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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!! 35


そして、その後も何度となく魔獣と戦った。

魔獣とは良く言ったものだ・・・。

最初は、何となくイメージで理解していたが、小人の状態だとハッキリと分かる・・・。

あれらは、動物なんて可愛い表現ではない。


しかも嗅覚に優れているからか、必ず見つかってしまう。

カラスなんてドラゴンにしか見えなかったよ・・・。


体長50㎝だよ?羽を広げれば1mにもなる・・・。


小人状態で遭遇すれば40mを超える化け物だ!

動きも早く、嘴は固く、爪は鋭い。

頭も良く狡猾だ!


小人状態だと俺達の体重は1g程度しかない・・・

なので、近距離で羽ばたかれるだけでも吹き飛ばされそうな威力がある。

しかも、普通の大きさの時には気が付きもしなかったが、鳥の羽の中に小石や何かの小さい屑が付いているのだが、羽ばたく時にそれらが、一緒に襲ってくる。


これが、かなり怖い。

実際の大きさとしては、0.5㎜程度なのだろうが、小人状態だと2~4㎝程の石礫と変わらない。

皮膚を掠ればスパッと皮膚が切れる。


ハルのバーニングで倒そうとしたら容易く結界が破壊されてしまった。

しかもアキの泥沼もカラスには効果が低かった。

ナツの凍てつく世界だと飛翔している魔物には相性が悪かったが、周囲に最初からキリを発生させる事で、倒す事に成功した。


この戦いで、かなりの魔力を消費したようだ。

それにしても・・・

人間界で40mの鳥が現れたらパニックどころじゃないだろうな・・・。

それどころか、滅ぶな・・・。



徐々に戦闘に慣れて行き魔力が半分切ってしまったので、別荘に戻ろうと話していたら俺達の前に新たな化け物が現れたのだった。


ハッキリ言って怪物だ・・・。

体長50mオーバー!体高25mオーバー!


長さだけで言えば蛇の方が大きいだろうが・・・この敵は・・・デカすぎる。

まるで、巨大な岩が動いているようだ・・・。


俺達全員の頬に冷たい汗が伝っていく・・・。

俺の目の前には、超巨大な猪がいた。


「これは・・・ジャイアントボア!」

アキの言い放つ声から敵の脅威度が伝わってきた。


「流石に・・・これは危険だ! 静かに逃げるぞ!」

それを理解した龍徳が全員に号令をかけるが誰一人反対するものはいなかった。

「「「「了解!」」」」


俺達が草の茂みを利用して逃げようとした時、足元の注意が疎かになってしまった。

あまりの緊張で、アリの巣を見過ごしてしまった。


やばい!

既に猪どころではない!

何十匹と50cmを超える魔虫の群れが次々と俺たちに襲い掛かってきた。


ハルがファイアバレットを連射し、アキが泥沼を展開していく。

「部長!猪に気付かれたみたい!」

「くっ!ナツ!前方にミストの魔法を出来る限り広範囲に放ってくれ!」


「ミスト・・・?ですか? 分かりましたわ! ミスト!」

猪の周囲にまで、霧が覆っていく。


「よし!レイナ! 魔力を最大に込めてサンダーだ!」

「なるほど! 分かりました! はぁぁ~!! フォーミングサンダ~!!」


従来であれば一直線に手に向かっていく雷がナツの雨を伝達して放電しながら向かっていく。

バリバリバリっと雷鳴を轟かせながら猪に直撃するとギィィィィ~っと甲高い声で鳴いて倒れた。


「やったか?」

「直撃しましたけど・・・ハル!そっちはどうだ!」

「数が多いからフォローお願い!」


見るからに魔力が枯渇し始めている。

「レイナ!ハル達のフォローを頼む! 俺は、猪を見に行く!」

「分かりました!お気を付けて!」

「ナツは周りを警戒しつつ魔力を残しておいてくれって・・・そんなに残ってないだろうけど・・・。」

「分かりましたわ!」



そして、恐る恐る猪に近づくと巨大な魔獣は、何事も無かったかの様に立ち上がる狂喜に満ちた目に光を宿し俺達に向かった近寄ってきた。

不味い・・・これは、俺も戦うしかないな・・・。


「これは・・・仕方がない・・・・・皆! 猪が生きていたから俺も本気で戦うから全員で一か所に纏まって何があっても対処出来るようにしておいてもらえるか?」


「マジ!部長が・・・アキさん!蟻の巣穴は防げましたか?」

「おぅ!これで大丈夫だ!」

「ハルさんは・・・OKですね! ナツさん!こっちへ!」

「はい!」


どうやら、蟻の方は片付いたようだ。

四人が、俺から距離を取り始めるのを見て改めて猪に向き直った。


「へぇ~♪ 威圧って魔法・・・結構使えるみたいだな♪」

先日イフリートから教わった威圧を猪に向けて使っていたのだが、先程の位置で固まっている。


「さて・・・来い!イフリート!」

ナツ達に言われたのだが、こんな召喚で呼べるのは俺位なものらしい


「我が主よ・・・有難うございます。本気で魔法を使っても宜しいので?」

「違う!お前を呼んだのは、アマテラスについて聞いておこうと思っただけだ!」


「畏まりました。 どの様な事でもお聞きください。」

「以前アマテラスの瞬間温度が、4万度って言ってたよな?」

「はい♪間違いありありません!」


「そうか・・・後、この魔法の効果時間はどれ位だ?」

「それは、主が対象と認めた敵を燃やし尽くすまでの間です♪」


「そうか・・・途中で消す事も可能なのか?」

「はい! 魔力の供給を閉じれば魔法効果が消えます!」


「分かった・・・。」

そして、自分の魔力を一瞬で最大に高めると俺の周囲に爆発の様な減少と共にオーラが吹き荒れ始めた。

今では、最大で、半径20m程に迄オーラを噴き出す事が出来る。


そして、右手の平を頭上に翳すと言い放った

「アマテラス!」

突如として俺の頭上に小さな太陽が出現した。

余りの熱量に周囲の大気を燃やし尽くし急激な上昇気流を発生させ始めた。


「ったく! 威力があり過ぎるんだよ! ハァッ!」

そして、猪に向け直径50m以上はあろうかと言う巨大な炎の塊を放つと凄まじい速度で、猪に直撃し一瞬で絶命させてしまった。


炎は、そのまま大地を溶かしながら地面へと穴を空け始める

周囲の木の葉迄、燃やし地面が融解を始めた。

慌てた俺は、急いで魔力供給を遮断した。

イフリートを精霊界に戻すとディーナを召喚し火を消してもらった。


アマテラスの直撃した大地が未だに灼熱のマグマの様な状態となっていた。

ディーナの水魔法が周囲の日を消し始めるとジューっと水蒸気が発生していた。


それと同時に辺り一面に漂う焦げた匂いが充満し始める。

「やっぱり・・・小人の状態でも危険な魔法だったか・・・。これなら普通のファイアでも行けるんじゃないのか?」

これは、俺の率直な考えであった。

今回は、俺以外は魔力が枯渇し始めている状況だったので、万が一の事も考え仕方なく魔法を使ったが、この結果は予想通りだった。



「おっと! 皆~!大丈夫か?」

「無事で~す!」

「何とか・・・」

「なんちゅう威力だ・・・。」

「さ・・・流石は・・・龍徳様・・・。」


「ゴメンな? やっぱり・・・こうなっちゃったな・・・。」

「でも!神谷部長のお陰で、全員無事だったんですから問題ありませんね!」

「そうですな! しかし・・・我々もまだまだ頑張らんとなりませんな・・・。」



思うところは多々あるが、取り敢えずはレイナの言う通り全員無事であった事を良しとする事にした。

そして、この日の特訓は、これで終了しロッジにて一夜を明かす事となった。



そして、二日目は、朝食を食べた後すぐに出発し、より本格的な実践を行う事となった。

昨日は、あくまでも戦闘訓練だけであったが、今日は、昼食を現地で行う。


言うまでもないが、小人の状態でキャンプをするのだ・・・。

考えただけでも恐ろしい。


戦闘は、前日の経験のお陰で、自分達に有利な展開で倒す事が出来るようになっていた。

ところが、食事となると予想以上な厳しさとなったのだった。


単純に食事の準備をするのだから、戦闘できる人数が減るのだ。

人間の状態でのキャンプとは訳が違う。

見張り役となった者は、常に臨戦態勢でいなければならない。


さらに、食材を料理し始めると微かな匂いにつられてやたら魔虫がやってくる。

その魔虫につられ今度は、魔獣が襲い掛かって来るのだから質が悪い。


本来であれば、結界を敷いてからじゃないと危険だとアキには言われていたのだが、どれだけ危険なのかを知っておきたかった俺は、人間の状態でのキャンプを経験させて貰ったのだ。


結果は・・・


「ゼェ~ゼェ~ゼェ~・・・食事処じゃないな・・・。」

「はぁはぁはぁ・・・だから言ったのですがな・・・。」

「ふぅ~通常の戦闘よりもハードになるとは思わなかったよ・・・。」


戦闘班だった龍徳とアキとハルが呼吸も荒く敵を殲滅し地面に横たわっていた。


「お食事・・・どうされますか?」

「順番に食事を摂らないと厳しいですかね?」


レイナとナツが声を掛けてくれるが、正直な話、正しい回答を応えられる自信がない。

小人の状態でのキャンプは・・・今後の課題だな。

その後、皆に謝罪し大人状態となってから食事を摂り直すと二日目の戦闘もより本格的になっていった。


二日目は、俺も積極的に戦闘に参加させて貰った。

基本的には、皆の戦闘経験を優先させたが、敵の数が多い時や巨大魔獣が複数体現れた時などは、俺も参戦したと言った感じだ。


お陰で、今では、100発以上の“ボール”と“バレット”を一瞬で発現させる事が可能となった。

なので、5秒もあれば500発以上は上空に発現させられる。

小さ過ぎると意味がないので、最低でも60㎝位の大きさなのだが、実際のサイズに換算すると精々.1.5㎝程度と言ったところなので、大型魔獣にダメージは負わす事が出来るが、倒すまでには至らなかった。


なので、さらに“ランス”の複数同時発動を強化する事にした。

その結果、全属性の“ランス”を瞬間に50発程出現させられるようになったのだった。

ただし、サイズの大きいランスだと発生条件に影響を受ける事が分かった。


例えば、ストーンランスだと空中に出現させるとなると同じ時間で5発程度だが、地面から飛ばすのであれば50発程となった。空中だと1.5m位の大きさで地面であれば3m以上だった。


アクアランスも同様で、空中の発生は10発程度だった。

若干多いのは大気の水分が影響していたからだろう。


空中では1.5、水っ気のある場所であれば、やはり3m以上の大きさとなった。

水溜まりは当然として、水滴がある草木等からも発生させやすかった。


エアランスは、当然、空中への出現は一番簡単だった。

飛翔する魔獣には効果的だったが、地面を這う魔虫や蛇などの魔獣には効果が薄かった。

サイズは、環境に拘わらず一番大きく4m以上の大きさになっていた。


ファイアランスは、どの場所からも発現できるのだが、50発分となると天候による影響を大きく受ける事が分かった。晴れて太陽が降り注ぐ環境であれば、簡単なのだが、雨の時は5発程度も同時発動する事が出来なかった。

サイズは、晴天時で5m、曇りで3m、雨天時では1m程度となった。


そうそう! 話は変わるが、雨で思い出した。

小人状態だと天候による影響が、半端じゃない。


実際、風速2m程度であってもかなり強く感じる。

10mを超える突風などは、身体を低くしても吹き飛ばされてしまう。


そして、雨だ!

霧雨や小雨程度であれば、問題ない・・・と言うか小人状態だと避ける気になれば雨を避ける事が可能だ。

しかし、地面に当たった雨が飛び散るので、実際には意味がない。


おっと!話がそれたな・・・雨の話だった。

大粒の雨!

これが・・・メチャクチャ・・・“痛い”!


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