小さな小さな 大冒険!74
「良くもやってくれたじゃねぇ~か!」
「まだ何もしていないがな・・・」
「うりゃっ!」
後ろから倒れていた男が龍徳を羽交い絞めにした。
「バカが! 調子コキやがってオメェは大人しくしていろよ!」
そう言ってレイナを地面に倒すと龍徳のボディーに拳を突き上げた。
「オラッ!」
「まだまだ!」
続けざまにもう一撃鳩尾に拳を叩き込まれるが・・・
「周りの奴らみたいにお眠んねしてな!」
『誰だっけ・・・んん~!そうだ!』
「神谷さん! 逃げて下さい!」
「ぎゃ~はっはっはっは~♪」
「逃げろってよ!」
「逃がさねぇ~けど!」
すると
「やれやれ・・・鈴木君だったね・・・チョット待ってろ♪
「何を・・・?」
「ぎゃぁ~はっはっはっは~何が待ってろだ!」
「正当防衛成立だな♪」
そう言って羽交い絞めされている状態で脱力し相手の大勢を崩した瞬間、やくざがさらに力を込めて龍徳を持ち上げようとしたタイミングに合わせ後ろに大きく跳躍したのだった。
「ぎゃぁ~はっはっはっは~ぎゃぁぁぁぁぁぁ~!!!」
「なっ!」
相手の背後に跳躍しながら飛び越えると同時に相手の腕を取って肩を外すと同時に大きく投げ飛ばしたのだった。
「ふむ・・・久しぶりの割には身体が動くな・・・そう言えば中々良いパンチだったよ♪ だけど本物のボディーブローってのは・・・こうだ!」
何が起こったのか訳が分からず目を見開いて呆然としていた相手の懐に潜り込むとお返しとばかりに強烈なボディーブローを叩き込んだ。
体重100㎏以上はありそうな立派な体躯の大男の身体が一瞬浮き上がる程の強烈な一撃
ミシミシ・・・ミキッ!っと肋骨の折れる音と共に一撃で地面へと沈むのだった。
「さぁ~お待たせ♪」
そう言われてキョトンとしているレイナの顔を見ると微かに赤みが掛かっていた。
「可哀そうに・・・ここも擦りむいて」
そう言うとイソイソとハンカチを取り出し自動販売機で水を買って濡らすと傷口を拭き始めた」
「痛っ!」
「ゴメンな。しみると思うけどバイ菌が入ると良くないから・・・このハンカチで頬を冷やして」
そう言ってレイナの手にもう一つのハンカチを絞って渡すと今度はバンドエイドを取り出し傷口に貼り始めた。
「さぁ~立てるかい?」
「は・はい・・・」
龍徳に差し出された手を取りボーっとしながら立ち上がる。
「あ・ありがとうございました」
深々と頭を下げお礼を述べるレイナに龍徳が優しく微笑みかけた
「大事になる前に間に合って良かったよ♪」
『何この人・・・カ・カッコいい♪』
「ってな事があったのよね~♪」
「はぁ~その時からレイナさんは龍徳様の事がお好きなのですね♪」
「そうなの・・・はっ!」
ウッカリ答えてしまい夢の世界から我に返る
「フフ♪ 隠しきれてませんから丸わかりですね♪」
「フン!そう言うナツはどうなのよ!」
「何がでしょうか?」
「貴方だって神谷部長の事が好きなのは知ってるのよ!」
そうレイナに言われキョトンとするナツ
「わ・私が龍徳様の事を・・・好き・・・」
「なによ!気が付かないとでも思ってたの?」
「私が龍徳様の事を・・・」
レイナに言われた言葉が頭の中に木霊する。
「お~い!ナツさ~ん? どうしたの~?」
「はっ!も・申し訳ありません・・・」
「もしかして本当に気が付いてなかった訳?」
「いえ・・・私が龍徳様の事を好きだなんて・・・そんな・・・あのお方を好き・・・」
そう言葉を繰り返す中ナツの顔が赤く染まって行く。
「はん!まさか気が付いて無かったとは驚いたわ・・・」
「レイナさん・・・」
「何よ?」
「好きってどうの様な感じなのですか?」
「はぁ~ヤレヤレだわ・・・ナツが神谷部長に対してどんな風に思っているのか・・・それを教えなさいよ」
「龍徳様の事・・・」
「そう!胸が苦しくなるとか!ドキドキするとか!あるんじゃないの?」
「あぁ~!そう言う事ならございますわ♪」
「その気持ちを教えてよ」
「フフ♪ 心がフワフワしたり♪ 温かくなって満たされたり♪ もちろんドキドキする事も卒中ですわね♪ でもそれが嫌じゃないんです♪ 気が付くと龍徳様を目で追ってしまい傍に来られるだけで幸せな気持ちになります♪」
言い終えたナツの頬が赤く染まっている。
龍徳の事を思い出す度に熱を帯びた自分の頬を覚ます様に手を当てて語っていた。
『完璧にホレてるじゃないのよ・・・』
「どうされたのですかレイナさん?」
ワナワナと肩を許しながらレイナが声を放った。
「それが好きって感情でしょうが!」
その言葉にポカンッとするナツ
「この感情が・・・わ・私が恋を・・・」
沸き上がる初めての感情の正体に気が付き頭に手を当てるナツ
「これが恋・・・」
「そうよ!全く! って・・・何を私は敵に塩を送ってるのよ・・・」
今度はレイナが頭を抱えて悩み始めた。
暫くして微笑みを浮かべたナツがレイナに声を掛ける
「フフ♪ レイナさんはお優しいですね♪」
「いきなり何よ!」
「いえ・・・でもありがとうございました。
「何感謝してるのよ?」
「フフ♪ この私が恋と言うものを味わう事が出来ると思っていませんでしたから・・・」
「フン! でも私は負けないわよ!」
レイナの言葉を聞いて驚いた様に目を開くナツが静かに目を閉じて話を続けた。
「ですが、私は、このステキな感情を大切に胸にしまいます。」
「へっ? どう言う事なの?」
「この戦いがどの様な形で終わっても私が龍徳様に思いを伝える事はあり得ません・・・」
その言葉を口から発した瞬間、ナツの胸がズキンっと痛む。
その痛みを和らげるように右手を胸に当てた。
「何で?」
「私は必ずレインベールをソンメルから奪還し、この国を救わねばなりません・・・その後、圧政により苦しめられた民たちを率いる者が必要なのです・・・そうなれば当然、王女として私が女王となる責任があります・・・」
「ふぅ~ん・・・ま・まぁ~私はライバルが減る訳だし構わないけど・・・ナツは本当にそれで良いのかしら?」
レイナの言葉に唇を噛みしめる様に沈黙して頷くナツの姿があった。
■閑話休題 若かりし頃の龍徳
これは、龍徳が大学生だった頃の話・・・
夜の海岸で数人の男達の怒声と助けを呼ぶ女性の声が響き渡る。
「嫌だー―――」
「うるせえな・・・おい!女の口を塞げ!」
4人の男達が2人の女性に乱暴を働こうとしているようだ。
「誰か―――」
「早く口を塞げ!」
「お・おう・・・」
オドオドした2人の男が可愛らしい女性の腕を捻り上げ砂浜に押し倒す。
「マイカ!何するのよ止めなさいよ!」
「ナツミ!私に構わず逃げて!助けを呼んで!」
男の掌で口を押せ付けられていたにも拘わらず噛みつき男が怯んだところで大声でもう一人の女性に指示を出す。
「そんな・・・わ・わたし・・・行けないよ!」
「このままじゃ・・・ムグ!」
「おい! そっちの女も黙らせろ!」
そして、もう一人の男がナツミと呼ばれた可憐な女性に襲い掛かった。
「キャァァァ~!! 嫌ぁ・・・誰か・・・助・・・・ムグ!」
「チッ! グズが! それにしても・・・ゴクリ・・・久しぶりの上玉だな・・・」
嫌らしい目を向けマイカと呼ばれた女性の開けた服装に舌なめずりをする。
「モガ!ムググ!ンー!!」
「おいおい・・・そんな目で睨むなよ・・・余計に・・・興奮するだろうが!!」
そう言ってマイカのお腹に拳を叩き込んだ
「ウゲ・・・ゴフゴフ・・ウゥ・・・」
「んん~! んん~!」
その光景を見たナツミが声を出してマイカの事を心配するが、同じ様に口を抑えられて声にならない。
「おい! そっちの女も丁寧に教えてやれ・・・これから何が起きるかをな!!」
下種な男の言葉にナツミの顔が青褪めていく




