小さな小さな 大冒険!294
「なるほどな。その時から俺がメシアだと奴にはバレていたって事か・・・」
「うん。流石に全部の記録を見るには時間が足りないから確定ではないけど君が友人と作った会社の火事もやはりアストゥーの手によるものと考えて間違いないね。」
「だよな。・・・奴は俺を相当に憎んでいる様だったからな・・・」
ギリギリっと拳を握りしめる。
「君が18年前に偶然アストゥーを倒した事で、衰弱しきった奴が、復活する迄は何も出来なかったようだね。まぁ~私もあの時の悪魔がアストゥーだとは思わなかったよ・・・正に因縁の相手だ。」
いつもは飄々としている神シッダー・ルー・ターキリスの表情が引き締まった。
「・・・まさか俺がメシアに覚醒した半分が奴との戦いだったとはね・・・フッ・・・そりゃ~奴からすれば俺は恨まれていた訳だ。だが!人類の進化の過程で悪魔が生まれた話を知っていたのなら以前教えてくれれば良かったのに・・・」
「う~ん・・・。私も今回の戦いに悪魔が関与するとは思っていなかったからね。」
「どうゆう事だ?」
「う~ん・・・。確かに大きな戦いは500年や1000年起きに起こるけど2000年前の戦いの時に君が徹底的に悪魔を撃ち滅ぼしたからね・・・」
「へぇ~そうなのか?」
「うん。ハルマゲドンとも言われる聖戦だったんだよ? あれだけの戦は、そうそうないからねぇ~」
「かと言っても可能性はあったんだろう?」
「まぁ~無いとは言わないけど・・・あの時、魔王が自分で言ったセリフだよ・・・≪必ず余は、蘇って貴様とこの世界を滅ぼしてくれる・・・今より3000年後・・・必ず蘇り更なる軍勢をもって神をも殺しつくしてくれる・・・フハハハハ・・・それまで束の間の平和を楽しむが良い・・・≫ってね。」
「3000年後?」
「そう。悪魔って言うのは精神生命体なんだよ。だけど、この世界に姿を顕現させた瞬間から半精神生命体として活動し始める。何が言いたいかと言うとドラゴンと同じで不死って事だね。魔力そのものと言っても過言ではない彼らは、その力で自分の復活の時期を知る事が出来るんだよ。」
「なるほど・・・本来であれば1000年後に復活するはずだったって事か・・・」
「そう言う事だね。だから今回の敵は、別のケースだと思ったんだけど・・・どうやら話はもっと深いのかも知れないね。」
「理由が分からないって事か・・・」
「ゴメンね。神と言っても全能って訳ではないから・・・」
「いや・・・それが無理だって事は流石に理解したよ。」
只でさえ地上は1000倍の速さで時間が流れている上に地球上の全生命の動きを把握するなど無理なのだ。
正確には世界の理に記録されるアカシックレコードと言われるものを除けば、調べる事は出来るそうだが、膨大な時間が掛かってしまうだけの事。
不可能ではないが、地上と異なる時間軸である神界では、ルーが調べ終えた時にどれ程の時間が経過しているか分かったものではない。
だからこそ、全能ではないとルーは言っているだけだ。
「ところで、アストゥーについては分かった事はないのか?」
「うん・・・」
その質問に何とも歯切れが悪い。眉をひそめ口を開く。
「それが、おかしいんだよ・・・」
「おかしい?」
「うん。まだ全部を調べ終えた訳ではないからなんだけど・・・」
「・・・・・」
言いづらそうなルーの言葉を遮る事なく黙って耳を傾ける。
「恐らく龍聖君の龍の因子と同じなのかも知れない・・・」
「どう言う事だ?」
「正確に言えば“悪魔の因子”・・・とも言える存在の可能性がある。」
「悪魔の因子・・・」
「うん。悪魔は人間の様に子供を作る事が出来ないんだけど・・・地上の生物の身体を借りて顕現する時に自分の魂を分け与える事があるんだ。」
「魂を分け与える?」
「そう。さっきも言ったけど精神生命体である彼らが肉体を伴って地上に現れる為に生命体に憑依するって表現が分かり易いかな?」
「ふむ・・・。」
「その拍子された生命体であれば、子供を作る事が出来るんだけど本来、悪魔が生まれてくる事はないんだ。」
「なるほど。要は、人間に憑依した悪魔に子供が出来たとしても、それは人間であって悪魔にはならないって事だな・・・それなのに悪魔の因子が受け継がれたと・・・」
「そう言う事だね。この様な事例は今までなかったから・・・絶対ではないけど・・・アストゥーの過去のアカシックレコードが存在しないんだ・・・これは、新たな生命として生まれ出でたって事を指すんだよ・・・別に人間であろうが、小人であろうが、獣であろうが数が増えるって事は常に新たな生命が生まれるんだけど・・・」
「なるほど・・・悪魔は子をなさない・・・なのにアストゥーは新しい生命で生まれてきた可能性が高いって事か・・・」
「うん。そうなんだけど・・・」
「何だよ?」
「・・・アストゥーは、恐らく3000年以上生き続けている可能性があるんだ・・・。」
「はぁ~? 精神生命体なんだろう?っとは言っても悪魔だからじゃないのか?」
「さっきも言っただろう? 悪魔が、地上に顕現する為には人間などの生物に憑依しないと無理なんだよ・・・当然、生物には寿命がある。だから憑依した生物の寿命と共に精神生命体へと戻ってしまうんだ。」
「そうなのか?・・・否・・・当然か・・・それに、復活する度に俺が倒しているそうだからな・・・」
「悪魔は子をなさない・・・それなのにアストゥーは新しい生命体としてアカシックレコードに記録があるんだ。 これは、実際に生まれた事を指す。そうなれば世界の理がある限り不死である事は有り得ないんだ。」
「なるほど・・・生命体であるにも拘わらず不死の肉体・・・!!それって・・・」
「うむ・・・この世界ではドラゴンしか有り得んのだ・・・」
この結論に流石の龍徳も目を見開いてしまう。
「おいおい・・・それじゃ何か・・・アストゥーは悪魔でありドラゴンでもある可能性があるって事が言いたいのか?」
「お主の記憶が戻れば話が早いのだがな・・・大昔に一匹だけその特性を持つドラゴンがおったのじゃ・・・」
相変わらず年齢がバラバラの喋り方のルーからの爆弾発言に思案中だった龍徳の目が上がる
「悪魔のドラゴンが存在しただと・・・?」
「うむ・・・その名も、邪悪龍・・・ディアボロス。」
「いやいや・・・それはないよな? そもそもドラゴンであればルーが想像したんだろう?」
「うむ。それは間違いない・・・私が言ったのは、あくまでもそう言うドラゴンがおったという事だからな。」
邪悪龍ディアボロスの話を聞いて思い出すはアストゥーとの戦い・・・
「・・・冗談キツイゼ・・・人間状態のアストゥーでさえあれ程の強さだったんだぞ・・・」
あの強さだったアストゥーが悪魔になり・・・その上凶悪なドラゴンになったら・・・
「とは言え、ディアボロスではない。」
「そりゃ~そうなんだろうけど・・・これは、最悪の設定を大きく変更した方が良さそうだな・・・」
そこから様々な話を続ける中、龍聖の話へと変わり対策を講じるまで、神界で龍聖の魂を預かる事になった。
下界にある龍聖の肉体は、先程ルーが憑依した際に神の加護を掛けてくれたそうで、魂が戻る迄は不死不滅の状態になっているらしい。
そして、一通り聞きたかった話を聞き終わると龍聖の事をルーに任せ俺は、元の世界へと戻って行った。
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