小さな小さな 大冒険!75
その少し前・・・
「なあ~龍徳~頼むからナンパしてくれよ-」
「嫌だ」
「頼む!これが最後!なっ!本当に最後だから!なっ!頼むよ~」
「お前の最後はいつになったら来るんだよ!半年前から既に50回はそのセリフを聞いたぞ!」
「馬鹿にするなよ・・・まだ49回目だ!」
悪びれる様子もなく当然の様に言い切る
「はぁ~・・・俺は何でお前みたいな奴と友達になったんだろう・・・」
「なっ!冷たい事を言うんじゃない!」
「そもそも!今回は自分でナンパを成功させるからフォローだけって話じゃなかったか?」
「馬鹿野郎~!!」
[おぉ・・・]
「俺がモテないの知ってるだろうが!!」
「いや・・・女好きの正確さえ治せばイケメンの部類だと思うぞ・・・」
「ふん!そんな事はどうでも良い!俺は俺の好きな様に生きたいだけだ!!」
「ハッ・・・ハハ♪」
「何笑ってやがる!」
「いや・・・」
『ヤレヤレ・・・どうやら俺は此奴の自由奔放な性格が羨ましいと思っているようだ・・・』
「なぁ~頼むよ~折角、島に遊びに来たのに何が悲しくて野郎と2人でいなきゃなんないんだよ!!」
「ったく・・・本当に我が儘な奴だ・・・はぁ~これは朝までグダグダ言うパターンだな・・・」
「当然!!」
「頭が痛くなって来た・・・」
「頭痛薬あるぞ?」
「あ~全く面倒臭い奴だ!」
若かりしき頃の龍徳は相手が余りにシツコイとどうでも良くなってしまう悪い癖があった。
「女を引っかければ気が済むんだな!」
「おお♪ 気が済む♪」
「その後は知らないからな!」
「おお♪ 当然! 女の子と話せるだけで満足だ!」
『こいつは絶対に口から先に生まれて来たタイプだな・・・』
「そうとなれば!レベルの高い子探さないと・・・」
そう言って辺りをキョロキョロと見つめ始めた。
「やれやれ・・・マジで友達止めようかな・・・」
その時、岩場の先の砂浜から悲鳴に似た声が龍徳の耳に飛び込んできた。
「おい・・・カナメ!今の聞えたか?」
「邪魔すんじゃねー俺は今視力5.0で市場調査中だ! オッ!発見!! ついて来い龍徳!」
「馬鹿な事言ってないでって!おい!」
その瞬間カナメと呼ばれた龍徳の友達が2人の女の子に忍び寄りイキナリ肩を組んでナンパし始めた
「キャァァァ~!!パチ~ン!」
「クズ!死ね!」
驚いた女の子のリアクションを楽しむように満足そうにしていたカナメを余所にもう一人の気の強そうな女性が強烈なビンタを食らわしたのだった。
「シドイ・・・俺がなにしたっての・・・」
「イキナリ肩組んだら誰だって驚くに決まってんだろうが・・・」
「たったそれだけでビンタって割に合わん!」
「はぁ~」
その時、先程と同じ感じの悲鳴・・・否、助けを呼ぶ声が龍徳の耳に入った。
「まただ・・・カナメ女の子が暴漢に襲われているかも・・・女性の悲鳴が聞こえる・・・」
「マジか? どこから?」
「あっちの岩場の奥からだな」
「おいおい・・・潮騒で何も聞こえないぞ? それに・・・よく岩場があるって分かるな? 俺には全く見えないぞ?」
「岩場の奥からだから200メートル以上は離れていそうだな・・・」
「お前の目と耳ってどうなってんだ? まぁ~龍徳が言うんだから本当だろうな・・・よし!じゃ~正義のヒーロータイムと洒落込みますか♪」
「フッ♪ さすがカナメ!」
「当然!女の子に乱暴を働く奴には俺様の鉄拳をお見舞いしてやる♪ 別にナンパが失敗した腹いせって訳じゃないからな!」
「ああ♪ 分かってるって♪ じゃー行くぞ! 砂浜から行くよりこのまま道路沿いに向かった方が早い!」
「りょ~かい! さあ~俺様のヒーロータイムの時間だ!」
「人ごみに入ると流石に聞き取れないな・・・オッと!この辺りから降りた方が良さそうだ!」
「OK!」
その時、カナメにもハッキリ聞こえる悲鳴が耳に入る。
「おい!龍徳!悲鳴が2ヵ所から聞えるぞ!?」
「クッ! カナメは岩場の方を頼む! 俺は防災林の方に行く!」
「チッ!相手が何人いるか分かんねーのに一人か・・・ちょっと気合入れねーとな・・・良し!俺はあっちに行く!龍徳油断するなよ!」
「ハッ♪誰に言ってんだよ!」
「フッ♪だな・・・じゃー行くぞ!」
「ああ!後でな!」
「誰か~!!」
「バカが!こんな場所に誰も来ねえよ!」
「誰か~!」
「おいおい・・・もう逃げられないって・・・そろそろ諦めろ」
「逃げないと・・・早く・・・誰か・・・マイカが・・・誰か助けてー!!」
「はい!ここまでだ!漸く捕まえたぜ!」
「キャァァァ~!!」
「よし!でかした!じゃーお楽しみタイムと行くぜ!」
「イヤァ~!!!」
「大人しくしろ!!」
そう言ってナツミのブラウスを引きちぎる。
「イヤァ~・・・ヤダ・・・ヤダー!!」
「おお♪ この女胸がデケー! 当たりだ!」
「うひょー興奮してきたぜ!」
「さぁ~悪夢の始まりだぜおねえちゃん!!」
「やだ・・・やだ・・・誰か・・・誰か助けてよー!!」
カチャカチャと自分たちのズボンを脱ぐ2人の男の後ろからさらにもう一人の男の影が散数いてくる。
「ぎゃぁ~はっはっはっは~」
「良いぞ!その方が興奮する!」
「おお♪ この娘オッパイ大きいな♪」
「だろう! こりゃ~大当たりだ!」
「オイ!ビデオ取れよ!」
「ビデオカメラなんか持ってないぞ?」
「使えねーな」
その時2人の男が互いに顔を見合わせる
「お前誰に話してんだ?」
「お前こそ?」
そして、バッと振り返ると龍徳の姿があった。
「誰だテメー!!!」
「いやー眼福眼福♪」
「チッ!クソガキがテメーは関係ねーから頭を下げてとっとと帰んな!」
「今なら見逃してやんから今すぐ回れ右しな!!」
「分かった・・・回れ・・・右だな♪」
そう言って回転しながら一人の男に強烈な回し蹴りを叩き込む。
「グエッ!」
「テメー何しやがる!」
「お前が頭を下げるんだったな・・・ホラよ!」
そう言って相手の鼻先にチョーパンをかます。
「グハッ! テ・・・テヘェー!!」
「おお♪鼻血凄いな♪」
「だ・だれ? 助けてくれたの・・・」
「ちょっと待ってなお姫様♪ すぐ終わるから♪」
「誰に口聞いてるか分かってんのか!!」
「知らねえ~よ・・・犯罪者の名前なんざ聞きたくもない・・・」
ブルブルと肩を震わせてズボンの中にあったのかメリケンサックを拳に装着した
「テメーは殺す!」
「プッ♪ ぎゃぁ~はっはっはっは~♪ このセリフ三下が言う奴だ♪ スゲー!!スゲーよあんた♪ マジでそのセリフ言うヤツいるんだな♪」
「死ね! オラ!」
「おお♪ おっかね~♪ 凄い風圧♪ でも当たらな~い♪」
「この野郎逃げてんじゃねーよ!!」
「逃げる?馬鹿か?これは逃げてるんじゃなくって躱すって言うんだ」
「チョコマカと・・・」
その時、もう一人の男が龍徳の足元に手を伸ばして捕まえる。
「オッと!」
「バカが!やっちまえ!!」
「あばよ!正義の味方さん!!」
「ヤレヤレ・・・大人しくしてたら一発で勘弁してやったものを・・・」
すると両足を掴まれているにも拘わらず何事も無かったかのように、その足で足首を握っている男の顔面に蹴りを放った。
「ゴペッ・・・」
その一瞬跡に相手の拳が龍徳の顔面を襲うが、まるで初めから分かっていたかのように身体をよじって当たり前の様に躱してしまった。
「なっ!」
「待たせるとうるせえダチがいるから悪いな・・・」
そう言って左ボディーが相手の腹に深々と突き刺さっていた。
「グェッ・・・」
「あんた・・・タフそうだからこれはプレゼント♪」
そう言って右フックを蟀谷にクリーンヒットさせると100㎏位の巨漢の首が半回転して崩れ落ちた
「さて・・・立てるかお姫様」
そう言って手を差し伸べると一瞬躊躇したものの月明かりに照らされた龍徳の笑顔を見て
「あ・ありがとう・・・」
「いやーそれにしても眼福眼福♪」
そう言って開けた裸体を見つめる龍徳の視線に気が付き
「キャァァァ~!!」
恥ずかしさの余りまた、しゃがみこんでしまった。
「ゴメンゴメン♪ ほら♪」
そう言って自分のシャツを脱いで放り投げる
「目のやり場に困るからそれでも羽織っておきな♪」
「あ・ありがとうございます。 あっ!友達が!友達のマイかも助けて頂けませんか!!」
『ふむ・・・怖い目にあったばかりだと言うのに人の心配か・・・』
「そっちは俺の友達のカナメが行ってるから大丈夫なはずだが・・・」
「本当ですか!?」
「今から行くけど一緒に行くかい?」
「は・はい!お願いします! あっ!助けて貰ったのに自己紹介がまだでしたね・・・私はナツミ・・・工藤ナツミといいます。助けて頂いてありがとうございました。」
「ナツミさんか♪ 良い名前だね♪ 俺は龍徳・・・神谷龍徳だ♪」




