小さな小さな 大冒険!49
「なるほど・・・予想はしていたが・・・ソンメルめ・・・」
「話は聞きましたが・・・本当に良いのか兄さん?」
「ふむ・・・カイルが心配する事も無理はない・・・が」
「フフ♪ ハル達が強くなったって言ったでしょう。」
「それは聞いたが・・・」
「お主は見ておらんからな」
「ゴールデンイーグルを倒したと聞いても・・・」
「ハル達も2人でならジャイアントボアを倒せるまで強くなったって言ったら?」
「ジャイアントボアを倒す?・・・ハッハッハ♪馬鹿言っちゃいかん! あんな化け物を倒せる訳がない♪」
「お父さん!」
「うむ・・・一部だがカイルなら分かるか・・・ホレ!」
そう言って収納からジャイアントボアの一部をドスンっと取り出して見せた。
「な・ななななぁ~!!!」
「見れば分かるな?」
「こ・これはジャイアントボアの樋爪か?」
「正解じゃ」
「いや・・・考えてみれば当然か・・・魔の森を抜けてここにいる訳だし・・・否、それでもジャイアントボアは流石に逃げるだろうし・・・・」
「疑い深いなぁ~」
「お前が信じようが信じまいが俺達はあの時とは段違いの強さを龍徳殿によって身に付ける事が出来たのじゃ・・・先に行っておくがナターシャ様などワシより強いぞ?」
「なっ!?」
「いやですわアキったら」
「ナターシャ様が兄さんより強い?」
「うむ。そのナターシャ様が足元にも及ばないのが龍徳殿だ。」
「えぇ~!!」
「さらに言うのであれば、そこにおられるレイナ殿や龍聖殿もナターシャ様と同格かそれ以上の強さを持っておられる」
「いやいや・・・さすがにそれは言い過ぎでは・・・」
「そうだ! この3人が巨人族って言えば分かるかなぁ?」
「ハッハッハ♪何を馬鹿な事を♪ さすがに騙されん♪」
「いや・・・本当の事だ」
「えぇ~!! だ・だって・・・どう見ても我々と・・・」
「うむ・・・龍徳殿が作られた指輪の魔道具によって今は小人化しておるだけじゃ」
「確かに皆さん指輪をしておられますね・・・」
「驚くなよ?この指輪は小人化だけじゃなく巨大化する事も出来る」
「またまたぁ~兄さんが冗談とは珍しいね」
「良く分かっているじゃないか・・・ワシは冗談を言わん」
「って事は・・・」
「うむ・・・事実じゃ」
「・・・信じられん」
「オッとそうだった。食糧事情も聴いたから後で食糧貯蔵庫に連れて行ってくれ」
「それは構わないが・・・どう言う事だい?」
「さっきも言っただろう?ある程度は予想して居ったからワシの収納に食糧を入れて持ってきておる」
「それは、有難いけど・・・それ位では・・・」
「これだけ説明しても分からんか・・・」
「フフ♪ アキそれは仕方がないと思いますわよ♪ もっと具体的に伝えないと♪」
「そうですな・・・良いかカイル?」
「ああ・・・」
「今の俺達は魔力で言えば3年前の1万倍以上になっておるし、身体能力なら数十倍・・・魔法の強さであれば数百倍から数千倍になっておるのじゃ。よってワシの収納も現在は200メートル四方ほど収納が可能じゃ」
「へっ?」
「これでも伝わらんか・・・」
「ぱぱ~?」
「どうした龍聖?」
「ボク眠くなったから寝ても良い?」
「ああ♪ 話が長くなってゴメンな。このままパパの膝で寝んねして良いぞ♪」
「うん♪・・・でもお話があるからボク後ろで寝てるね♪」
そう言ってフワフワと浮き上がって龍徳の後ろに漂い始めた。
「なっ!?」
へっ? 龍聖君・・・それは何ぞ?
「龍聖君が飛んでる・・・」
レイナが目を見開いて固まっている。
「う・浮いてやがる・・・ハ・ハハハ・・・うちの子天才過ぎる・・・」
流石の龍徳も笑うしかないようだ。
「龍徳様・・・それはどうなっているんですか?」
ナツも驚きを隠せないようだ。
そして、ハル、アキ、カイルの三人は
「「「ナァァァァ~~~!!! 何じゃそれぇぇ~!?」」」
顎がガーンっと落ちていた。
「それにしても・・・どう言う仕組みだ? 全く分からん・・・」
「ハハハ・・・流石は部長の子供です♪ あぁ~ビックリしたぁ~♪」
「私も驚きました・・・」
「オッと話の腰を折っちゃったな・・・ゴメンなアキ♪ 話を続けて貰えるか?」
「あ・・・う・うむ・・・まぁ~こんな感じじゃ♪」
「何がぁ~!? 飛べるの!? 兄貴も飛べるのか!?」
「おぉ・・・お前が兄貴とは・・・随分珍しいな・・・」
「あっ・・・に・兄さんも飛べるのか?」
「いやいや・・・流石にワシは飛べんっと言うよりワシも今初めて龍聖殿が飛べることを知ったからな・・・」
「そ・そうか・・・だが・・・ゴクリ・・・尋常ではない事が起こっている事は分かった。」
「おお!そうか♪だったら話が速い。」
「さっきの話も全て事実って事で良いんだな?」
「うむ。」
「こ・これならソンメルの野郎を倒せるかも知れん・・・」
「ハッハッハ♪ 巨大な魔物を倒せる今のワシらであればソンメルを倒すくらいは訳ないな」
「・・・」
「どうしたカイル?」
「さっきまでは、兄さん達を守ろうと思っていたから伝えていなかった話があるんだ」
「何の話だ?」
「・・・ソンメルの噂についてだ」
「噂?」
「ああ・・・刷り込みって分かるか?」
「うむ。生まれて来たばかりの赤ちゃんが最初に見た者を親と認識するアレじゃろう?」
「そう。それを使ってソンメルには3体の魔物が従属していると噂がある。」
「なっ!? 何じゃと!?」
「どうやって持ち込んだのかは知らないが、刷り込みと調教、さらに薬と隷属魔道具によって最強の魔物を使役しているらしい。」
「ば・馬鹿な・・・第一結界で守られておるレインベールに魔物がいると言うのか?」
「少なくとも1体は目撃証言がある。」
「それは?」
「先程、龍徳殿が倒したと言われたゴールデンイーグルだ。」
「何故それが使役されていると思うんじゃ? 偶に空を飛ぶ姿を目撃するじゃろうが?」
「それが、レインベールの上空を頻繁に飛ぶ姿が目撃されている。」
「なるほど・・・それは確かに有り得ないな・・・」
「残りの2体については獰猛そうな唸り声がレインベールの崖から頻繁に聞こえるそうだ。」
「それも本来なら有り得ん話だ・・・なんて愚かな事を・・・」
「さらに良からぬ事を企んでいる噂もある。」
「良からぬ事じゃと?」
「ああ。 さっきの指輪の魔道具を見てその噂が真実である可能性が高まった。」
「まさか・・・」
「人体の巨大化・・・その噂がある。」
「バカな・・・小型化なら分かるが・・・・そもそも可能だとしてもこの結界の中では不可能なはず・・・」
「だよな・・・だが、朝早く霧が深い日に地響きと共に巨大な影が目撃されているんだ。」
「第二結界によって守られている草原にか?」
「そうだ。」
「これは、只事ではないな・・・ナターシャ様」
「話は聞きました。ですが、それでも私は民を守らねばなりません。
それが、亡き父と母との最期の約束である限り、私は戦います!」
「フッ♪ 意志の宿っている目は見ていて気持ちが良いな♪
安心しろナツ♪ 俺も・・・否、俺達も力を貸すから♪」
「龍徳様♪」
「そうよ! そんな酷い人間は許せないわね!!」
「だよなレイナ♪」
「はい♪ 自分かっ手で利己的な人を見ると会社を思い出します!!
絶対!ぜ~ったいぶっ飛ばすんだからぁ~!! 神谷部長の敵は私の敵!!」
「う~む・・・俺の敵ではないんだがな・・・」
「ナターシャ様!ハルもいますからね! ソンメルなんかに負けて堪るもんですか!」
「そうじゃな・・・」
「みんな・・・ありがとう・・・」
「だが、最悪レインベールの国が吹き飛ぶ事になるかも知れんが構わないな?」
「はい♪ 守るべきは国民です! 城など必要ありませんから♪」
「よし!良く言った!」
「やってやるわよぉ~!」
「ハルも!」
「ハッハッハ♪頼もしい限りじゃな♪」
「畏まりました。私も全力で支援させて頂きます。」
そして、次の日からヴェーラ領には箝口令が敷かれたのだった。
その日より領主のカイルは、ソンメルに不満を持つ周りの領主やナツの親である前国王レオンを慕う領主と話し合い勢力を拡大していく。
既に死んだと思われていたナターシャの姿を見た各領主たちは、ソンメル打倒に絆を深めていった。
そして、龍徳達は、西に100㎞離れた錬金術の町アルケミーへと辿り着くのだった。
「はぁ~大きい街ねぇ~」
「ああ。思った以上に大きい」
「そりゃ~人口5万人の都市だもん♪」
「5万人もいるのか・・・」
「ぱぱ~?ボクお腹すいちゃった♪」
「オッと! ゴメンな♪ ソロソロお昼だもんな♪」
「ごめんなさいね龍聖君♪ ではお昼にしましょう♪」
そして、一つの食堂へと入って小休憩を取っていると。
「それにしても・・・本当に気付かれないものだな・・・」
「うん。相変わらず龍徳さんの魔道具は凄いよねぇ~♪」
「本当ですね♪ この指輪が変身魔道具とは・・・」
「神谷部長なら当然です! これ位の事ならチョチョイのチョイです!」
「いや・・・そんな簡単じゃないぞ?」
「フフ♪ チョチョイのチョイ♪ チョチョイのチョイ♪」
どうやら龍聖は語呂が気に入ったらしい。
「やれやれ・・・だが、成功してよかった♪」
「大成功だよ! フードを被っていなくっても全然バレないし♪」
「そうだな。こうして堂々と動けるのは本当に有難い。」
「お役に立てたなら光栄だ♪」
「それにしても・・・良く1日で作れたよねぇ~」
「1日じゃないぞ? 以前から何度か試してやっと昨日できたばかりだからな?」
「クスクスクス♪ それでも作ってしまわれるのですから同じですわ♪」
「まぁ~天才である部長なら当然です!」
「ウフフ♪ パパ天才だもんねぇ~♪」
「ねぇ~♪」
俺の子がレイナに毒されている気がする・・・
「それと冒険者なんてものがあるとは思わなかったな。」
「うむ。これはワシらも驚いた。」
話を聞くと3年前にはなかったが、勢力を拡大しているソンメルによって作られたらしい。




