小さな小さな 大冒険!203
驚くレイナの肩に手を置いて龍徳が優しい口調で話しだした。
「そう言えば神が言っていたな・・・ここは、レインベール側から入った場合の試練の場所のようだ♪」
その言葉にソーマ、レイナ、ナツの3人が龍徳の顔を見つめた。
「グルル・・・そう言えばお主の最終試練の話を聞いておらんかったな・・・」
「神様に会えたんですね! 聞きたかった話は聞けたんですか?」
「シッダー・ルー・ターキリス様と本当にお会いするなんて・・・流石は龍徳様ですわ♪」
「お主の最強の敵は何だったのだ!」
「俺か?俺は・・・ゾディアックと名乗る化け物龍だったな・・・」
「ゾ・ゾディアックだと?・・・グルル・・・最古の竜にして真龍ではないか・・・何故お主がその存在を知っているのだ・・・その龍に勝っただと?」
「ああ・・・正直、第二の試練で新たな力を手に入れられなかったら勝てなかっただろうな・・・」
「グルル・・・流石・・・吾が最強と思う男よ・・・」
「それで!龍徳さんの聞きたかった話は聞けたんですか? 夢はかなったんですか?」
興味津々にレイナが口を挟む。
「ああ♪・・・話すと長くなるから後で教えてやるが・・・想像を超える話ばっかりだったよ♪」
それを聞いたレイナは目をキラキラさせながら龍徳を見つめた。
「ふぁぁぁ~私も知りたいですぇぅ~♪」
「クスクス♪・・・ああ♪ 楽しみにしておけ♪」
「わぁぁぁ~凄く楽しみです♪」
そして、今度はナツが口を挟んだ。
「た・龍徳様!」
「どうしたナツ?」
「ほ・本当にシッダー・ルー・ターキリス様にお会いしたのですか?」
「ああ♪ 龍聖もあったよな♪」
「あい♪ ルー君ねぇ~パパにそっくりだったのぉ~♪」
「「「へっ?」」」
「ど・どどどど・どう言う事なのでしょうか?」
「あぁ~・・・そうだな・・・話すと長くなるから・・・夜キャンプした時に纏めて話すよ♪」
「き・気になりますわね・・・」
「クスクス♪・・・後の楽しみにしておくんだな♪」
「うぅ・・・分かりました・・・」
「そう言えば・・・こっち側の第一の試練はダンジョンになっているらしいから油断するなよ!」
「「「ダンジョン?」」」
「ああ・・・確か、そう言っていたはずだけどな・・・違ったらゴメンな? 俺もルーの話を聞いて驚きっぱなしだったからな・・・記憶がうろ覚えのところがあるけど・・・まぁ~行けば分かるだろうさ♪」
そして、普通に第二の試練を通過して洞窟を抜けるとまたしても扉があった。
「グルル・・・今度は普通に開いたな・・・」
扉を開けると10メートル四方の壁が続く洞窟へと変わっていた。
「なるほど・・・確かにダンジョンって感じですね・・・」
「レイナ!灯りを頼む!」
「はい!ライトボール×10!!」
「グルル・・・どんな敵が出るのか知っているのか?」
「いや?だが・・・恐らく・・・」
「恐らくなんだ?」
「・・・まぁ~行けば分かるだろうさ。」
「それもそうだな」
『余計な事を言って警戒心が薄れる様な事を言う必要はないな・・・』
その後、どんどん進んで行くと、このダンジョンの構造が大体把握する事が出来た。
ダンジョンと言うからには迷宮の様なものを想像していたのだが、造りは至って単純だった。
簡単に言えば感じの『田』の字が上下左右に2つずつある様な構造だ。
多少湾曲しているから端から端が見渡せるわけではないが、縦横共に1000メートル程の広さのようだ。
高さだけは階層によって違いがあるものの高いところでも精々30メートル程度だ。
昇りの階段がある場所だけ扉で閉ざされていたが、中に入ってもボスキャラの様なものはいなかった。
「てっきり魔物が出ると思ったんですが・・・出ませんね?」
「そうですわね・・・トラップの様なものもありませんし・・・」
「グルル・・・拍子抜けだな」
「・・・・・」
龍聖は暇すぎて龍徳の頭の上でスヤスヤ寝息を立てている。
『予想はしていたが・・・そりゃ~そうだよな~・・・既に試練が終わってんだから・・・かと言っても・・・ここを出たら否が応にも細心の注意を払わないといけないんだからな・・・今のうちに気を引き締めて置いた方が良いんだが・・・』
龍徳は、このダンジョンに魔物は現れないだろうと考えていたが、それを伝えた事で、全員の気の緩みを懸念したのだ。だが、既に6階層へと向かう階段に到着しても何にも起きない事で、3人は油断し始めていた。




