小さな小さな 大冒険!66
「じゃな。それにしても・・・」
「まさか、龍人が本当にいるなんて・・・」
その言葉に周りの視線が一斉にソーマに注がれる。
「ん? そんなに珍しいか? ふむ・・・確かに珍しいか・・・相変わらず人間とは面倒臭い生き物だな。」
太々しい態度で寝っ転がるソーマの姿があった。
「さて・・・ソーマ。洗いざらい喋って貰うぞ。」
「グルル・・・約束だからな・・・何でも聞いてくれ。」
そこには、先程までの荒々しさや冷酷さなど微塵も感じさせないソーマがいた。
「全部だ。お前が知っている事を全部話せ。」
「グルル・・・ちょっと長くなるぞ♪」
「構わん。」
龍徳の言葉に静かに目を伏せながら最初に前置きとして
「吾は呪いが掛かられているから全部は話す事が出来ん。」
そう切り出して語り始めた。
要約すると
古よりこの大陸にはいくつかの龍の巣と呼ばれる場所が存在する。
その場所を教える事は出来ない。
現存する龍が何体いるかは分からない。
大昔に陰陽師と呼ばれる集団に捕らえられ隷属させられていた。
自分の意志に反して行動を制限させられる呪い。
命令が泣ければ自由に動く事も出来ない封印のようなもの。
怒りの感情は湧くが、どうしようもなかった。
その陰陽師も時と共に姿を消していきここ数百年は龍の巣で眠りについていた。
ところが、今から6年程前にソーマの前に一人の男性が姿を顕す。
その男の名は言う事が出来ない。
不完全な解呪であった事と年々、弱まって行く呪いであった事で、昔に比べれば自由に動く事が出来たもののどうしても行動の制約が付き纏った。
最初は、この国を亡ぼす様に命令を受けたが、自分より矮小の存在を攻撃するなど龍としてのプライドが許さなかったとの事だった。
ここで、龍徳が質問する。
「そもそもお前は何故小さい姿なんだ? 本当であればもっと巨大であるはずだ。」
その答えが
何故、大昔から龍が見つからない存在なのか・・・
その理由はあまりにも簡単な話であった。
「400年以上飲み食いしてないんだぞ? 当然体も小さくなるだろうよ。」
これには、驚いた。
ソーマの話だと龍とは不老不死の半精神生命体と呼ばれる存在らしく。
飯を食わなくとも死にはしないが、生きている限りエネルギーは消耗し続けるらしい。
実際には、体長25メートルもの巨大な姿だが、そのままの姿で眠りについてしまうとエネルギーの消費も莫大であった為、人型の姿となって眠りについたそうだ。
人型と言っても小人ではなく小人達が言う巨人族の状態でだ。
その状態で400数十年眠りについていた事で、小人サイズまで縮んでいたらしい。
ここで、興味を持ったレイナが
「って事は、もし起こされなかったらどこまで小さくなっちゃうの?」
確かに興味がある。
そして、その答えに再び驚かされた。
「最小限の大きさになった事はないが、蚤よりも小さくなるはずだ。」
要するに、この世界に龍が残っていたとしてもソーマの話通りであれば2ミリ以下程度の大きさになっている可能性が高い。
巨大だと思っていた龍がまさかの盲点である。
さらに、陰陽師の封印によって封じられている力は、中途半端な解呪のせいで、今以上の力を出す事が出来ないらしい。
そして、話を戻した。
この大陸を滅ぼす事には反対したものの、ある程度の命令には逆らえない。
そして、3年前に周囲の魔物を誘導しレインベールを襲わせた。
それから外の世界の小人族探しを手伝わされ日本各地を回ったそうだ。
『そう言えば2~3年前にニュースで空を浮遊する未確認生物の目撃談が相次いでいたな・・・』
レインベールの文献を元に見付ける事が出来た小人の町は全部で8ヵ所。
ソーマの封印を解いた何者かが未熟だとは言え小さいながらも龍本来の姿に戻る事は出来た事で、何度も何度も他国の町を占領しては配下に加えていったそうだ。
そして、その中にいた占い師にこう言われたそうだ。
「2年後・・・アルマにお主が求めている者が現れる。」
それまでは、興味の無かった事だったが、自分が求める存在が現れるのであればと武器の町アルマの新たな領主として龍徳を待ち続けていたらしい。
「その男の名は?」
そして、ソーマの次のセリフに俺達は凍り付いた。
「アストゥー・トーア・ストウトと名乗る占い師・・・否、魔術師だな。」
「それって確か・・・」
レイナが目を見開いて龍徳を見る。
「話が繋がってきたな・・・」
右の拳を口元に当てレイナの言葉を肯定する。
「ベンジャミンとフューラーに陰邪石を埋め込んだ張本人・・・」
いつもは冷静なナツの目に怒りの光が見え隠れする。
「それにしても2年以上前に既にアストゥー・トーア・ストウトがいたのは間違いない。そうなると・・・」
「ええ。何故半年前から邪法を?」
その話を聞きソーマが目線を反らす。
「お前・・・何か知っているな?」
「むっ・・・むぅ・・・怒らんか?」
『どうやらこの話は言えるらしいな・・・』
「分かった約束しよう」
「うむ。吾の細胞を研究するのに時間が掛かった。
それと陰邪石の生成に時間が掛かったようだな。」
「「「「「はぁぁ~?」」」」」
「昔から陰陽師の奴らが使っていた陰邪石は、そもそも我ら龍族の莫大な魔力を帯びた身体の一部を人間に植え付けておった事が発端よ。」
「そう・・・なのか?」
「うむ。 だから人間共は龍族を捉えようと躍起になっておった。
まぁ~片っ端から殺してやったがな♪」
「で、捕まったと・・・」
「それは、奴らが卑怯であったからだ! 本当であれば、彼奴ら如き・・・グルルルル思い出しただけでも腹立たしい!」
「フム。要するにソーマの肉体の一部を素材として使う事で魔物の様な姿にしていると言う訳だな。」
「そうだ。だが、我の素材その儘だと耐えられる人間が殆どいなかった事で、長い年月をかけ生成に成功した。それが、陰邪石と呼ばれる第二の心臓だ。」
「なる程な。その為ベンジャミンさんとフューラさんが実験台となった訳だ。」
とここまで話した時に矛盾を感じ質問する。
「だが、フューラさんは確か・・・3年前に陰邪石を植え込まれたと・・・どう言う事だ?」
「だから言ったであろう。陰陽師モドキが6年前に現れたと・・・」
「そいつも陰邪石を作れると?」
「否・・・ハッキリ言って失敗作も良いところだろうな。」
「だが、ベンジャミンさんの方も・・・!?」
ここで、2人の違いに気が付いた。
「そう言えば・・・ベンジャミンさんの方は会話にならなかったものの・・・喋っていた!」
「「「そう言えば!!」」」
ナツ達もどうやら気が付いたようだ。
「と言う事は陰邪石のクオリティがかなり改善されたと・・・」「
「うむ。兎に角、頭が切れる男だ。もう一人の男の不完全な陰陽術を解析し今では、その者よりも能力は上であろうな。」
「となると・・・例の噂も本当かも知れんな・・・。」
ここでベンジャミンが声を発した。
「礼のって・・・巨大な魔物の姿がレインベール周辺で目撃されたって話ですか?」
「あり得るな・・・僅か1年であれだけの違いがあるんだ。」
「そうだね・・・半年以上たっていれば」
「そうじゃな・・・もしかしたら完成しておるかもしれんな・・・」
「ソーマ・・・それについて知っている事を話してもらおうか」
「ふむ・・・ざんねんだが、吾はこの1年アストゥー・トーア・アトウトとは話しておらんからな・・・」
「そうは都合良くいかないか・・・」
「だが、魔物の報告例は聞いているな。」
「って事は、目撃されたのは間違いないの?」
「うむ。」
これによって噂ではなく確信へと変わっていく。
「それと・・・どうして、そうまでして俺と戦いたかった?
その胡散臭いアストゥー・トーア・アトウトとか言うヤツの言葉を何故信じる気になった?」
「ふむ・・・龍徳との戦いについては呪いによって今は言えんが・・・アストゥーの話は簡単な事よ。」
「それは何だ?」
「彼奴は占い師・・・否・・・正確には未来視が使える魔術師だったというだけの事よ。」
「未来視・・・?」
「ウム。」
「じゃ~なにか? そいつには未来が見えるとでも?」
「そうだ。」
「本気で言っているのか?」
「嘘は言わん。」
「100%の予知が出来ると?」
「否、本人曰く70%位の確立だそうだ。
だが、外れたとしても全てが外れる事はないらしい。」
「・・・だとしたら・・・俺達の襲撃は全てバレている・・・。」
「「「あっ!」」」
レイナ、ハル、アキの三人が龍徳の言葉に声を失う。
「それと・・・ナツの存在もな。」
「あっ!」
ナツが八ッとした表情で龍徳の姿を見る。
「どうやら・・・このまま襲撃に行かなかった事は正解だったようだ。」
「そ・そうだ!ソンメルよ!ソンメルは何をしているの?」
「龍徳にも話したが、何度かソンメルって野郎にもあったが、今は知らん!」
「今は知らんって・・・」
「奴など一年以上見ておらんからな」
「だったらソーマを操っている男は何をしている?」
「忌々しいが・・・今、吾を束縛しているのは6年前の男ではなく先程話したアストゥーだ。」
その言葉に龍徳の顔が僅かに曇る。
「どう言う事だ? お前の自由を拘束しているのは6年前の男じゃないのか?」
「詳しくは分からん・・・が、1年以上前の事だが、アストゥーの命令に逆らえない自分がいる。 とは言っても不完全な陰陽術で解除されたままだから大半の事には抵抗するがな。」
「これ以上は何も知らなさそうじゃな。」
そうアキが話を纏めようとした時、レイナが口を開いた。
「陰邪石? 陰陽術だか何だか分からないけど・・・あんな化け物が後何匹いるの?」
四大都市の内2ヵ所にもいるのだ。
当然レインベールにいない訳がない。




