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小さな小さな 大冒険!!  作者: 神乃手龍
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小さな小さな 大冒険!262

私を身籠っていた母上が、命からがら逃げ伸びた先が、南の結界を出た先にある洞穴だったそうだ。

始めは、母を逃がす為に一緒に逃げた護衛達が10数人いたのだが、今となっては2人しか生きていない。


木で作った家の中で私は生まれ、15歳になる迄、細々とあの場所で生き続けた。

その間、母上達からレインベールの話を何度も聞かされてものだ・・・。

何故、我がシュッテンブルク王国が滅びたのか・・・


理由は、シュッテンブルク城の近くにあるとされる地下遺跡が発端であったそうだ。

始まりは、農業の発展の為に大河から水を引くために新たな川となる場所を掘り進めていた時の事だったそうだ。


当時、3つあった国の内の一つであったシュッテンブルクの唯一の悩みが、食糧問題だったのだ。

理由の一つは、魔の森の北東近くであった為、川が近くになかった事と昼夜を問わず魔物の被害が相次いだためと母が教えてくれた。


屈強な兵氏により襲い掛かる魔物を駆除し、徐々に拡大していく農村部であったが、軍事国家ロンベルクや王都レインベールの様に大河が近くに流れていなかった為、ロクな食材が育たなかった。その為の長きに渡り工事を続ける中、地下遺跡らしきものを掘り当てたのは、曾祖父が国王だった時代だそうだ。


地下遺跡に興味を持った曾祖父が、発掘を続けるといくつかの古文書や魔道具と言ったアイテムを発見した事で、シュッテンブルクが魔導国家と呼ばれる程、強靭な国へと成長したと教わった。


地下遺跡の発掘は、想像以上に時間が掛かり祖父の時代でさえ、全体の半分にも満たなかった。

そして、時代は父の時代へと変わって行った時、遺跡の中で神の秘宝が隠されているであろう壁画が発見されたそうだ。


また、その少し前から発展を遂げていたロンベルクが、魔の森の魔物の討伐を一手に担うと言い出し、我がシュッテンブルクから魔導の力を取り入れ小人の国で最強の軍事国家となったとの事だった。


ところが、力を持ったロンベルクを脅威と感じた当時のレインベール王は、策謀を張り巡らせてロンベルクを攻撃し始めたそうだ。

そこで、ロンベルク王は、私の祖父であったガジェンダ王に同盟を結ぼうとしたが、既にレインベール王から遺跡の発掘の中止を付き付けられていた事で、中立の立場を貫いたのだそうだ。


その結果、7年にも及ぶ戦争が続き、当初12ヵ所もあった大都市の内、軍事国家ロンベルクと4つ大都市が小人の国から消え去ったのだそうだ。


表面上は力を付けたロンベルクが、独裁国家としてレインベールを強襲した事が切っ掛けとなった報復戦争と言う事で、周囲には通達されたと母が教えてくれた。



さらに時が過ぎシュッテンブルクの王が、私の父に代わった時、古代遺跡の発掘を以前から批判し続けていたレインベールからのプレッシャーが強くなっていった。


理由は簡単で、古代遺跡の発掘は、小人の国を想像された神への冒涜に他ならない。

しかし、神々の遺産のお陰で、小人の国は劇的に変化を遂げたのだ。


そして、我が父が国王となり3年目に神の言葉が記された壁画が発見された。

その事実は、我が父ガジェンダ王によって隠蔽されたのだが、ロンベルク内には既に密偵が忍び込んでいた。

そして、レインベールが神への謀反と正義を掲げロンベルクへと進撃を開始したそうだ。


軍事国家ロンベルクとの戦で、軍事力を高めたレインベールは、当時から有名であった商人都市パドロネの莫大な資産で、傭兵を水面下で集め凄まじい大軍でシュッテンブルクを攻撃し始めた。


シュッテンブルクの民を一人も残さないかのような卑劣な戦略だったそうだ。

気が付いた時には、シュッテンブルクの領土にあった4大都市は、潜り込んでいた密偵達の手によって内側から滅ぼされたそうだ。


これによって8ヵ所となった大都市の内、4ヵ所もの大都市が滅ぼされ、さらに戦力差が付いたシュッテンブルクは、僅か2年で滅んだ。

それが、今から40年前の話だ。


だが、母が教えてくれた。

全ては、レインベールが、他国を恐れただけで、ロンベルクもシュッテンブルクも何一つ悪い事はしていなかったそうだ。


要は、レインベールの国が最強で、最高だと謂わしめる為だけに戦争が起きたのだ。

その結果、2つの国は老若男女問わず殺害され全ての町は焼かれた。

村や都市には、無条件降伏を望むところもあったそうだ・・・



だが、レインベールは、その全てを蹂躙した。

普段は優しい母が、この話をする時だけは、憎悪にまみれた表情を浮かべていた・・・

最愛の夫を失い、親族の全てを殺され、全ての民を失い、住む家を追われ、略奪され、蹂躙された・・・。


私が9歳になる頃、私の母は無念の涙を流しながら死んでいった。

「神が・・・造られた小人の国で・・・何故この様な悲惨な・・・殺戮が許されるのか・・・憎い・・・全てが憎い・・・私から全てを奪った小人の国・・・全てが・・・」


普段は私に「愛してるわシュナイダー・・・」

そう言ってくれた優しい母の最期の言葉は憎しみだけだった・・・

≪・・・私は・・・復讐者だ・・・≫




こちらも良ければ読んでくださいね♪

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文字数は少ないですが、出来る限り毎日アップしていこうと思いますので宜しくお願い致します。


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