小さな小さな 大冒険!202
パッと見は洞窟なのだが、イメージとしては鍾乳洞と言ったところだ。
地面のあちこちからクリスタルが飛び出していて、場所によっては芝生の様な場所や木々までも見える。
上を見上げれば幻想的な色彩豊かな光を放っていて思わず魅入ってしまう。
「パパ・・・綺麗だねぇ~♪」
「ああ・・・凄い景色だ・・・」
ゴクリっと思わず息を飲む美しさに時を忘れそうになったが、レイナ、ナツ、ソーマの3人がいない事に気が付き周囲を見渡した。
「あれから随分時間が経ったが・・・タイムラグがないって言っていたよな・・・」
そう思った瞬間ソーマが現れた。
「クソッ!後少しで勝てたものを・・・グルル・・・ん? おお~!!龍徳ではないか!」
「お前・・・負けたのか?」
「グッ・・・負けてはおらん!引分けだ!」
「相手は?」
「グルル・・・お主だ・・・」
「ん? お前・・・俺と戦ったのか?」
「アホみたいに神級魔法ばかり使い追って!! 汚いぞ! あそこ迄連続で使われたら防ぎようが無いではないか!!」
「いや・・・俺に言われてもな・・・」
そんな会話をしているとナツが現れた。
「こ・ここは・・・」
「おっ!ナツも終わったか♪」
「龍徳様♪ あっ・・・申し訳ございません・・・私負けてしまいました・・・」
「仕方ないよ♪ で?ナツの相手は誰だったんだい?」
「えっ?・・・その・・・私の相手は・・・」
何故か顔を赤らめて言い淀む。
「グルル・・・そんなもの龍徳に決まっておるであろうが!」
「えっと・・・まぁ~そ・そんな感じですね♪」
「そっか・・・でも善戦したんじゃないのか?」
「へっ? な・何でそんな風に思われるのですか?」
「ん? 何かスッキリした顔になっているからな♪ 負けたとしても納得した負け方だったのかなぁ~って思ったんだが・・・違ったか?」
「あ・・・いえ! そうですわね♪ スッキリ・・・ええ♪・・・お陰でスッキリしました♪」
『言えない・・・私の相手がレイナさんだったなんて・・・』
っとその時、レイナの姿が現れた。
「うぅ・・・悔しい・・・あれ?」
スッキリした顔のナツとは違い何故か涙目で現れた。
「お疲れ♪ その様子だと負けたようだな♪」
「部長~♪負けていませんからね! 私の方が絶対に神谷部長を愛していますから!!」
っと訳の分からない事を言いだし龍徳に抱き着いたのだった。
「何を言っているのか分からんが・・・」
「えっと・・・エヘヘ♪ 兎に角! 私は負けてませんから!」
『ハハ・・・負けず嫌いなレイナ君らしいコメントだな♪』
「ああ♪ そうだな♪ 次だったら絶対にレイナ君が勝つよ♪」
っと龍徳の言葉を聞いたレイナが嬉しそうに涙を流して龍徳を抱きしめる手に力が入る。
「え~ん部長~♪ 大好きです~♪」
普段はクールビューティーに見えるレイナも龍徳の前では可愛らしい女の子にしか見えない。
そんなレイナの頭を優しく撫でているとナツが胸を抑えて目を伏せたのだった。
『次こそナツミさんに認めさせるんだから!! 私の愛情はナツミさんに負けないんだから!!』
そう・・・レイナの相手は龍徳の妻であったナツミだったのだ。
「さて・・・時間は・・・余裕があるな・・・どうする? このまま洞窟の外に出るか・・・一旦休憩するか・・・ナツが決めてくれ・・・」
「わ・わたくしですか?・・・そうですね・・・試練が終了したら魔力も体力も完全回復してますし・・・出来ればこのまま結界を抜けてレインベールの現状を把握したいと思います。」
「分かった。みんなもそれで構わないな?」
「はい♪ 私は龍徳さんに付いていくだけですから♪」
「グルル・・・我も異存はない」
「よし・・・ここから先は最善の注意を払ってくれよ・・・」
っとの言葉に全員がコクリと頷くのだった。
鍾乳洞を進むとなだらかな傾斜が続きやがて大きな扉が見えてきた。
「グルル・・・押しても引いてもビクともせんな・・・」
「どうやら力で開けるものでは・・・」
っとここまで喋ると龍徳が何かに気が付いてナツを見つめた。
「はっ・・・」
それを見たナツも何かを思い付いた様子。
「龍徳様・・・」
「ああ・・・まず間違いないだろうな・・・」
「ええ・・・試してみても宜しいですか?」
「ああ。頼む。」
「我が名はナターシャ・ディナスティー・レインベール!古の契約に基づき!我が前に真実を顕せ!」
その瞬間、目の前の門がギィィィ~っと音を立てて開き始めて行った。
「グルル・・・なるほど・・・この結界は2つの結界で1つと言う事か・・・」
「凄いねぇ~パパぁ~♪」
「ああ・・・本当にこの世は凄いものだらけだ・・・」
そして、門を潜り抜けると一本道の洞窟が続き洞窟を抜けた先にあったのは、第二の試練と同じ様な場所であった。
「へっ?・・・ここって・・・」




