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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!72


目の前にまで龍徳が迫ってくるとすかさず抱き着くポーズで口元を龍徳の口へと合わせるが・・・

「部長~♪・・・あれ? 部長が消えた・・・」


あと20~30㎝っと言うところで、龍徳の姿が見えなくなる。

どうやら結界の中は別の空間になっているようだ。


「ちぇ! 見えないだけかと思った・・・それにしても・・・本当に凄い・・・神隠しってこんな感じなのかしら・・・

そんな事よりも! 部長~・・・早く戻って来て下さいよぉ~!!」


龍徳の姿が消えてしまえば何も面白い事などないのだ。

すると何もない空間からヌゥっと龍徳の姿が現れた。

口元が動いている事から何かしらを呟いているのであろうが、やはり何も聞こえない。


そして、龍徳がレイナの目の前に来て、腕を組み右手の拳を口元に当てて真剣な表情になった。

「ヒャァァァ~ 近い・・・こんな近くで・・・」


恥ずかしそうに顔を染めてはいるものの、その場所からレイナは動かない。

「この距離で見ても部長ってカッコいいなぁ~・・・ゴクリ・・・これは・・・色々本番に向けて・・・チャンスかも・・・愛しています部長・・・」





その時龍徳は・・・

『どうやら詠唱が作用したようだな・・・』

そして、光が止むと・・・


「レイナ君?・・・」

目の前にいたはずのレイナの姿が消えていた。


「分かっていたけど・・・どう言う原理何だ?」

そう言って結界の境目へと歩いていくと先程まであった結界の場所に手を翳す


「やはり何もないな・・・」

そのまま結界があった場所を通過するもやはり何もない。


「レイナ君! 俺の姿が見えるなら触れてみてくれ!」

そんな事を何度も繰り返すが何のリアクションもなかった。


「見えなくなるだけかと思ったが・・・どうやら空間が存在しないようだな・・・亜空間ってヤツか・・・」

先程、空間がぼやけていたギリギリの場所で何やら物思いにふける。


『予想以上に凄まじい結界だったわけだ・・・』

そもそも結界の中は下界の40分の1以下のサイズになってしまうとナツが話していた。


『これは、小さくなってるんじゃなく結界の中は40倍以上に拡大されている世界と言う訳か・・・』

そこまで考えると・・


『なるほど・・・結界の影響で巨大化出来ない訳じゃないのか・・・ハッ♪』

鼻で笑いながら首を軽く振る。


「馬鹿だな俺は・・・そもそも魔の森を通り越しても小人の状態でいるんだから・・・小人化の指輪の効果は持続しているって事じゃないか・・・』


大きくなったり小さくなったりと繰り返して居れば頭がこんがらがるのも無理はない。

そして、何かを思い付いたのか結界の封印を解き始めた。


「我が名は神谷龍徳!古の契約に基づき!我が前に真実を顕せ!」

すると同じ様な目が眩む光を放つと・・・レイナの声が聞こえ始めた。


「愛してます部長♪ これだと堅いわね・・・

愛しております♪ 龍徳さん♪・・・キャァァ~♪ これは良いわね♪

でもやっぱり・・・龍徳様・・・心から愛しています・・・キャァァ~♪ ステキ~♪ 

はぁ~この結界凄いわ♪ 全然部長に聞こえないみたいだもの♪」


どうやら龍徳に告白する練習をしていたようだ。


そんな光景を目の前にして龍徳には珍しく硬直してしまったようだ。

『な・何をやっているんだあの馬鹿・・・ったく・・・』


だが、そんな一途なレイナの姿が好ましくもあった。

『ったく・・・此奴は・・・俺なんかよりもっといい男がいるだろうに・・・困った奴だ♪』


レイナは、まだ龍徳にバレていないとでも思っているのか龍徳に口付けしようと顔を寄せる

「ん~・・・」

『あれ?・・・リアルな感触が・・・はぁ~ん♪ これ最高♪』


すると龍徳に強く抱きしめられた。

「アン♪・・・」

『あれ? これって・・・まさか・・・でも・・・どうでも良いや・・・幸せ過ぎて何も考えられない・・・はぁ~ん♪』



その後、腰が砕けて地面にへたり込むレイナの姿があった。

「はぁはぁはぁ・・・」

「大丈夫か?」


「はぁはぁはぁ・・・も・申し訳ありません・・・我を忘れてしまいまして・・・」

「そっか♪」


「あの神谷部長?」

「どうした?」


「その・・・あの・・・」

『キスした実感はあるんだけど・・・神谷部長からあんな熱のこもったキスなんて・・・前はお酒が入ってたし・・・やっぱり夢・・・いやいや・・・私の妄想かも・・・』


いつもなら仕方なくと言った感じだったキスが、今回は求められるかのようなキスだった事で、レイナが自分に起こった出来事を理解しきれないでいると・・・


「レイナ君が余りにも可愛いから我慢できなかった・・・ゴメンな・・・キス・・・嫌だったか?」

『へっ? 今なんと・・・・』

絶句してレイナが固まっていると・・・


レイナの目から涙が溢れ出した。

「なっ! 泣くほど嫌だったのか!?」


「グスン・・・ち・違います・・・グスン・・・」

「じゃ~何で泣いてるんだ?」


「だって・・・部長が・・・部長が・・・エ~ン・・・」

号泣。


「だって・・・だってぇ~ 部長が・・・エ~ン・・・」

子供の様な泣き方・・・

飾り気のない綺麗な涙に龍徳がそっと優しく指で涙を拭う。


「ホラ・・・少しは落ち着いたか♪」

そう言ってレイナを優しく抱きしめる。


「エ~ン・・・部長~大好きです~エ~ン・・・」

「フフ♪ 知ってるよ♪」


「ヒック、ヒック・・・嬉しくてぇ~エ~ン・・・嬉しくてぇ~~」

「よしよし♪ レイナは俺の前だと子供だな♪」




その後、落ち着きを取り戻したレイナに龍徳の仮説を伝え町に戻る事となった。

余談だが、アルケミーまでの帰り道、負けず嫌いのレイナがナツに張り合ってアホほど魔力を使い切っては俺からの魔力供給を見悶えながら受けまくっていた。


毎回申し訳ないとは思うが、ハッキリ言ってエロ過ぎる。

パパちょっとヤバいかも・・・龍聖君が許してくれたら・・・って!イカンイカン!

龍聖君・・・弱いパパを許してね♪





そして、皆で食事を終えると来る日に向け各々思う事があるようでハルは父であるアキと2人で酒を飲みながら昔話をし始め、レイナはナツを連れて女同士の会話を楽しんだようだ。


そして俺は、いつもの様に我が子を風呂に入れた後・・・

「龍聖君・・・何度も聞いたけど・・・もう一度パパのお話を聞いて貰えるかな?」

「あいっ!」


うむ・・・良い返事だ・・・

「今回・・・ナツを助ける為に一緒に来たけど・・・出来れば今からおじいちゃんのお家で待っていて貰えないかなぁ~?」


多少なりとも危険はあるだろうと当然予想はしていた。

だから、小人の国に向かう前に親父に預けようと考えていたのだが、どんなに頼み込んでも

『パパと一緒が良いぃ~!!』


と泣きつかれてしまい

『じゃ~パパの言う事を絶対に守るんだよ?』

っと龍徳が折れてしまったのだった。


ところが、予想以上に厳しい戦いに正直、我が子を守り切れる自信が無くなっていたのだった。

母親がいない龍聖は、当たり前だが龍徳にベッタリなのだ。

本当であれば一瞬たりとも龍徳と離れていたくない。


その為、万が一を考えて最低限の強さを身に付けさせようと一緒に特訓をしていたのだ。

予想以上に成長の早い我が子に・・・


『これなら連れて行っても大丈夫そうだな・・・』

っと少し油断していた事は間違いない。


実際、ここに連れて来てからも出来る限り危険が及ばない様に最低限の経験を積ませようと実戦形式で戦わせもした。


ハル達から聞いていた小人族の戦闘力と巨人族である我が子のポテンシャルはそもそも違うのだ。

正直、修行などしなかったとしても余程の事がない限り命の危険など無いと考えていたのだ。


根拠はある。

元が巨人族である龍徳は当然、龍聖もレイナも小人化の指輪を使用しても肉体強度や肉体の強さなどまで40分の1以下になる事はないのだ。


分かり易く言うのであれば、通常の時速4㎞程度の歩行速度は小人状態だと時速160㎞以上の速度になる。

当然時速30㎞で走るとなると小人状態では、音速の世界の速さに感じるのだ。


修行前のナツ達は、多少鍛えていたとはいえ精々、小人族の平均値の倍程度の力しかなかったのだ。

小人状態の体感速度である時速40㎞で走っているつもりでも巨人族である龍徳達から見れば時速1㎞にも満たない速度なのだ。


攻撃力や防御力に至ってみれば巨人族の64000分の1以下。

出会った頃は、鍛えているアキで、精々巨人族の20000万分の1以下と言ったところだった。

それでも一般的な小人の3倍は強いのだから本当であれば大したものなのだが・・・


だからこそ、当たり前の様に剣も持つし鎧も来ているのだ。

魔法がなかったらハッキリ言って生きて行くのは困難と言わざるを得ない。


昔、昆虫が人間と同じサイズだったら正解最強の生物だと本に書いてあったが、至極当然の事だと思う。

身長が180㎝位の俺が小人状態になると実際には4.5㎝程度しかないのだ。

人間と同じサイズどころの話ではない。


自分の倍以上のカマキリなどシャレにならない強さだ。

魔法がなく肉弾戦だけであれば100%殺されていたに違いない。


今だから言える事だが、ハッキリ言って最初の頃は頬が勝手にヒクヒクしていた事をハッキリ覚えている。

さっきも言ったが、小人状態だと時速10㎞程度の移動速度や攻撃速度は体感的に時速400㎞を超える。


なので、体長3メートルを超えるカマキリなどシャレにならない。

イメージで言うのであれば両手に持った巨大な鎌を自由自在に操る・・・否、それ以上に危険な化け物にしか見えない。


魔法なしで倒す為には、小人状態で最低でも巨人状態のデコピン程度の威力が無いと話にならない。

なので魔法の身体強化を使用するのだが、それでも本当に難しかった。

体重の軽い小人状態だと速さがあっても重さが圧倒的に足りないのだ。


巨人状態で体重64㎏とした場合、小人状態だと体積比率で言えば1グラムしかない。

実際に計ったらもう少し重かったが・・・それでも僅か数グラムしかないのだ。


その状態で、巨人状態のデコピンの威力となると体感速度マッハ2以上の速さが無いと吹き飛ばす事が出来ない。


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