ナツ分かるかい?」
「クスクスクス♪ まさか本当にイフリートを僕にされてしまうとは・・・規格外のお方の様ですわね♪ 隷属紋とは、一種の魔法陣ですわ♪ 頭の中でイフリートを僕として従えるイメージをしながら両手から魔力を放ってみて頂けますか?」
俺はナツに言われた通りにイメージを始めた。しかし・・・僕って・・・犬とか猫のような感じで良いのかな?それとも奴隷の様なものか? う~ん取り敢えず両方の中間の様なイメージにするか!
「このイメージのまま手から魔力を・・・おぉ!何か出た!」
俺とイフリートの間の空間に小さな魔法陣の様な模様が現れた
「流石は龍徳様ですわ♪ では、龍徳様のお名前を魔力に込めながらイフリートにお伝えくださいませ♪」
俺は黙ってナツに向けて頷くと
「俺の名前は“神谷 龍徳”だ!イフリート! 忠誠を尽くせよ!裏切りは許さん!」
「畏まりました我が主“龍徳様” これ程の隷属紋を頂けた事!有り難き幸せ!」
イフリートが魔法陣に手を触れると手の甲に紋章となって刻み込まれた。
「これで、契約が完了しましたわ♪」
「それにしても・・・精霊の契約って・・・こんなに大変なの?」
俺の言葉にナツが太陽の様な微笑みを浮かべながら笑い出した。
「クスクスクス♪ そんな訳ないじゃないですか~♪ こんな事・・・クスクスクス♪ 龍徳様だけですよ♪」
綺麗な人だな・・・眩いばかりの笑顔に暫し見惚れてしまった。
「あら?どうかなさいましたか?」
マジマジと見つめていた俺の視線に気が付いたナツが不思議そうな顔をしていた。
「いや!何でもないよ♪」
「クス♪そうなのですか? では、お約束通りテーブルを直しますわね♪」
そう言うとナツが何かしらの魔法を使い始めた。
「おぉぉぉぉぉぉ~~!凄い!焦げ跡が一瞬で無くなった! ナツって本当に凄いんだね♪ 本当にありがとう♪ イフリートもお礼を言っておけよ!」
「かたじけないナツ殿・・・貴方のおかげで吾も主を見つける事が叶いました。 この礼は必ずさせて頂きます」
「良く出来た!イフリート!感謝は言葉と態度。そして、行動で現すものだ!」
「お褒め頂き恐縮至極でございます!」
「ウフフフ♪ では、楽しみにしておりますわね♪」
「それと・・・イフリートはず~っとこのまま居るのか?それともほかの場所にいるのか?」
今後の事を考えると大事な問題だ。
「我が主よ!ご安心ください。吾は精霊界に座して居ります故、今後は、主の呼びかけにより精霊界より一瞬で参ります。それとも傍において頂けるのであれば喜んでお傍にて御使い致しますが・・・」
「そうなのか・・・まぁ取り敢えずは、魔法の練習をした後は精霊界ってところにいてくれ!」
「クスクスクス♪龍徳様♪ 魔法を使う時に精霊を顕現させる必要はありませんわよ? それに本当であればこんなに長い時間、大精霊以上を顕現させる事など不可能ですし・・・」
「そうなの?」
「はい♪」
「確かに・・・我が主の魔力は常識外ですな♪」
昔から良く、常識外とか異常とか言われ続けたから良いけどね・・・
だけど・・・俺は至って普通だからな!
「だったら、イフリート!精霊界に戻っていてくれ!」
「畏まりました。」
俺の言葉を聞いたイフリートが段々透き通る様に姿を消していった。
「よっしゃ~!これで俺も魔法が使えるんだよな!」
「あらあら・・・龍徳様?お楽しみにされているところ申し訳ないのですが、流石にこの結界では難しいと思いますよ?」
「そうなの?」
「えぇ・・・弱い魔法であれば大丈夫でしょうが・・・」
「そりゃ~そうだよ~何たって・・・イフリートだよ!炎の精霊王だよ!」
「そうですぞ!この結界ではとてもじゃないが持ちませんぞ!」
俺とナツの会話が聞こえたのか大声で話しかけてきた。
「えぇ~じゃ~弱い呪文だけでも試しても良いかな?」
「クスクスクス♪ それならばハルのところに戻りませんとね♪」
「よっしゃー! 時間も遅いし・・・だから失礼!」
「キャッ!」
ナツをお姫様抱っこするとテーブルから結界の中にいる2人の場所まで跳躍した。
(お姫様だっこ・・・?これが・・・夢にまで見た・・・私が・・・されるなんて・・・。)
ナツを見ると恥ずかしそうに頬を朱に染めていた。
アキの奥さんをお姫様抱っこは不味かったな・・・魔法を使えると思って舞い上がっていた・・・後で二人に謝らなければ・・・。
「龍徳さん!さっきの凄かったね!あんなの見た事ないよ!」
「いやはや・・・魔法の練習を始めたばかりとは思えませんな・・・。」
2人共驚きの声を上げながら俺達に向かってきた。
「アキ!ナツ!ゴメンね・・・。」
「どうされたのですか?」
「いや・・・魔法の練習が早くしたくて・・・その・・・アキの奥さんであるナツを抱っこしちゃったから失礼な事をして本当にごめんなさい!」
精一杯、誠意を込めて謝罪した。
「ガッハッハッハッハ~♪ そんな事ですか♪ 何の問題もありませんよ! 今後も何かあったら抱っこしても構いませんからな! ガッハッハッハッハ~♪」
ナツにチラッと目を向けると豪快に笑い出した。
アキと目が合ったナツは何故が顔を背けて照れていた。
余程信頼し合っているんだろうな・・・本当に良い家庭なんだな・・・。
こちらも良ければ呼んでくださいね♪
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