小さな小さな 大冒険!! 31
読者の皆様には感謝しかありません。
2か月毎にため込んだ小説を一気にアップするので何かとご迷惑をおかけする事もあるかと思いますが、来年も宜しくお願いします。
「何なんだ・・・?」
すると今度はナツがやってきた。
「どうしたナツ?」
「ひゃい! び・ビックリした・・・起きておられたのですか?」
またか・・・ナツにも同じ説明をするとゴニョゴニョと話し始めた。
「あの~その~先程から・・・何と言いますか・・・」
何で話しづらそうなんだ?
「気になるから教えて貰えないかなぁ~?」
「その~」
そして・・・ナツが意を決した様に話し始めた。
「先程から周りの女性たちが龍徳様に声を掛けようとしている物ですから・・・何と言いますか・・・そ・そうです!龍聖君の見ている前で、他の女性が話しかけるなどはしたない行為を見せる訳にはいかないと思いまして・・・」
そうなのか?話しかけられただけで、はしたないのか?
「そ・・・そうか・・・気を使ってもらって悪いな? あぁ!って事はレイナも同じ理由だったのかな? だったらレイナ君にもお礼を俺が言っていたと伝えといて♪」
「はい♪ 分かりましたわ♪」
そして・・・ナツもイソイソと俺から離れて行った。
周りに目を向けると気が付かなかったが確かに俺の周辺に多くの女性が目に入った。
どうやらナツの登場により諦めている様に見えた。
「なるほど・・・これは、本当に助かったかな♪」
結婚する前であれば嬉しい事だが、今の俺は恋愛に現を抜かしている暇などない。
その後、旅館、ホテルと場所を移しながら温泉と近くの名所を観光し海の幸と山の幸を満喫して無事家に戻ったのだった。
最初の頃は、デジカメや携帯電話に驚いていたハル達だったが今では、当たり前の様に使いこなしている。
今回も大量の写真を撮った事で、旅行が終わった後も写真を見ては
「楽しかったなぁ~♪」
とニヘラ~と頬を緩ませていた。
この頃には、全員(龍聖君は除く)最上位魔法が一つは使えるようになっていた事もあって今の環境では、魔法の練習の限界が来ていた事で、新たに物件を購入する話が持ち上がっていた。
幸いと言うべきか・・・夏の終わり頃には、俺を喜ばせようと三人が様々なギャンブルによって大金を貯めこんでいた。
特筆すべきは、以前、購入した宝くじだ・・・。
ナツの運はどうなっているのか・・・。
運が良いなんてものじゃない・・・
サマージャンボ宝くじ一等前後賞付きで見事に当たっていた。
味を占めたのか自分で数を選んで購入する宝くじも乾いた笑いが出てしまう程、当てていた。
そして、7月の中頃には我が家の財政が31億円を超える金額が貯まっていた。
永遠と続きそうなこの状況を半ば諦めた俺は、どうせお金が増えるのだったらもっと増やしてみようと以前からやっている株に全てつぎ込んだ事で、僅か一週間で100億円を超える預金となってしまった。
実際この話にもナツの一声が影響していた。
レイナ君も色々と動いてくれた結果でもあったので、何億かのお金を渡そうとしたが・・・
「そんなお金より部長が良いです~♪」
と頑なに受け取ろうとしなかった。
なので、皆が有効的に使える場所を購入する事となったのだった。
小さな山を丸ごと購入しちゃんと建築許可が取れる場所を選んだ。
そして、千葉県のある場所に36ヘクタールもの土地を購入し新たに家を建てる事となった。
と言っても家だけではない!
1辺が40m四方の2階建ての建物と家が一緒になっている構造だ。
以前から考えていたので、既に設計図も出来上がっている。
大金を投入した事で、信じられない速さで建築が進んでいった。
中にはプールを始めジャグジーやサウナと言った設備のついた大浴場が二つ
トイレは全部で8つ。上下階共に15畳のダイニングキッチンと40畳のリビングがあり
一番小さい部屋でも10畳。部屋の全てにウォークインクローゼット
基本一階にはトレーニングルームや運動施設などの大部屋とし、客間としては3部屋。残りは会議室の様な作りとなった。
二階は全ての部屋がバルコニーで繋がっており高台に位置する立地であった為、景色も悪くなかった。
余りにも大き過ぎた為3分の1は、そうこの様になってしまった。
そして、一番重要なのは、家の下に1辺が60m四方で高さ10mもの地下室を作りここを魔法の特訓場所とした。
小人状態だと1辺が2550m高さが425mもの超巨大な空間が出来上がった。
後で、完成した時に初めて見たナツ達が
「小人の国と同じ位の規模の広さだ・・・」
と興奮した様に驚いていた。
この広大なスペースをグノムの力で限界まで補強すると鋼の強度の地下室が出来上がった。
土地の外周には不法侵入者の防止の策を立て、家と庭の周囲には立派な塀と木々により外から除く事は出来ない様にした。
入り口には、セキュリティゲートが取り付けられているので、万が一にも小人の存在が周りにバレる心配はなさそうだ。
俺は、愛着のある今の家から出るつもりはないので、ここにはアキ達が住む事となっていたのだが・・・
「我々が邪魔ですかな?であれば・・・諦めますが・・・。」
「えぇ~龍徳さんがいないんだったら行きたくない~!」
「う~ん・・・でも・・・建てちゃったし俺も出来る限り顔は出すようにするから別にアキ達が嫌いになった訳でも邪魔になった訳でもないからね?」
「私も・・・龍徳様のお傍を離れたくありません。」
これは・・・困った。
これを解決したのは龍聖君の一言だった。
「嫌だ~!ハルちゃん達と離れるのは嫌ぁぁ~!」
「別に分かれる訳じゃないからな?」
「パパ嫌い!」
「グサッ!」
「龍聖君もうパパと口きいて上げない!」
「グハッ!」
クリティカルヒット・・・ダメージが凄い・・・。
「じゃ・・・じゃ~今まで通りここに住んでよ♪ だけど、強力な魔法の練習はあっちじゃないとダメだよ?」
何のために建てたんだろうか・・・まぁ・・・特訓上は無駄にはならないか・・・。
そう言えば、この土地の建築を始める前に念の為にグノムに頼んで魔石を探したところ1000mの深さに大量の魔石を見つける事が出来た。
以前と同じ位の魔石や魔宝石が見つかったのだが、一つだけ巨大な魔石が混じっていた。
直径31㎝にもなるこの魔石はアキ達も見た事が無いと息を巻いていた。
ナツが言うには、小人族の文献でしか見た事が無いとの事で、巨人族と小人族が当たり前の様に一緒にいた時代には、手に入っていたらしい。
なので、普段、誰も住む事のない家の防御結界として使う事となった。
この結界魔道具は優秀で、俺が許可したもの以外が、建物の中に入る事が出来ない。
新居が完成したのは、僅か1ヵ月!少なくとも3か月は掛かると思っていたのだが、不思議で仕方がない。
手抜き工事にならない様に目を光らしていたので、猶更不思議だった。
監督さんからしてメチャクチャ優秀だった。
他にも重機のオペさん、建築・土木作業員、警備員、内装作業員もろもろ・・・
工事に携わる全てのスタッフが優秀だった。
まさか・・・これも・・・ナツの運だったりして・・・?
11月には完成すると思っていた新居は、驚く事にお盆の時期には完成したのであった。
元からお盆には、長めの休暇を取る予定だったので、思い切って有休を申請すると社長が快く承諾してくれた。
「おぉ! 有休をとるのか? 取れ!取れ♪ そうだ!この際だから神谷君の貢献度も合わせて3週間の休暇を取って良いぞ♪」
予想通りだったが、まさか3週間も休ませて貰えるとは思ってもいなかった・・・否、ある意味当然か?
新商品の開発が無事終わり、その後の販売戦略も完璧にハマった。
6月と7月の売り上げだけであれば前年度の3倍になっているのだから・・・。
なので、俺は遠慮なく3週間の休暇を申請した。
社員は、俺がいない事に不安があるようだが、余程の事でもない限りこの会社の経営が傾く事など有り得ない。
今では、全社員合わせて230名で年商100億を超える優秀企業となっている。
残業も殆どなくなり賞与も年6ヵ月も支給している。
昇給も最低でも5000円以上アップさせているし、有給休暇、特別休暇を含めて福利厚生もかなり充実している。
今では、退職率2%未満の超優良企業だ。
今の状態であれば、万が一俺がいなくなっても経営が傾く事は考え難い。
長期休暇になるので、出来る限りの社員には、激励して回った。
何人かの女子社員が、しつこく質問をしてきたが、話す訳にもいかなかったので、誤魔化すのが大変だった。
そして、8月9日から8月末までの休暇を使って徹底的に魔法について研究と錬磨を行う事なったのだが・・・何故かレイナ君も毎日俺達と一緒にいた。
どうやら俺の右腕である事と今まで有給休暇を殆ど取っていなかった事を理由に会社の上層部を強引に納得させたようだ。
□ □ □ □
SIDE:鈴木レイナ
「全員集合!」
「どうしたの~?」
「どうしたの~?・・・じゃ!ありません! 緊急事態です!」
「私は、分かってますわよ? 休暇の事ですわね♪」
「その通りです!」
「僕だって分かってるからね! これはチャンスだよ♪」
「そうだね! 何としても勝ち取らねばなりません!」
「その通りです! 一人だけ分かっていないようでしたが、安心しました! 神谷部長が8月9日から8月末まで大型連休に入ってしまえば・・・。」
「えぇ~!そんなのつまんな~い!」
「神谷様のおられない会社など行く価値もありませんわね!」
「その通りです! なので、何としても私も有給休暇を取得せねばなりません!」
「なるほど・・・何か良い手は考えているのですか?」
「うっ!・・・それは、まだですが・・・。」
「何をやっているのよ~!」
「そうだ!そうだ~!」
「煩いですね! 貴方達も何か良い案を考えなさいよ!」
「だったら・・・仮病を提案します!」
「おぉ~!天才か!」
「却下!」
「何でよぉ~!」
「仮病など神谷部長にバレたら嫌われてしまうでしょうが!」
「うぅ・・・反省しま~す」
「だったら・・・成功方法で休暇を頂くしかありませんわね・・・。」
「そうです! しかし・・・お盆を合わせて3週間物長期休暇となると実際厳しいと言わざるを得ません。」
「だったら・・・休ませてくれないなら会社を辞めるって言って脅しちゃえば良いんじゃない?」
「ば~か! それも馬鹿レイナの仮病と同じ位ダメダメ発言だからね! ポンコツレイナ!」
「ポンコツって!何でよ~! 私だって会社に貢献したんだから止められたら絶対に困るでしょうが!」
「じゃ~答えましょう! 万が一“だったら辞めてしまえ”と言われたら・・・あんた!どうするの~!」
「グッ!・・・」
「神谷部長に二度と会えないかもしれないのよ!」
「ハァワワワワ・・・私は何て愚かな事を・・・。」
「分かればいいのよ!」
「だったら・・・強硬手段に出ては如何でしょうか!」
「強硬手段って?」
「休暇の取得を前日に提出して承認されようがされまいが休んでしまうのです!」
「なるほど・・・って!そんな事が神谷部長にバレたらどんな恐ろしい事になるか分かっているんですか!」
「それは・・・神谷部長のあの冷ややかな目で、射抜かれながら私のプライドを粉々にする程、辛辣な言葉を投げられて・・・ンン♪ 考えただけでもゾクゾクします~♪」
「それは・・・確かに・・・ちょっと興味がありますが・・・」
「はぁ~メインの貴方が、Mレイナに流されてどうするのですか! そんな事をしたら龍徳様に嫌われてしまうかもしれませんわよ!」
「うぅ・・・そうだわね・・・。」
「では、私からも・・・コホン! 少なからず龍徳様と一緒に会社に貢献した事は事実!それと今まで有給休暇を殆ど使っていない事!さらに一つのプロジェクトが落ち着いているタイミング!これらの武器を持って会社の上層部を貴方の魅力を乗せて説得する事が最善策だと思いますが・・・如何かしら?」




