小さな小さな 大冒険!196
それが、進化した魔法だ。
それ以前の魔法は誰が使っても同じ様な威力しか出せない様にプロテクトを掛けていたのだが、、力を正しく使える者達にのみ、そのプロテクトを解除できる仕組みを作った。
こうして、人類が自分のみを護れるようになっていったのだが、それでも巨大な生物が数を成して襲い掛かってしまえば人類に対抗する術はなかった。
一度変わってしまった生態系を必要以上に変える事の内容に、それでも人類を守るべく徐々にではあるが、人間に新たな叡智授けて行ったのだが、度を越した力を身につけてしまった人間は必ずと言っていい程、戦争で互いを傷付けて行った。
それどころか自分達を守り続けてきたドラゴンさえも討伐の対象とし始めた事で、一部のドラゴン達は徐々に人類に興味を持たなくなってしまったのだ。
いくらドラゴンに寿命を設けていないとは言っても生物である限り何もしなければやがて消えてしまう。
青竜となって長い時間を掛けて真龍へと成長したドラゴンであっても1万年も眠りに付けば自力で復活する事は皆無に等しい。
そうなったら単細胞生物並みの大きさしかないのだから当然と言えば当然なのだが、本来であれば人類の守護者として用意したドラゴンが人類によって消えていく事は面白くない。
そうして、今から5万年ほど前に正しき心を持った人類のみ救いの手を差し伸べるようになっていった。
やがて、巨大な生物たちは異種配合を繰り返し今で言う魔物の姿へと変わって行った。
地球上に落ちた100近い隕石から飛散したウィルスが落ち着いた後も魔素が強く溢れ出す物がいくつかったあった事と人間によって討伐されたドラゴンの亡骸からも膨大な魔素が溢れ出す事で、それを長い時間浴び続けた生物は凶悪な魔物へと姿を変えて行ってしまったのだ。
様々な魔法で人類も身を護る術を身に付けたとは言っても、まだまだ戦闘力は魔物の足元にも及ばなかったので、今から3万1千年前に作った仕組みが試練の洞窟なのだ。
先に行っておくが、この世界に同じ様な場所が3つ存在するぞ。
そもそも3つの大陸だったから3か所に用意したのだが・・・だが・・・必ずしも心の清き者だけが、クリアするとは限らなかったのだ。
医学の発展しない人類の救世主となるべくテラオーラと呼ばれる地球そのものの加護を与え人類を護る仕組みとした試練の洞窟がいつしか人類の欲望を満たす為に使用されるようになっていったのだ。
魔力の強い人間同士から生まれた子供は強い魔力を内包して生まれる事に気が付いた人間は、いつしか戦いの為にその行為を繰り返し始めてしまった。
そして、人類に与えた叡智は発達した人間の知識によって数百人単位による核撃魔法まで使用するに至ってしまった。
折角、全世界の人口が5000万人程迄増え世界各国に王国まで誕生したと言うのに互いの国で知識を絞り作りだされた新たな魔法を使って戦争が始まり、全世界規模で核撃魔法が降り注いでしまった。
これによって全世界の地形が変わってしまった。
最初は普通の戦争だったのだが、何千年もの長き戦いは徐々に禁断の魔法まで使用していった。
地殻変動を起こすテラアースクエイクや休火山に投げ込み火山を誘爆させるアマテラス。
大洪水を起こすノアズアークや永久凍土と化すテラアブソリュート・ゼロ。
爆風によって全ての地形を更地に変えるアブソリュートトルネードや巨神兵と呼ばれるゴーレム。
そして、終には、数百人の魔術師によって複数属性の魔法を癒合させて放つ核撃魔法まで・・・
大地は砕け、世界各地で火山が噴き出し、巨大地震によって全世界規模で地殻変動が起こってしまった。
こうして、全世界の魔物の数も激減したが、同様に人類の数も激減してしまったのだ。
これが、今より2万年前の話だ。
この出来事は私も少なからずショックを受けたよ・・・
それから暫くの間は、私も人間に手を貸す事はしなかったのだが、魔物が減った事で、どうやら人類も落ち着いたのか昔の様に集落があちこちに出来始めた。
だが、疫病や度重なる飢饉によって、やはり人類の数は中々増えなかったのだ。
その為、私が直接介入する以外の方法を考える必要があった。
そして、出来た仕組みが救世主だ。
人類に敵対する何かしらの事象や人類の知恵では乗り越えられない現象が起こった時に神の叡智を受け継ぎ人類に設けたプロテクトを解除して生れ出る存在・・・輪廻転生を繰り返す魂の中から厳選された私に連なる命を選らび力を分け与えた存在・・・それがメシアだ。
その為、必ず一つの時代に一人のメシアしか誕生しないのだが・・・これは後で考えるとしよう・・・
何にしても、この仕組みは我ながら上手くいったよ。
やはり必要以上に神の力を介入させすぎるのは良くないと改めて思い知らされたからね。
こうして、1万年前の地球にある程度安定した世界が構築されたのだ。
だが、メシアと言っても寿命は普通の人間と変わらない。
その為、人類に危機が迫ったからと言っても、メシアがどこからともなく現れる訳ではない。
その為、人類は絶妙のバランスを取りながら徐々に数を増やしていったのだ。
だからと言って人間な愚かな行為が消えてなくなったわけではないがな・・・




