小さな小さな 大冒険!211
「これは・・・ビネガーの額に埋まっている青の宝石と同じ力を感じますな・・・」
「確かに・・・私の赤の宝石も同様・・・これが魔帝石・・・」
驚愕の表情を浮かべてアストゥーから受け取った宝石を見つめる2人に
「そうだ・・・本来であれば、魔帝石の力で身体が滅ぶか良くても化け物となるが・・・魔晶石を既に使いこなしているお主等であれば間違いなく使いこなす事が出来るだろう・・・」
「「アストゥー様!有り難き幸せにございます!!」」
「だが・・・流石のお主等でも進化の秘宝を使えば最低でも1週間は眠りにつくであろう・・・」
「かまいません!是非とも私に進化を施して下さいません!!」
「私もお願いいたします。 そして、必ずやアストゥー様の左腕としてお役に立ちとうございます!」
「良く言った2人共! クックック・・・魔王に連なる配下が3人になれば現代の地上世界など我らの敵ではない!」
「「はっ!!」」
「お前達の進化が終わり次第余も神貨を施す。その間はお前達3人は余の護衛を命ずる。」
「お任せくださいアストゥー様!」
「必ずやこの命に代えてお守りいたします。」
「では、秘術を始める!」
「「はっ!!」」
そして、横たわらせた2人の額に魔帝石と呼ばれた宝石を手に持って当てながら、何かしらの呪文の様なものを唱え始めると突如暗闇が2人を覆い隠す様に纏わりついて行く。
「クックック・・・この世の闇を飲み込み見事、覚醒して見せよ!」
そして、話は龍徳達へと戻る・・・
「グルル・・・なるほど・・・やはりお主はメシアであったとはな・・・」
「龍徳様が・・・神書に載っていた救世主でしたとは・・・これは運命なのでしょうか・・・」
「運命って大袈裟だな・・・でも・・・俺も小人の国に絡んでいるとは思わなかったからあながち間違いではないかもな♪」
「神谷部長・・・やっぱり神だったんですね!! そうだと思ったんですよぉ~♪ やっぱり他の男とは比べ物になりません♪ はぁ~ますます尊敬します♪」
「コラコラ!俺は神様では無いからな!」
「私にとっては神様なので問題ありません♪」
「ったく・・・お前は・・・」
レイナの顔を見上げると目をキラキラさせて龍徳を見つめている。
『あぁ~これは何を言ってもダメなやつだな・・・放っておくか・・・』
はぁ~っと溜息をついてレイナの説得を諦める龍徳であった。
その会話を龍徳の正面で聞いているナツが唇を噛みしめて何かを言いたそうな顔だが誰も気が付く事はない。
『龍徳様が・・・メシア・・・新約聖書に記載されていた私達の祖先だったとは・・・これは運命だったの?・・・だから私は龍徳様に惹かれてしまうのですか?』
そう思って龍徳の顔を見つめるナツの頬は真っ赤に染まって行く。
「・・・分からない・・・龍徳様のお顔を見ただけで、今まで以上に胸が苦しくなるのは、何でなの?・・・この感情が何なのか・・・龍徳様なら教えてくれるのですか?・・・知りたい・・・この狂おしいまでの幸福になるような感情が何なのか・・・』
「グルル・・・それよりもお主の記憶の方が問題であるな・・・」
「そうだな・・・考えられるのは・・・俺がガキだった頃か・・・」
「わぁ~♪ 私その話聞きたいです♪」
「ふむ・・・恥ずかしいが・・・まぁ何かのヒントになるかも知れないな・・・」
そう言って、学生時代に友人と一緒に巻き込まれた竜禅寺での大騒動と不可思議な出来事を全員に話して聞かせて行く。
「そんな事が学生時代にあっただなんて・・・その僧侶たちって・・・どう考えても人間じゃありませんよ!」
っとレイナが興奮した様に龍徳を掴む。
「だな・・・当時は良く分からなかったけど・・・いまの状況であれば何かしらの化け物が実在した事は間違いないだろう・・・」
「グルル・・・もう少し詳しく思い出せんのか?」
「流石に17年以上も昔の話だからな・・・俺も必死だったし・・・だが、喧嘩が最強だと思っていた時代にあそこ迄、苦戦した事は初めてだったな・・・。」
「そう言えば、龍徳さんってボクシングでアマチュアの世界チャンピオンを倒した事があるって言ってましたもんね♪」
「えっ?・・・俺そんな話したっけか?」
「はい♪ 私が、部長の専属の部下になって初めてお酒に連れて行って貰った時に♪」
「・・・あぁ~・・・あの時か・・・」
それは、龍聖がまだ2歳だった頃の話。
それまで保育園で預けられなかった龍徳は子育てと仕事の両立に心身ともに疲労しきっていた頃の事だ。
新たな会社で敵ばかりだった頃、慕ってくれるレイナを専属の部下として任命ししつこく酒に誘われた事で、自分の親に龍聖を預かって貰い始めて2人で飲みに行った事があった。
日頃の疲れも相まって龍聖の心配がなかった事も合わさり、いつもより酒を飲み過ぎた事があった。
その時にレイナを悪漢共から救った話をレイナがし出した事で、つい口が滑ってしまったのだった。




