小さな小さな 大冒険!249
「ええ・・・さらにミステーロからも多くの兵が動いたと聞いた事がありますわ・・・」
「なるほどな・・・グルル・・・要するに遺跡か何かがある事をシュナイダーが知っていた・・・もしくは何かしらの逸話を聞いた事がある可能性がある・・・そう言う事だな?」
「そう言う事だ。だから、明日の移動の際はいつも以上に注意する必要があるだろうな。とは言っても現地の状況が分からない俺にはどうしようもない・・・だから、その場に合わせて行動を決めてくれよレイナ!」
「はい!分かりました!」
この様な話をされていたからこそ昨晩も考えていたのだが、流石に考えても結論が出ないと判断した3人は、現地で確認を取りながら進む事にしたのだった。
「こうなったら敵に感知されないギリギリを通って最短でミステーロへ向かいましょう。」
「グルル・・・万が一厳しいと判断した場合のロスタイムを減らす為にはやむを得ないな。」
「そうですわね・・・分かりました。」
こうして、レイナ達はパドロネから10㎞地点を経由しながらミステーロへと向かうのだった。
魔力探知を広げ、走る速度を落としてまでも慎重に慎重に進むと2時間後商人都市パドロネの砦が視認できる位置へと辿り着いた。
「グルル・・・今のところへ行きそうだが・・・」
ソーマの呟きを走りながらナツが相槌を打つ。
「ええ・・・そうですわね・・・」
すると龍聖が珍しく口を開く。
「ねぇねぇ~人が多い方と少ない方ならどっちが良いのぉ~?」
「えっ?どう言う事かな龍聖君?」
「うんとねぇ~正面にお城があるでしょう?」
「うん・・・」
「右はいっぱい人がいるけど、左は少ししかいないよ?」
「「「!?」」」
その言葉を聞いて走行する足が止まってしまう。
「「分かるの!?」」
「あの小さい反応が分かるのか?」
「うん♪ここから10㎞位先に人がいっぱい♪」
あっけらかんと返事をする龍聖に3人が呆気にとられるのも無理はない。
何故なら小人達の魔力の反応は、小さな昆虫よりも小さいのだ。
その為、レイナ、ナツ、ソーマの3人の魔力探知だと5㎞程の位置にまとまった数があれば漸く分かる程度なのだ。
まとまっているとは、最低でも100人以上でなければ気が付きもしない程である。
なので、小さくともギリギリ分かるのは、2㎞を切ってからでないと分からないのだが、これは、障害物や高低差が無ければ、視認できる距離だ。
それを10㎞も離れている場所からハッキリと居場所を言い当ててしまうのだから3人が固まってしまうのも無理はないだろう。
「さすが龍聖君♪」
「うむ・・・流石だ・・・」
「凄いですわ♪」
「ウフフ♪ ボクお役に立てたぁ~?」
「「「モチロン!!」」」
「フフ♪ みんなに褒められたぁ~♪ わ~い♪」
『グルル・・・それにしても信じられん魔力コントロールだ・・・一般兵の反応さえ拾えんと言うのに・・・』
そして、龍聖の指示した通り商人都市パドロネから5㎞程離れた左ルートを進むとパドロネからレインベール城・・・否、正確にはレインベールよりかなり左側へと進んで行く人の姿が見えたのだった。
「グルル・・・止まるぞ!」
「分かったわ!」
「見えましたか?」
一直線にレインベール方向へと歩いている200名程の市民と20名程の兵士が見える。
距離にして2㎞もあるが、ソーマの目にはハッキリと映る。
「このまま進むと見つかる可能性が高いな・・・どうする?」
「そうね・・・時間も時間だから一旦、休憩しましょう。」
「そうですわね。この場所なら木々もありますし、見つかり難いですわね・・・」
そして、少し早めの昼休憩を取り終わるとソーマが確認し再びミステーロへと走り出したのだった。
「パドロネからも大きな魔力の反応が4つ・・・」
「どうやら、このパドロネに敵の戦力が集中していると思って良さそうですわね・・・」
兵士から情報の無かったパドロネから馬鹿デカい2つの魔力とデカい2つの魔力の反応がありレイナとナツがゴクリと固唾を飲んだ。
そして、1時間後。
無事、ミステーロの砦迄6㎞の地点へと辿り着いた。
「グルル・・・デカい魔力が2つ・・・」
「それに馬鹿デカい魔力の反応が1つね・・・」
「アルマの兵士から聞いていた情報通りの様ですわね。」
「さて・・・困ったな・・・」
「ええ・・・」
「なにが起こっているのかしら・・・」
魔力の反応がハッキリ分かるからこそ悩んでしまう。
作戦を建てようとしていたら先程まで、中央にあった反応が、一瞬で砦付近へと移動していたからだ。
本の一瞬、魔力探知から目を離した瞬間の出来事。




