小さな小さな 大冒険!338
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当然、ナツが、気が付かなかった想いであっても気が付いていた。
龍徳が少しでもナツに想いを傾けるだけであっと言う間に恋愛に発展してしまう事が分かっていたからこそ徹底的に距離を開けようとしていたのだ。
『ナツは俺の恩人だ・・・。』
これは龍徳の本音だ。
かと言ってもナツに興味がない訳ではない。
レイナと同じ位魅力的な女性なのだ。
心優しく才能豊かな女性に興味を惹かれない男性は少ないだろう。
かと言っても法治国家の日本において戸籍が存在しないナツと籍を構える事は不可能なのだ。
要するに責任が持てない。
無責任の恋愛で良ければ問題ないのだろうが、そう言う訳にはいかない。
龍徳のナツに対しての恩とは言葉に出来ない程のものなのだ。
だからこそ、最愛の息子がいるにも拘らず命をかけて守り続けてきたのだから・・・
そんなナツの幸せを踏み躙る事など許されるはずが無い。
その為に自分が出来る事は全てやると心に決めているのだ。
だが、今回ばかりは状況が違う。
凶悪な悪魔。それも大悪魔である悪魔公爵の2柱が、この世界を蹂躙しようとしているのだ。
一国の軍隊を凌駕する力を持った悪魔が2柱。
長引けば長引く程、人間の世界は崩壊してしまう。
それに伴ってどんどん力を増すと聞かされては短期決戦による勝利を捥ぎ取るほかない。
少しでも時間があれば2人の想いに応えたい・・・
そう思う程、龍徳の心は大きく揺れてしまう。
だが、24時間以内に大悪魔が復活する事は間違いない限りその思いでさえ許されないのだ。
風呂を出て着替え終わった龍徳が自分の部屋に戻ると未だ目を覚まさない2人の美女が、姿を消した龍徳を探すかのように無意識に手が動いていた。
「参ったな・・・」
流石にここまで慕われて心が動かない方がおかしいのかも知れない。
気が付くと眠り続ける2人の唇にそっと口付けをしていたのだった。
「ゴメンな・・・」
キィ~っと扉を閉めると今度は、最愛の息子が眠る部屋へと足を運ぶ。
「龍聖・・・」
スヤスヤと可愛らしい笑顔で眠りにつく我が子の傍に横たわりそっと優しく抱きしめた。
「俺の全て・・・俺の命・・・」
龍聖の頭を抱え髪の毛の匂いを嗅ぐ。
「幸せな匂い・・・俺の好きな匂い・・・」
龍聖を抱きしめる手に少しだけ力が入る。
「ゴメンな龍聖・・・絶対にお前だけは救って見せるって言えないパパを許してくれ・・・」
強気な龍徳らしからぬ言葉・・・
龍徳は分かっているのだ・・・この時代の世界で悪魔が復活すると言う事の怖さを・・・
手分けして結界を施したと言っても時間稼ぎでしかないのだ。
だから分かっているのだ・・・人間の命10万人分など守れる訳がないと言う事を・・・。
魔王となった悪魔から安全な場所が世界に存在しない事を・・・
ルーにも言われている・・・。
龍聖を守りながら戦うなど勝利を諦めると言う事に等しいと言う事も・・・
だからこそ、最愛の我が子を戦いに巻き込まなければならない・・・
そして、目覚めた龍聖に龍徳は親として情けない一言を自分の命より大事な龍聖に伝えたのだった。
「龍聖・・・パパと一緒に戦ってくれるかい?」
「うん♪」
「ゴメンな・・・ゴメンな・・・」
「どうしたのパパ・・・泣かないで・・・誰かに怒られたの?」
「グス・・・違うよ・・・情けないパパを許しておくれ・・・」
「パパは情けなくなんかないもん!龍聖君のパパだもん!分かった!その悪魔って奴がパパを虐めてるんだね!もぅ~龍聖君怒った! パパはボクが守るからね!」
この言葉は龍徳の胸を抉る。
「フフ・・・そうだな・・・パパが龍聖を護らないで誰が守るって言うんだ・・・ありがとう龍聖・・・パパの愛しの息子・・・愛しているよ龍聖・・・。」
そう言って龍聖のほっぺに自分の頬をすり寄せる。
「フフ・・・パパ大好き♪」
「ああ・・・パパも大好きだよ・・・龍聖はなにがあってもパパが守ってやるからな。」
その光景を少し開いた扉の隙間から覗いていたレイナとナツが涙を流しながら見つめていた。
『神谷部長・・・ヤッパリ死ぬ気なんだ・・・いや・・・部長のいない人生なんて考えられない・・・』
『胸が苦しい・・・龍徳様・・・ああ・・・これ以上自分の心に嘘はつけません・・・私は・・・貴方を・・・』
その後、ゆったりとした時間が流れ昼食をとる。
今にも悪魔が復活するかもしれないと言うのに何故のんびりしていられるのかと言えば、神シッダー・ルー・ターキリスから貰った探知魔法具があるからだ。
距離として10000㎞もの範囲であれば、即座に反応を示す魔道具で、大まかな方向と距離しか分からないが、十分であった。
理由は転移魔道具がある限りどこにいても同じ事だからであった。
とは言っても地球上全てを網羅出来る訳ではない。
最悪、予想外の場所で復活されてしまえば最悪の結果となるが、先の戦いで国外にいる可能性は限りなくゼロなのだ。
▽
その頃、北岳の城の中にある分霊石にヒビが入った。
ピキッ・・・ピキピキピキッ・・・パリ~ン・・・
そして、二体の大悪魔が姿を現した。
≪クックック・・・復活したぞ・・・≫
≪フッハッハ・・・見事蘇ったな・・・≫
≪キシャァァァ~!!≫
≪ディザスターも既に復活しておったか・・・≫
≪アスタロトよ・・・メシアに邪魔される前に動いた方が良いのではないか?≫
≪うむ。・・・クックック・・・そうだな・・・時間は掛けない方が良いな。・・・だったら!お主と余の融合魔法を振らせてやるのはどうだ・・・≫
≪フハハハハ!なるほど!あの魔法か!確かにお主と俺様の魔力を合わせればそう時間を掛けずに放てるな!≫
≪では、魔法を発動させるぞ!≫
≪うむ。フハハハハ! メシアもまさか初っ端から、この魔法を使われると考えておるまい!≫
≪能書きは良い!サッサと魔力を練るのだ!≫
≪ああ!≫
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