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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!! 40


やがて、先程使った魔法が渦を巻きながら浮かび上がってきた。

その泡を標的として新たな魔法を使う。


「メテオ!」

この魔法は本来、大地に触れていた方が威力があるのだが、魔力を込めすぎると危険だったので、水中で使う事となった。


俺の頭上に次々と岩の破片が形成されていき20m程の巨大な隕石へと姿を変えていく。

そして、完成と同時に隕石から炎が吹き上がる。


説明すると時間が掛かるが、時間にすると僅か2秒程の事だ。

海底から浮上する泡に向けメテオを落とすと相反する二属性の魔法がぶつかり合った。



水と風の複合魔法“メガバブルストーム”と炎と土の複合魔法“メテオ”

一瞬数百もの泡の渦が隕石を飲みこんだかの様に見えたが、連鎖反応的に爆発を繰り返す泡の爆弾をものともせず隕石は落ちていく。


泡の爆弾が残り数発となったところで、双方が消滅したのだった。

この魔法により海が荒れてしまったので、魔法ではなく精霊たちの力を借りて元通りにしてもらった。


「ちょっと・・・調子に乗り過ぎたな・・・。海上に戻るか・・・」

なので、今度は、単発の魔法の練習に切り替える事にした。


龍聖君に教えて貰った水上歩行で海上に立つと上空に向け魔法の続きを開始した。


「アクアガトリング! 」

一つ一つは小さく長さが10㎝程度なのだが、両指から発射する事が出来る上、連射数が段違いだ。

秒間数十発もの固形化された水が時速数百キロで直進する。

魔力が続く限り放てるこの魔法は、使い勝手が良さそうだ。


地上で木に向けて使うとものの一秒で巨木が倒れた。

どうやら固形化された水の強度が鉄並みの硬さになっているようだ。


「続いては、フレイムソード!」

最大魔力で発現された炎の両刃の剣が俺の右手に握られている。

徐に頭上に掲げ空中に向け振り下ろすと・・・


水中に当たるまでの間に50mもの巨大な剣に変形していた。

ザバ~ンと水中を切り一瞬だが確かに水が別れたのだった。


「さらに!ファイアージャベリン!」

呪文と同時に巨大な炎の槍が上空に向けてグングンと加速し消えて行く

フレイムソードと同じなのか手に持っている時は2m程だったが、上空を進むと直ぐに100m程に巨大化していた。どれ程の距離を進んでから消失したのかは分からないが、少なくとも雲一つは貫通したのをハッキリと見る事が出来た。



この時の魔法のせいで、後日、テレビをにぎわす事になってしまった

「謎の光の正体は・・?」

など数々の目撃証言があったようだ。

これからは、使い方に気を付けよう・・・。



他にも無属性魔法の練習をしたりと家にいては出来ない魔法を満足いくまで特訓する事が出来た。

「何にしても無人島を購入した事は、間違いなかったな・・・。」

お陰で、今では、全員が目覚ましい成長を遂げる事が出来た。


午前中の訓練である水中移動と水上移動は、全員かなりスムーズに出来るように成長した。

何のかんの言っても龍聖君は、頭一つ抜けていたが・・・俺から見てメチャクチャ余裕があった。


現在の力量差をイメージで伝えるなら・・・龍聖君を1000としたら・・・


俺・・・950

レイナ・・・750

ナツ・・・800

アキ・・・650

ハル・・・650


って感じかな?

何故龍聖君に余裕があるのかと言うと海上追いかけっこの最中、あと少しで捕まえられると思った瞬間!

一瞬で消えた。


最初は何が起こったのか分からなかったが、何度か同じような事があったので、注意していたら気が付いた。

俺の水中移動の速度は、恐らく時速50㎞ってところだと思うが、龍聖君は、時速100㎞はある。

余りの速さに俺の身体が反応しきれないだけだった。


その勢いのまま水面に出た龍聖君を追いかけたら上空20m以上の高さまで登っていた。

正直・・・呆れた。

どんなに精霊が進化して俺達のレベルが上がったとしてもあの領域には時間が掛かるだろう・・・。

これが魔法の才能と言う事なのだと思った。



無人島の中心に作った練習場で、小人化した状態で、バンバン強力な魔法を練習したが、やはり巨大化状態での魔法の練習が一番効果的である事が良く分かった。


何故なら数日間に及ぶ巨大化状態での魔法の特訓により小人化しても威力の差が無くなってきた。

語弊があるといけないが、小人化した場合の大きさなどが巨大化状態と比例しているという意味だ。

以前だったら巨大化状態で10mの魔法は、小人化すると5mと言った感じだったのだが、その差がなくなってきたのだ。



今俺達がいる練習場は200m×400m×50mもの広さだから小人化状態だと幅8㎞×長さ16㎞×深さ1㎞もの巨大な荒野の様な場所だ。

イメージで言うのであれば、グランドキャニオンってところかな?


どんなに魔力を込めても実際の大きさで2m程の大きさでしかない。

魔獣との戦闘を考えると一瞬の魔力で作れる大きさは、せいぜい1mってところだろう。

なので、どんなに強力な魔法を使ったところで、地形までもが消し飛ぶような結果にはならなかった。


ただし、それは、巨大化状態での話だ。

実際、海鳥が群れで襲い掛かって来た時の事だが、龍聖君までもが、一人で倒せるまでに成長したのだった。

羽を広げれば1m50㎝の海鳥だ!小人状態であれば60m以上の巨大な龍にしか見えない。


それが、10羽の群れで襲い掛かって来た時はさすがに驚いたが、レベルアップした俺達にとってはまさに烏合の衆だった。

風魔法で海鳥たちを地面に叩き落とすと土魔法で拘束し攻撃魔法で次々と駆逐していった。


実際生き物を殺す事に抵抗があったのだが、小人状態の俺達は奴らにとって餌でしかない。

遣らなければ遣られてしまうのだ。


しかし、この戦いで、得たものは大きかった。

以前は、倒せなかったであろう巨鳥を一人でも倒せる程のレベルアップを全員が実感した。

その為、慎重に行動していたアキ達も小人の国への帰還を本気で考える事となった。


こうして、無人島での合宿を終え久しぶりの我が家へと帰ったのだが、色々とレベルの上がった魔法は、帰り道でも発揮された。

来るときに5時間程掛かった道のりを帰りは、僅か2時間と言う異常な速さで到着してしまった。


帰り道の速度は、ハッキリ言って気持ちが悪い程だった。

時速に換算して凡そ500㎞って感じだろうか・・・。

本来であれば、風圧を感じるはずなのに全くの無風。


海面との衝撃で船が壊れる事もなく、それどころか殆ど揺れる事もなかった。

海面に水しぶきがどころか小波さえも殆どない・・・水中をすぅ~っと水平に移動している。

イメージで伝えるなら海面上なのに新幹線に乗っているかの様な乗り心地だった。


しかも “ミラージュ”と言う光を屈折させる魔法をハルが覚えた事で、日中にも拘わらず誰の目にも留まらなかった。

なので、実際にエンジンを使ったのは港近くの数十分だけ。

エコだな・・・。



こうして我が家に戻ってから小人の国へと向かう日程や持ち運ぶ者など様々な打ち合わせや買い出しを行い準備が整い次第向かう事となった。

休暇が終わるまで後6日・・・。



そして、俺達は車に乗って富士山を目指したのだった。

現在、ドライブインにて昼食をとっている。



普通の状態であっても危険な富士の樹海なのだ・・・

場所が分かるのであれば、出来る限り最短距離で移動したい。



「小人の国はどのあたりか分かるかい?」

俺は、そう言ってテーブルの上に富士山の近辺のマップを広げた。


するとアキがマップを指で伝わせながら

「だいたい・・・この辺りだと思うのですが・・・地図の範囲が広過ぎてハッキリとは断言できませんな・・・。」


出来る限り詳細なマップを用意したのだが、アキ達にはそれでも広すぎたようだ・・・。

この頃、巨大化している事が多かったので、うっかりしていたが、本来であれば、これだけの範囲を記したマップなど彼らの世界にはないのだ・・・。


なので、アキが指した場所は、富士山の近くにある大室山と西湖、精進湖、本栖湖から算出したようだ。

1200年前の噴火によって出来たとされる青木ヶ原樹海は、標高920mから1300メートルに位置し、30平方キロメートルとも言われる広大な森だ。


簡単に言えば5km×6㎞の大きさのこの森は、小人である彼らにとっては200km×240㎞もの巨大な森になってしまうのだ。

俺達のイメージなら九州の面積より大きい事になってしまう。


改めて小人の国へと向かう厳しさを感じる。

本来は溶岩で出来た台地で、焼け野原の上に出来た神秘の森だ。


溶岩の厚さは最大で25mとも言われている。

場所によっては俺達の大きさであっても通るのが難しい場所がある。


簡単に言えば、我々人間にとっては5m程の溶岩で出来た壁だとしたら、小人にとっては200mもの聳え立つ崖にしか見えないのだ。

なので、たかだか50㎝程の溶岩による段差でも、20mもの高さなのだから出来る限りは巨大化状態で、入りたいのだが・・・本来、富士の樹海には許可を出された者以外が入ってはいけない事になっている。


なので、小人化と巨大化を上手く使いながら進む事になるだろう。

アキの刺した場所は、精進湖よりも本栖湖からの方が若干近い様に思えたので、そこに車を止めて移動する事となった。


期待はしていなかったが、観光名所からであれば楽だったのにとついつい考えてしまう。

これからの過酷な状況が予想される中、レイナは呆れる程にキャンプ感覚だ。

龍聖君は、何もわかっていないので、樹海に入れることに目を輝かせていた。


青木ヶ原樹海の情報では、国により殆どの場所への調査が終わっているとの事なのだが、ナツたち曰く

「絶対に見つかる事はない」

との事だった。


人目を忍び樹海へと足を踏み入れると空気の密度が濃くなっていく。

思った以上に段差の多い地面を龍聖君に歩かせると危険だったので、肩車をしながら進んでいく。


ハル達にとっては、本来崖の高さである段差も今のサイズであればヒョイヒョイと進めるのだ。

進行速度であれば彼らの数百倍以上の速度で目的地へと向かう事が出来る。


と言っても急勾配な場所や溶岩の段差が厳しい場所などが頻繁にあるので、直線状に進む事が出来ない。イメージとしては、100m進むのに10分位掛かっている。

俺一人であれば、もっと早いだろうが、子供がいる事を考えれば、こんなものだろう。


樹海に入る事2時間ほどすると持ってきたコンパスがグルグルと回り始め方向が分からなくなり始めた。

アキに話を聞くと

「ソロソロ小人の国の領域が近くなったからだな。」

との事だった。


俺は思わず感心した。

富士の樹海でコンパスが効かないと言うのは迷信で、大体の場所であればしっかりと方向を指してくれる。

ところが、場所によっては、コンパスに狂いが生じるので、地面の岩盤による影響とされてきたが、実際は、小人の国による結界が影響しているのと事だった。


そして、複雑な迷路の様な溶岩による岩棚をいくつか超えるとさらに空気の密度が濃くなって行くのを感じた。

すると

「アキ!そろそろ結界が近いようです!」

ナツが真剣な目をアキに向けて言い放った。


「そうですな・・・あの目印であった岩山があれば良いのですが・・・・・んん? ま・・・まさか!・・・おぉ!こ・・・これか!フハハハハ♪ 巨大化するとこうも違うものに見える物なのだな♪」

アキが3m程の長方形の形の岩に手を付き撫で始めている。


「まぁ~・・・それ・・・ですか?」

ジィィィ~っとナツもその岩を見つめると

「本当ですわ! あの巨大な岩が・・・フフフ♪ 改めて巨人族の状態とは面白い物ですわね♪」


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