小さな小さな 大冒険!! 30
そんな中・・・ナツがいきなり行列が出来ている小さな建物を指さして
「龍徳様? あれは何ですの?」
その指の先を目で追うと宝くじ売り場があった。
「あぁ・・・あれは、宝くじっと言ってお金が当たるクジを買うところだよ♪」
「まぁ~♪ お金を出して購入してお金が当たるのですか?」
「あぁ・・・たくさんの人が購入するからそのお金を一等、二等、三等と言った感じで分配するビジネスだな。」
「へぇ~♪ 面白いですわね♪」
「ん? 興味があるのか?」
「ええ♪ 小人の国にはありませんでしたから♪」
「確かに面白いですな♪」
「私も興味ある♪」
「だったら・・・買ってみるかい?」
と言った俺の言葉で、急遽宝くじを購入する事となった。
何が気に入ったのか・・・様々な種類の宝くじを購入する事となり最後にはスクラッチくじまで購入した。
「あぁ・・・外れちゃった~ 私こう言うの当たった事が無いんですよねぇ~・・・神谷部長はどうでしたか?」
「っと!俺も200円だけだったね♪」
「龍聖君も200円当たったよ~♪」
正直俺は、宝くじなど興味がないので、外れるのが当たり前の前提として購入していた。
ところが・・・
「グヌヌヌヌ~また、外れたわい!」
「むぅ~! 全然当たらない~!」
と2人がかなり本気モードでスクラッチを削っていた事にビックリした。
「クスクスクス♪ そんな簡単には当たらないんだよ♪ 確立として何百万分の一以下なんだから♪」
「う~ん・・・それでも当ててみたい・・・。」
悔しがるハルを見ていると隣のナツが
「きゃぁぁぁ~♪ 当たりましたわ~♪ 龍徳様♪ 見て下さいまし♪ これは、一等でよろしいのでしょうか?」
余りのナツの喜びっぷりに皆がナツの周りに集まるとナツの持っている宝くじを見させてもらった。
「・・・・マジでか・・・一等1000万円が当たってる・・・。」
「「「「えぇぇぇぇ~!」」」」
凄い運だな・・・
そして、身分証明書を持っていないナツの代わりに俺が銀行に行って現金を受け取る事となった。
ナツに全額を渡そうとしたが、断固として受け取ろうとしなかった。
それでも、ナツが当てたのだからナツのお金だと伝えると
「では・・・そのお金で色々社会勉強をさせて下さいませ♪ 当然♪全員分に使って下さいね♪」
俺は、嫌みに聞こえるかもしれないけど貯金はかなり持っている。
だから、お世話になったお礼に俺が全部出すつもりだったのだが・・・
「分かったよ♪ だったら・・・ナツ達が興味のあるところ全て行こう♪」
三人が喜ぶのは当たり前だったが・・・レイナまで大喜びだった。
龍聖君は、意味が良く分かっていないようだが皆が喜んでいたので、嬉しそうにはしゃいでいる。
なので、アミューズメントとに行き、昼から焼き肉を食べ、その後、これでもかと買い物をして、休憩がてらにデザートを食べ、龍聖君の為におもちゃ屋さんに行った。
その中で、競馬のゲームに興味を持ったハルの一言で、大井競馬場へ向かい今度は、馬券を買う事となった。
ここで、またしてもナツの強運が爆発した。
龍聖君もそうだが、アキ達三人も馬を見るのが初めてだったらしく興味を持っていた。
それも当然の事か・・・小人から見たら体長100mを超える怪物だもんな・・・。
すると三人が馬に向かって何やら話しかけている様に見えた。
馬券の買い方を説明すると間髪入れずに三人共三連単で購入。
俺とレイナも遊び程度に購入したのだが、お金の価値観が分からない三人は、三連単にまさかの10万円もつぎ込んでいた。
ナツの当てたお金なのだから俺からは何も言う事はない・・・。
が・・・お金を預かっている俺は一緒に購入するので、券売機の前で一瞬たじろいでしまった。
そして・・・
「あぁ~もう~あの子、頑張るって言ってたのに~!」
「ぬぉぉ~あ奴!やる気がないと言っていたではないか~!」
などと訳が分からない事を言いながら悔しがっていた。
すると・・・またしても
「龍徳様♪ やりましたわ♪」
「そうだね・・・」
マジか?券売機で購入したのは俺なんだから当然、ナツが三連単を取った事は分かっていた。
レイナも分かっていたので、未だに目を見開いて固まっていた。
「あの子私を見たら頑張るって言ってましたので、信じて良かったですわ♪」
「あの・・・さっきから三人共何のことを言っているんだい? 誰かと話したのか?」
「えっ? 馬と話していただけですわよ? そう言えば、龍徳様達は、話さなかったですわね?」
あぁ・・そうですか・・・って!何その能力! 流石の俺だって驚くぞ!
「そうか・・・先に言っておくけど俺達には、そんな事出来ないからね?」
「へっ? そ・・・そうなのですか? 知りませんでした・・・。 私達は知性の高い魔物・・・っと、動物であればある程度の会話をする事が出来るのです♪」
頭痛がしてきた・・・小人って・・・つくづくファンタジーな生き物なんだな・・・。
それよりも・・・配当額だ!
電光掲示板を見ると・・・・・
「うぉ!・・・1356倍・・・だと・・・?」
「やりましたね龍徳様♪」
「あぁ・・・そうだね♪」
その後もハルとアキが競馬に嵌ってしまい龍聖君が
「もう龍聖君・・・飽きた~!」
の一言が出る約1時間の間に殆どのレースで勝ちまくっていた。
全ての換金を終え家に帰って数えたら驚く事に3億2000万円以上になっていた。
俺が、一般の社会人が生涯で稼ぐ金額以上だと伝えたのだが、ハル達は何故か頑なに受け取らなかった。
俺も受け取れないと何度言っても
「龍徳さんから受けた恩がそんなもので済む訳がないじゃないの~♪」
「今の我々の強さは全て龍徳殿のお陰ですからな! お金であったらこの何百倍も返さんと会いませんな!」
「そうですわよ?龍徳様にとっては当たり前の事なのでしょうが、我々にとっては、神の奇跡に等しい事をして頂いたのですから当然ですわよ?」
と過大評価し過ぎだった。
なので、新たに銀行でキャッシュカードを作り取り合えず、預かる事にして各自にクレジットカードを渡すと物凄く喜んでいた。
その後も何度か社会勉強を続けた事で、今では三人共普通に巨人化した状態で俺がいなくても電車に乗れるまでに成長していた。
買い物も当たり前の様に行く姿を見ると普通の人間と見分けが付かなくなっていた。
ところが・・・成長した三人が俺がいない平日にも出かけていた事など知る由もなかった俺の前に桁違いの現金が置かれる事になろうとは考えもしなかった。
7月に入りレイナの発案で旅行に行く事になったが、小人達は身分証明がないので、飛行機には乗れない為、国内旅行に行く事になり、在り来たりだったが、熱海温泉にも遊びに行った。
会社も一段落しておりタイミングも良かったので、使ていなかった有給休暇を使い4泊5日の旅行となった。
これには龍聖君も大はしゃぎで喜んでいた。
喜んでいる龍聖にレイナが・・・
「ウフフ♪龍聖君に喜んで貰えてうれしいなぁ~♪ レイナお姉ちゃんがパパにお願いしたんだよ♪ 旅行に行ったらお姉ちゃんと一緒に遊ぼうねぇ~♪」
と・・・抜け目のない行動をとっていた。
その一言にスッカリ騙された我が子龍聖が・・・
「うん♪ レイナちゃん大~好き~♪」
と洗脳され始めていた。
季節は夏!
初めて海を見た三人が
「凄い・・・綺麗~♪」
「なんと・・・こんなに大きな池があるとは・・・。」
「文献で呼んだことがありますわ・・・これは・・・湖と言うものでは?」
と各々驚いていたが・・・当然だよな?
全長3㎞位の湖など・・・彼女達にとっては120㎞に匹敵する。
300m程度の小さな池でさえ12㎞に見えるのだから・・・。
なので、旅行の合間に海でも遊ぶ事となり慌てて水着を購入する事となった。
海に入ると三人共さらに驚いていた。
「ぺっぺっ! うわぁ~塩辛い・・・」
「なんと・・・水が・・・これは・・・塩か?」
「信じられませんわ・・・この水の全てが・・・」
ハルの驚きからならば理解できるがアキとナツの驚き方に疑問を持った俺は2人に質問してみた。
「何をそんなに驚いているんだい?」
すると意外な・・・否、当然だったのかもしれない言葉が返ってきた。
「塩は我ら小人族にとっては、貴重なものなのです。 巨人族の家に忍び込む理由の一つと言っても過言ではありませんな・・・。」
「そうですわね・・・それが・・・この全てが塩だと言うのですから・・・私共の何と小さな世界であった事か・・・。」
その様に語るナツだったが・・・それも仕方がない事だと思われた・・・。
彼等が海に辿り着いたとしても厳しかっただろう・・・。
俺らにとってはさざ波の様な高さであっても彼等には高波に等しい。
カルチャーショックがあったもののその後は、“海”の素晴らしさを三人共満喫していた。
レイナがバナナボートを借りたり色々と動いてくれた事で、俺も龍聖君とたっぷり遊ぶ事が出来た。
「レイナには感謝だな♪」
龍聖とは海の中にも入ったが、大半は砂浜で遊ぶ事となった。
中途半端な事が嫌いな俺は、大量の砂を水で固めサンドアートを作ると周りの人々から拍手喝采が巻き起こっていた。
これには龍聖君が大喜び♪ 目をキラッキラさせて喜んでいた♪
実はちょっとインチキ♪
魔力の無い一般人には精霊が見えないので、グノムを呼び出して手伝って貰った。
じゃないと!一人でこれだけのものが作れる訳がない!
でも!精霊も魔法も俺の力であるのだから嘘は言っていないからね!
海を満喫した四人が陣取りしてあるテントに戻って来るとその後もバーベキューをしたり、スイカ割をしたりと全力で海を楽しんだ。
なるべく意識しない様にしていたんだが・・・それにしても・・・
レイナとナツは、目を引いてしまうな・・・。
2人共プロポーションが良いから水着がとてもセクシーだ♪
2人共ビキニなのに
「どうですか♪ 神谷部長~♪ 私・・・似合ってます? 見て下さいよ~♪」
「龍徳様? あの~どうでしょうか・・・恥ずかしいのですが・・・似合っていますでしょうか?」
と見ているこっちが恥ずかしくなってしまう。
メチャクチャ似合っているし、綺麗だと褒めたら2人共恥ずかしそうに喜んでいた。
今もそうだが、少しでも一人で歩いていると周りの男共が声を掛けるべきかどうかで話している声が聞こえてくる。
「お前行って来いよ!」「アレは流石にレベルが高過ぎだろう~」「芸能人なんて目じゃないな・・・」等様々な声が今も聞こえている。
気付かぬは本人たちのみ
動きっぱなしだった俺の事を気遣ってくれ龍聖君と遊んでくれていたので、今俺はビーチパラソルの下で休憩中だ
サマーベットの横にテーブルを置いてドリンク片手に優雅な一時だった。
「なんか・・・良いな♪ 忙しくて忘れてたな♪」
穏やかな波・・・晴れ渡る空・・・時間も忘れ俺の周りに心地よい空間だけが広がっている。
すると何故か何度となくレイナやナツが俺の傍にやって来ては龍聖の元へと戻って行く。
不思議に思った俺は、レイナが来た時に話しかけた。
「どうしたさっきから?何か手伝う事があるなら言ってくれよ?」
「わぁ~! ビックリした~! お・起きてたんですか?」
「起きてたも何も最初から寝てなんかいないけど?」
「そ・そうだったんですか? サングラスをされていたので寝ているのかと思ってましたよ~♪」
海なのだからサングラスは当たり前だと思うんだが・・・。
「それよりも!さっきから何なんだ?ちょこちょこレイナとナツが来るから気になって仕方がないんだけど?」
「あぁ~アハハ♪ え~っと・・・何でもないです~!」
レイナはそう言うとスタスタ俺から離れて行った。




