小さな小さな 大冒険!222
「そうね。それと同時に残り3人の敵を罠に嵌めて誘い込んでから倒す・・・」
「まぁ。最初の2人の実力が分かれば、やり易くなるからな・・・」
「ええ・・・簡単に拘束できるのであれば、手分けして残りの3人を一気に倒してしまえば、アルケミーの民を一気に逃がす事は可能ですからね」
「そう言う事ね!じゃ~行くわよ!」
「頼みますね!カール中隊長!」
「はっ!お任せください!」
そして、兵士の練兵場へと移動する中、アルケミーの街並みを見た4人は・・・
「ぱっと見、以前と変わらないように見えるけど・・・」
「ええ・・・ですが、常に兵士たちの顔色を窺っているのが分かりますわね・・・」
「グルル・・・吾の嗅覚はお主等と出来が違うから分かってしまうが・・・少し離れたところから人の焼けた匂いが漂ってくるな・・・」
っといきなりソーマから不吉な言葉が飛び出した。
「それって・・・」
「うむ・・・この街の反旗を翻した者を見せしめに殺しているのであろうな・・・」
ソーマの言葉を聞き、先程救出した兵士たちが言い淀んでいた事が何であったのかを理解してしまう。
「な・なんて事を・・・」
下唇を噛みしめて悔しがるナツの肩にレイナが手をやると
「我慢よナツ! だからこそ少しでも早く敵を倒さないとね!」
「クッ・・・そ・そうね・・・ありがとうレイナ・・・」
そして、目的地に到着して兵士たちの練兵の姿を目の当たりにする。
それは、怒声が飛び壮絶な殺し合いの様な様相を醸し出していた。
「チンタラ戦ってんじゃねぇ!! そんなんじゃビアン様の逆鱗に触れるぞ!!」
「キャハハハハ♪ 本当にレイベール兵士は弱いわね・・・役立たずばっかり・・・もう良いんじゃないの殺しても? こんな奴らに毎日ポーションを与えるなんて勿体ないわ!」
練兵場の入り口を抜けて右に進むと正面の高台に腰かける2人の男女の姿があった。
すると、カール中隊長の後に続くナツ達の姿を見付けた2人が、気が付き声を荒げたのだった。
「オイ!テメーは門番の責任者だよな! こんなところで何をしてやがる!」
「はっ! 先程、不審者が現れたので、取り急ぎ拘束しておりますので、ミール様とルール様にご確認して頂ければと思いやって参りました!」
「不審者~? ふ~ん・・・でもあんたがナターシャを知らない訳ないわよね・・・それなのに不審者・・・」
「なるほど、確かに気になる話だが・・・お前の管轄はイールの野郎だろうが・・・それなのに俺様達のところに来たのは何故だ?」
「はっ!現在イール様は中央へ民を先導している最中により不在だったので、取り急ぎミール様とルール様にご報告した方が良いと思った次第です。」
「あぁ~そんな時間か・・・チッ・・・面倒だな・・・ミール!お前ちょっと言って見て来いよ!」
「はぁ~?何で私が行くの? あんたが身に行けば良いじゃない!」
ギャーギャーと良い争いをし始めた姿を眺めていたソーマがボソリと呟いた。
「この距離であれば一足飛びに行けるな・・・」
「当初の予定だったらなるべく人の目に付かないところで倒したかったけど・・・良いわ! こっちの兵士たちは私と龍聖君で一気に洗脳を解除するからナツもソーマのフォローをお願い!」
「グルル・・・了解だ!」
「分かりました!」
そう言ってソーマが一瞬でミールとルールと呼ばれた2人へと跳躍し、その後をナツが追いかける。
「龍聖君!そっちをお願いね!」
「あい♪ マッチ~頼むねぇ~♪」
『おう!』
「ちょ!ルール!後ろ!」
「何が?・・・」
そう言って後ろを振り返った瞬間、既に眼前にソーマの姿があった。
「なっ・・・何もん・・・グェ・・・」
そこにソーマの拳が深々とルールの腹に突き刺さる。
「誰よあんた!! ハァッ!!」
膝から崩れ落ちるルールの頭上からミールの蹴りがソーマに放たれるが、それを簡単に腕で受け止める。
「クッ・・・何もんだテメー!!」
そう言ってミールがソーマを睨み付けるとその横を何かの影が通り越した。
「カハッ・・・」
「接近戦はあまり得意ではありませんが・・・どうやら大した敵ではなかったようですわね♪」
そう言ってナツの回し蹴りがミールのボディを捉えていたのだった。
「グルル・・・ナターシャ姫も随分強くなったのだな・・・良い蹴りであったぞ。」
「フフ♪ お褒め頂き有難うございます♪」
そう言ってレイナと龍聖の方へと顔を向けると既にボケェ~っとした兵士たちの姿があった。




