小さな小さな 大冒険!68
『う~む・・・レイナ君は普段は冷静で仕事も出来るんだが・・・偶にポンコツ振りが半端ないな・・・』
そんな事を龍徳に思われているとも知らずレイナが話を続ける。
「龍徳様・・・の凄さを知らない方には無理もないでしょうね!
『様?・・・うん♪ スルーしておこう♪』
「それは、どう言う事ですかな?」
「龍徳様は、常人では不可能と思われる事を簡単に成し遂げるお方なのです。
深遠な龍徳様の頭脳を我々のような凡夫が理解するなど不可能というものです♪」
「じゃが、敵が潜伏している場所を確定しての戦略となると万が一違っていたら・・・」
アキが当然の意見を述べる。
「あり得ません!」
するとそのアキの言葉をレイナは一刀両断にする。
「じゃが・・」
「私は今まで龍徳様の言葉を疑った事がありません。
実際、予測された事で間違えたこともありません。」
「フフ♪ レイナ君ありがとう。」
「部長~♪」
不意に龍徳から褒められ喜びの笑顔が零れるレイナ。
実際龍徳から名前を呼ばれるだけでも嬉しいのだ。
それほどまでにレイナは酔心しきっている。
「説明を加えましょう♪」
「そうして頂けると・・・」
そして龍徳が何故敵の配置を確定した戦略を立てたのか一つ一つ説明し始めた。
「先ず、敵は私達が反乱軍を率いて攻め込む事を既に知っている。」
「それは、理解しておる。」
目を閉じてコクンと頷くと
「その場合、心理としては中央に近づけたくない」
「それが分かっているのに何故?」
「敵がソンメルで無くなっている可能性があるからだ!」
「ソンメルが?」
「ソーマは不完全な解呪によってある程度は話す事が出来る。
ところが、ソンメルの名は出せても6年前の謎の男の話だけは封じられている。
それと占い師アストゥーがソンメルの右腕と言われているが、ソーマは殆どその姿を見ていない。」
「それのどこがソンメルの話に繋がるのだ?」
「確かにソンメルによって陰邪石が復活しソーマを復活させたとも取れるが、それならソーマがその事を知らない訳がない。」
「そう言えば龍人はソンメルの話をしないのではなく知らないと言っておったな・・・」
「考えればおかしな話じゃ・・・」
「その事から謎の男はソンメルの手の者ではない事が分かる。
もし謎の男がソンメルの指示によってソーマを復活させたのであればソーマがソンメルの事を知らない訳がない。」
『ハァ~ン♪ 神谷部長~なんて凛々しいの♪』
「そして、ソーマを使役している存在が謎の男とアストゥーの2人という事は・・・」
「アストゥーもソンメルの手の者ではない・・・と?」
「そうだ。そこで思い出して欲しいのが、ソンメルの右腕という事だ。」
「ですが、それさえもソンメルが指示を出していた可能性もあるのでは?」
「それはない。」
「何故断言できるのじゃ_」
「アストゥーの情報が秘匿されているからだ。」
「それはソンメルも・・・否・・・そもそもソンメルは・・・」
「そう。ソンメルの情報は秘匿されているのではなくソーマは知らない。
最大の秘密であるはずの陰邪石でさえも話す事が出来たソーマが知らない
・・・おかしいと思わないか?」
そう言われて初めて周りの者がハッとした顔をする。
「最初からソンメルとは別の組織がある可能性がある。
最悪・・・」
「「「「「最悪・・・?」」」」」
龍徳の言葉を聞きゴクリと固唾を飲んで次の言葉に耳を傾ける
「最悪、ソンメルも利用されている可能性がある。」
「そんな・・・」
「なるほど・・・龍人の存在を知っていればソンメルが黙っているはずが無い・・・」
「そう言う事だ。 そこで、先程も話したが、アストゥーがソンメルの右腕と言う矛盾。」
「「「確かに・・・」」」
「そうまでしてソンメルに取り入るには理由があるはずだ・・・」
「理由?」
「そこでソーマから聞いた事を思い出して欲しい・・・6年前に復活したソーマだが、これは謎の男が拘わっている。」
大半が手を口元に当てて考え込む。
「それから3年前のクーデター・・・この時まではアストゥーは存在しない。
フューラーさんに陰邪石を使用した事を考えれば陰邪石が不完全ながら生成されていた事は間違いない。」
「うむ・・・」
「そして今から6ヵ月以上前に陰邪石が完成している。
これを成し得た存在がアストゥーだ。 それ程の人材がソンメルの手の者ではない違和感。」
「・・・・・」
「そして、ソーマは下界でアストゥーを見つけた話は出来ない。
他の小人族なら話せるのに・・・アストゥーだけは秘匿・・・おかしな話だ。」
「間違いなく意図的に隠されていますな・・・」
「そう。では、誰によって秘匿されているのか・・・」
「それは・・・間違いなく謎の男によってですわね・・・」
話を黙って聞いていたナツが此処で話に賛同し始めた。
「フフ♪ そうすれば自ずとソンメルの意図しないところで動いている敵がいる事が想像に容易い。」
『『『『『容易くない!』』』』』
龍徳の話を聞いていた者が同時に思ったという。
「ソンメルの右腕としてレインベールだけではなく4大都市を自由に動けるアストゥー・・・それなのにその顔は知られていない。」
「そう言えば・・・だが、シュナイダーはアストゥーを知っているはずじゃぞ?」
「そうなのか? だったら後で、シュナイダーから話を聞いた方が良さそうだな・・・。」
「だが、今は治療中で話せる状態じゃないそうだ。」
「ふむ・・・」
「それより龍徳殿の話で、敵が他にもいる可能性がある事は分かったが、それと今回の戦略がどうつながるのだ?」
「ああ♪ 簡単だよ♪ アストゥーと呼ばれる未来予測が出来る魔術師がいるのに俺達を罠に嵌めない道理はない。」
「「「「「あっ!」」」」」
「ソンメルとしてはナツの存在は一番の障害でしかないはずだ。」
「た・確かに・・・敵がおったから気が付かんかったが・・・」
「それを考えれば、今回の俺達の反乱は、間違いなくソンメルには知らされていない。
となれば、レインベールが戦闘態勢を整えているとは考えられない。
間違いなく普通に忍び込む事が出来るだろう。」
「だからか・・・」
「それなら中央に敵の化け物がいる可能性が高いかも知れんな・・・」
「じゃが・・・あんな化け物を中央で暴れさせればレインベールとてただでは済まんぞ?」
「だろうな・・・」
「だろうな・・・って・・・」
「だからそう言う事だろう?」
「どう言う事なの龍徳さん?」
「本当の敵はレインベールがどうなろうと関係ないと思っているって事だ。」
「「「「「なっ!!」」」」」
「恐らく今まで以上に凶悪な魔物であろう3体以上の化け物・・・それが暴れたらレインベールは壊滅するだろうな」
「クッ!」
「それにしても敵の化け物が・・・」
「そうね・・・まさかレインベール城にいるとは・・・」
「考えもしなかったよ・・・」
「だからこそソーマは兎も角、4大都市の領主と貴族が一丸となってレインベールの民を外に連れ出す必要がある。当然人手が必要である事は間違いない・・・」
「だから全部隊を国民の避難誘導に当てているのですね?」
「そうだ。だが、敵があれ程の化け物となればちょっとやそっとの力では殺されに行くようなものだ。」
「クッ! 言葉もないわ・・・」
「だけど敵は最低でも3体の化け物・・・」
「だからぁ~♪ 神谷部長が、私達を最前線に配置したんでしょう♪」
『様付けは終わったのか?』
「まぁ~そう言う事だ。」
「今度は、最初から精霊を出すもんね!」
「そうじゃな・・・もう油断はせん!」
「そうですわね・・・私もお役に立って見せますわ!」
「でも・・・ナターシャ様、宜しいのですか?」
「城の事なら心配ありません。・・・そもそも国民がいるからこその国であり城なのです。」
「「「ハッ! 仰せの儘に・・・」」」
「フッ♪ 先程も話したが、城の西側からハルとレイナ。」
「任せて!」
「お任せください部長♪」
「城の東側を」
「ワシと・・・」
「ワタクシですね・・・」
「頼んだぞ!」
「ウム。手を抜く余裕はなさそうじゃからな・・・」
「ご尽力感謝いたします龍徳様。」
「でも正面入り口と北側はどうされるんですか?」
「当然、正面入り口は俺と龍聖が受け持つ。」
「南側は?」
「ソーマが対応する。」
「「「「へっ?」」」」
「で・ですが、龍人は敵の手に・・・」
「・・・だそうだ?」
それまで沈黙していたソーマが口を開いた。
「貴殿も人が悪いな・・・」
「「「どう言う事?」」」
「いやいや・・・俺だって知らなかったからな? さっきお前から聞かされたんだろうが!」
「作戦会議中でも最初に話しておけばよかろうに・・・」
「ねぇ~!!どう言う事なんですか?」
「教えてください部長!」
「簡単に言えば・・・」
「吾が龍徳の配下に加わったという事だ。」
「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇ~!!!」」」」」」」
その驚きの声に静かに龍徳の膝の上で眠っていた龍聖が目を覚ます。
「むにゃむにゃ・・・ぱぱぁ~・・・おっきのじかん?」
「まだだからもう少し眠っていて良いよ♪」
そして、絶句から我を取り戻したレイナが・・・
「ななななな・・・なんでそんな大事な話をしてくれなかったんですかぁ~!!」
「だから作戦会議の少し前にソーマから聞かされたんだって!」
「そもそもどう言う事なのですか?」
「ソーマ!」
「貴殿も人使いが荒いな・・・簡単な事だ。我ら龍人は強き者に従う習性があるというだけだ。」
「そうなの?」
「うむ。 吾は人間などに負けた事がなかった故知らなかったが・・・」
「だったら・・・相手の情報が全部聞き出せるんじゃないの?」
「残念だが、陰陽術の効果が消えている訳ではない。」




