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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!56


龍聖は面白くなったのか強そうな相手と一騎打ちごっこをする様になっていた。

「アハハハハ・・・傷が治っとる・・・」


どうやら氷の精霊ゼリーの効果は龍徳同様治癒能力に特化しているらしい。

相手の攻撃を防いでいてもリーチの違いで若干であるが龍徳をヒヤヒヤさせていたのだが、顔に付いた傷が一瞬で消えてしまった。


「痛い・・・もぅ~!!龍聖君怒った!!  メラメラ!!ドッカァ~ン!! ビリビリ!!ドゴォ~ン!!」

「へっ?」

龍聖の擬音と共に巨大な輝く炎や青白い稲妻が発生し周囲をメチャクチャに破壊していく。


「あぁ~うん・・・龍聖君なら・・・」

現実逃避しようとしたようだが、逆に冷静になってしまう。


「なんじゃそりゃ~!?」

いつものクールな龍徳が崩壊したようだ。



「我が子ながら恐ろしい子・・・さて、残るは・・・」

そう言ってフューラーの館の前に辿り着くと2人の大男が不敵な笑いを浮かべていた。


「どうやらお前達が2つ名って奴で間違いなさそうだな♪」

「ハッ♪ どうやらこの騒ぎの首謀者は貴様のようだな・・・」

「やってくれるじゃね~か!」


「はいはい♪ とっとと終わらせて貰うぞ・・・陰邪石を回収したいから♪」

「なっ!?」

「何故それを!!」


「ビンゴだな・・・」

「ゲイル!こいつはヤバそうだ!」

「ああ・・・合体魔法でいくぞジョージ!!」


そして、互いの魔法を押し付ける様に両手で覆うと爆発的に魔力が増大していく。

「4属性複合魔法! 漆黒の炎!!」


ゴォォォ~!!っと巨大な炎が龍徳に向けて放たれるとゲイルとジョージの目が驚きに見開かれていく。

「なっ・・・何だその大きさは・・・」

「これが・・・炎なのか?」


そこには直径150メートル程の巨大な炎球が浮かび上がっていた。

「悪いが時間を掛けるのは好きじゃないんだ・・・アマテラス!!」

そして龍徳が放った炎が2人の漆黒の炎を飲み込んでいくと周囲を一瞬で焦土と化した。


「建物の一部が消し飛んじゃった・・・探知魔法に反応があるし・・・ノープロブレム!」

トン!っと跳躍し焼失した4階に片足を付いた瞬間。


「カハッ!」

キィィィ~ンっと凄まじい速度で吹き飛ばされ隣の建物に直撃した。

龍徳が吹き飛ばされた場所を見ると巨大な蛇の尻尾が揺れ動いていた。


「グハッ!」

「龍徳!今治してあげるからね!メガアクアヒール!!」

「良くも我が主を! 死ね!ダークインフェルノ!!」


怒りを露わにしたイフリートが館の前へと浮かび上がると螺旋状の破壊の炎が館全体に直撃した。

ドゴォ~ンっと凄まじい轟音と共に周囲に衝撃波が及ぶ。

爆炎と共に砕け落ちる周囲の建物がその威力を物語っていた。


「何だと・・・吾の炎を受けて耐えるだと?」

そこにはとぐろを巻いた巨大な蛇の姿があった。


「やるではないか炎の精霊よ・・・」

地獄の底から聞える様な低い声は、その蛇からだった。


「よもやこの状態でもダメージを受けるとは思わなかった」

「だったら私の雷を喰らいなさい! ギガボルテックス!!」

その光景を見つめていたシルフィーがシュッ!っとイフリートの横に現れると天空から一直線に落ちる巨大な雷の柱が大蛇を襲った。


「クッ!なんて稲妻だ・・・吾も回避せねば・・・」

そう言って慌てて龍徳の近くへと回避する。


カッ!っと輝くと共に膨張させられた大気が轟音と共に周囲に鳴り響く。

プスプスプスっと焦げ臭い匂いが立ち込めると

「まさか・・・この魔法で生きているの?」


自分のトグロの中に頭をしまい込みノソノソと鎌首を持ち上げる。

「グロロロロ♪・・・今のは効いたぞ・・・」

「なんて化け物・・・」


「コイツ・・・大昔に見た記憶があるな・・・」

「その話詳しく聞かせろ。」

眉を顰めたイフリートの横にスイッチの入った龍徳の姿があった。


「ご無事でしたか我が主!」

「それよりも今の話は何だ?」


「ハッ! 前回施されていた呪術の上位版とも言うべき邪法です。」

「ディーナ!グノム!暫く時間稼ぎを頼む!」


「「了解!」」

「イフリートもう少し詳しく聞かせろ」


「はい。以前は昆虫でしたが、蛇などと融合させる邪法は陰陽術と呼ばれ正しき心の持ち主であればあるほどより強い邪と融合させる事が出来る恐ろしい術でございます。」

「そんなものまであるのか・・・」


「はい。さらにその上に完全なる魔と融合する禁断の術が存在します。」

「どうやら思っていた以上に深刻な状況な様だ・・・」


「そうですな・・・何やら大昔の匂いがします。」

「行くぞイフリート!」

「ハッ!」


「コイツなんなのぉ~?」

「ボクの魔法は氷なら効くみたいだけど・・・」

「凄まじい生命力で傷が回復していますわ・・・」


「待たせた皆!」

「「龍徳♪」」

「ご主人様♪」


「ちょっと本気で暴れるから・・・お前達は周囲を結界で覆ってくれ・・・」

「「「「は・はい!!!」」」」


『い・胃がキリキリする・・・これは我が主と出会った時のお顔だ・・・』

『凄いプレッシャー・・・これが龍徳の本気なの?』

『はぁ~ん♪ ご主人様♪ 素敵ですわ~』

『ギャァァァ~ 龍徳が本気で怒ってる・・・全力で防御しないと・・・』


そして、4体の精霊が四方を囲むように位置すると互いの結界を発動し始めた。

「うにゅ~・・・これ以上進めない・・・あっ!パパだぁ~♪」



「さっきのは効いた・・・」

「グロロロロ♪・・・なんじゃ・・・チマチマした攻撃はもうお終いか?」


「そうだな・・・お前が想像以上に強いからちょっと油断した。」

「グロロロロ♪ では遊びは終わりじゃ・・・一瞬で噛み殺してくれる!!」


龍徳の静かな怒りが膨れ上がって行くかの如く、オーラがどんどん大きくなっていく


「噛み切る?それはこうか?」

グォォォ~っと鎌首を上げて龍徳に襲い掛かると地面からギザギザの刃が付いた巨大な物体が蛇の左右から出現し一気に胴体を噛み千切った。


「グギャァァァ~!!!」

「どうした? 俺を噛み千切るんじゃなかったのか?」

そこには冷酷な仮面をかぶった龍徳の姿があった。


そして、その光景を四方に散った精霊達がそれぞれの思いで見つめていた。


「ひぃぃぃ~ 思い出しただけでも胃がぁぁぁ~」

その光景を見た瞬間、どうやらイフリートのトラウマが刺激されたようで悶絶していた。


「今の魔法なの?」

ディーナは目を見開いて驚いている。


「ハァ~ン♪ さすがはご主人様♪」

シルフィーは相変わらず龍徳命のようだ。目がハートになっている。


「はぁ~ヤッパリ龍徳は凄いや~♪」

グノムは目をキラキラさせながら感心したようだ。



「ぎ・ぎざまぁぁ~!!」

「なるほど・・・厄介だな・・・」

シュゥゥゥーッっと傷口が徐々に回復していく。


「はぁはぁはぁ・・・許さん!許さんぞぉ~!!」

そして今度は、先程龍徳を吹き飛ばした何倍もの力で尻尾を向ける。


「ブースト・・・全開!!」

グワッと龍徳の身体から爆発的なオーラが溢れ出し

ドン!っと凄まじい音と共に龍徳に直撃するも


「バカな・・・ビクともせんとは・・・ギャァァァ~!!」

「さっきは油断していたと言っただろうが・・・」

そこには大蛇の尻尾を握り潰す龍徳の姿があった。


「グロロロロ・・・手加減してやれば良い気になりおって・・・」

「能書きは良いから早く来い!」


「舐めるなぁ~!!」

「どうした? そんなものか?」

凄まじい速度で龍徳を攻撃するが掠りもしない。


「遅い・・・攻撃はこうやんだよ!!」

その言葉の瞬間、龍徳の姿がブレ始めると何体もの姿が残像となって現れた。

そして、様々な角度から拳の弾幕を放つ。


「グヘェ! ガハッ! グオッ! ゴハッ!」

「こんなものか・・・もう良いよお前・・・」


「ひぃぃぃ~」

「無属性魔法・・・断罪の刃」

その言葉と共に半透明の巨大な刃が龍徳の右腕に宿る。


すると豆腐でも切るかの如く一瞬にして粉々に切り裂いた。

「カハッ!」

ビクン!ビクン!と痙攣してはいるが、それでもまだ生きているようだ。


「ったく・・・殺すだけなら簡単なのに・・・手間を掛けさせやがって・・・魔眼発動!」

そして、頭部のみとなった大蛇を睨む。


「そこか・・・イーフリート!」

「ヒャイ!」

「力を貸せ!」

「ハッ!」



「アマテラスショット!!」

ただでさえ高熱のアマテラスを指先程の大きさまで凝縮して放つこの技の瞬間最大温度は想像を絶する。

そして、ベンジャミンの時と同様にその姿が人の姿へと戻って行った。


「ディーナ!」

「はい!! 回復だね!」

「そうだ!頼むぞ!」

「了解!」


「シルフィー!」

「はい♪ご主人様♪」

「戦いが終わった事を伝えて来てくれ!」

「畏まりましたわ♪」


「グノム!」

「どうしたの?」


「悪いがこの周辺の荒れ地を修復して貰えるか?」

「は~い♪」



その後、全ての門での戦いも最小限の怪我人を出すだけに留まり無事、ミステーロを奪還する事に成功したのだった。

ディーナの回復魔法によって一命を取り留めたミステーロの領主“フューラー・ランド・レインベール公爵”が目を覚まし体力の回復を待つ事になった。



そして、徐々に回復していくフューラーとナターシャが少しずつ話を進める中、3年前の真相を聞き出す事が出来たのだった。


結論から言うと中立国家ミステーロと言っても国家転覆を計る輩を見過ごせる訳がなかったのだ。

ソンメルは、叔父であるフューラー公爵の食事に陰邪石を磨り潰した物を時間を掛けて盛り込んでいたのだ。


要は、3年前ではなくそれ以前から計画されていたものであると判明したのだ。

何故、陰邪石が食事に盛り込まれている事が発覚したかと言うとフューラーの服用している薬の一部が発見され、それを調べさせたら陰邪石を磨り潰したものだった。


陰邪石は魔物の怨念を凝縮したものを魔石に込める為、錬成に1年はかかるとイフリートが教えてくれたので、かなり用意周到な計画であった事が分かったのである。


体力が回復していくフューラーが4年前から体調を崩し始めた事とその頃からソンメルが接触を図っていた事。

全ては5年以上前から入念に計画されていた事だと分かった。


ソンメルとしては、実際にレインベールよりミステーロの方が厄介だと考えていたようだ。

それも当然の事。

古代都市ミステーロは旧国家でありレインベール大陸で最大の人口を誇るのだ。

 

そして、3年前の反乱の時にはアルケミーを覗く3大都市が結託し、ソンメルと接点が殆どなかったアルケミーだけが襲われる事となったようだ。


既に国民の全員が戻って来ていて現国王であるソンメルとの戦が近い事をフューラーから告げられる事となった。

当然、今まで以上に厳重な箝口令が敷かれた事は言うまでもない。




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