小さな小さな 大冒険!248
「そう言う事だ。その場所が、レインベール城なのかアルケミーとレインベール城の中心当たりなのか・・・それとも他の場所なのか・・・」
「他の場所ですか?」
「ああ。話を聞くと二つの町で連れ去られた住民の数はレイナ達の感覚として200~300名程度だった訳だが・・・18日前に攻め込まれてからその日に全面降伏とはいかないだろう。さらに全兵士を洗脳する時間もかかっただろうしな・・・そうなると1週間ほど前から住民を連れ去っているとした場合、一つの町から約2000人程度連れ去られたという事だ。」
「なるほど・・・その可能性は高そうですわね・・・」
「恐らく食糧の問題や住民を管理する兵士の数で、日々連れて行かれる住民の数が決められている事になる・・・」
「グルル・・・それと他の場所の可能性とどう言う関係があるのだ?」
「だからだよ・・・住民の多いパドロネとミステーロであれば、より多くの住民が連れ去られていてもおかしくない。そうなると既にレインベール城の周辺に最低でも1万人以上もの住民が集結している事になる。」
龍徳の話を聞きナツが目を見開いた。
「あっ・・・確かに・・・そこまでの住民を管理できるほどの兵士がいる訳がありません・・・」
「グルル・・・どう言う事だ?」
「良いかソーマ?・・・先の戦闘で間違いなく兵士の半数以上に死傷者が出たはずだ。お前はレインベールの兵士の数が2万だと言ったよな?そうすると半分としても1万人しかまともに動ける者がいない。それなのにお前達は2つの町で既に2600人もの兵士を開放しているんだぞ?」
「あっ・・・」
ここで、レイナも気が付いたようだ。
「なるほど・・・兵士達は住民が勝手に動けない様に監視しなければいけないんだから・・・当然、ミステーロにもパドロネ似も・・・もしかしたらレインベール城にも、同じ様に兵士が必要だわ・・・」
「グルル・・・そう言う事か・・・ん?そうなると殆どの兵士は大都市にいる事になるが・・・」
「だからだ・・・アルマは武器の町であるからこそ兵士が多かった可能性も否めないがな・・・レインベール城を抜いたとしても恐らく残り二つの町の兵士の数は、合わせて5000人と言ったところだろう。」
「グルル・・・ふむ・・・ミステーロもパドロネも人口が20万人以上いるから元から兵士の数が多かった都市だったな・・・なるほど・・・兵士の大半が住民を監視しているって事か・・・」
「そうだ。」
「って事は!連れ去られた場所に2000人いるかどうかって事ですね!」
「そう言う事だ。まぁ~予想としては、1000人もいないだろうな。」
「グルル・・・だが、1000人の兵士がおれば1万人の住民を管理する事は可能なのではないか?」
「馬鹿かお前? 24時間監視し続けるんだぞ?」
「グルル・・・なるほど・・・そうなると500人もいるかどうか・・・」
そのソーマの言葉にナツが付け足す。
「いえ・・・恐らく200人程度ですわね・・・少なからず、全ての町から民を連行する役目の兵士もいるでしょうし、小人の国には20以上もの村もありますから当然、村にも兵士の目が光っているはず・・・そうなると、僅か200名の兵士で草原にいる1万人を監視するのは流石に無理ですわね。」
「だが、条件を満たしていれば、少ない兵数で住民を監視する事が出来る・・・それが、発掘作業だ。」
「「「!!!」」」
「確かに・・・穴を掘るのであれば、出口は一ヵ所・・・」
「広範囲に目を光らせる必要はありませんもんね・・・」
「魔物の大半は死の大地にいる事は間違いない・・・俺の魔力探知にハッキリ表示されているからな・・・」
「操れるはずの魔物を死の大地にいさせてまで、住民を連れ去っている・・・」
「なるほどな・・・グルル・・・大型の魔物が近くを通ったら崩落してしまうから遠ざけている・・・と言う事か・・・」
「フッ・・・段々分かって来たじゃないか・・・」
「でも・・・それだとレインベール方向に1万人いたとしてもおかしくないのでは?・・・・あっ・・・そうか・・・だから部長は違う場所を・・・」
「グルル・・・どう言う事だ?」
「私達の様に機械で掘る訳じゃないのよ?・・・そんな場所に1万人もいても作業が捗る訳がないのよ・・・」
「「!!」」
「だから龍徳様は、別の場所の可能性があると・・・」
「そう言う事だ。となるとレインベールの近くではなく最南端のミステーロの方角である可能性が高いと思う。」
「何故ですか?」
「それは、ナツがレインベールの王女なのに知らないからだよ。」
「確かに・・・今まで、レインベール城の近くに何かが埋められているなど聞いた事がありませんわね・・・」
「そうなるとやっと話が戻って敵側のシュナイダーがいたシュッテンブルク王国の話が浮上する」
「そう言えば、数十年前の戦争は、商人都市パドロネが、最前線に立ったって言ってましたもんね・・・」




