小さな小さな 大冒険!192
実際、完全回復した魔力の70%も消費していた事を考えれば、分かるだろう。
巨大化しての神級魔法ともなれば、一度に使用する魔力量は500~1000万なのだ。
それをドルオーラの状態で放てば魔力使用量が数倍に跳ね上がる。
その為、身体強化10倍を使用するとなると1秒ごとに20万以上もの魔力を消費してしまう。
通常の身体強化10倍であれば魔力使用量が1秒ごとに3万もあれば事は足りる。
身体強化は倍率が上がれば上がる程、掛け算式に魔力使用量が増えるのだ、
それに加えて常時防御結界と常時回復魔法を併用しているのだから莫大な魔力量を誇る龍徳以外なら一瞬で負けていた事は間違いない。
魔力の回復速度が、命の理によって約14.1万/秒になったからこそ倒せただけで、以前のままであれば良くて相打ちであった事は龍徳が一番よく理解していた。
肩で息する龍徳の身体からは大量の汗が噴き出している。
「はぁはぁはぁ・・・流石は最強と言うだけはあったな・・・はぁ~疲れたぁ~・・・」
最初のドラゴンの姿の時から40分間の全力戦闘。
本気の全力戦闘など流石に経験がなかった龍徳だったが、今回の事で、自分の限界点を知る事が出来た事は幸いであった。
地球上の秘境と呼ばれるような場所を旅して回っていた時でさえ一切の疲れを見せなかった龍徳も疲労困憊と言った感じであったが、漸く呼吸が落ち着いた時だった。
横で倒れているゾディアックの姿が消えていくと声が聞こえた。
『見事・・・己が最強と思う敵を倒した事を認め神との約束の場所へと誘わん』
「ハハ・・・本当に・・・神と話が出来るのか・・・」
普段クールな龍徳には珍しく嬉しさを隠しきれずガッツポーズをしている。
その顔は童心に帰った様に目を輝かせていると周りの景色が変わって行った。
そして、次の瞬間、龍徳の目には辺り一面が真っ白な世界が広がっていた。
否、正確には地面は天井が映し出されて居れ白く見えるだけで、鏡の様に反射している。
壁も良く見れば柱の様なものが、いくつも聳え立っていた。
「ここが・・・神・・・シッダー・ルー・ターキリス様が居られる場所って事か・・・」
周囲を見渡すも巨大すぎて距離感が掴めない。
だが、唯一壁ではない方向がわかるので、そちらの方へと歩いて行くと静寂な空間に龍徳の靴の音だけが響き渡った。
『時間の間隔がおかしい・・・何時間も歩いた様な気がするが・・・それとも、まだ1分も歩いていないのか・・・』
匂いもなく、音もなく、全てが真っ白な世界。
歩みを止めれば自分の鼓動さえも聞こえる程の静寂。
『おかしいな・・・龍聖がいない・・・あのこの強さは俺が一番知っている・・・』
っとここで、何かしらの違和感に気が付いた。
『待てよ・・・龍聖がいたとして・・・ここまで何もないなんてあり得るのか?』
歩みを止め立ち止まると同時に探知魔法を使用する。
『やはり反応がある・・・しかも直ぐ近くにだ・・・』
反応のある場所まで20メートルも離れていないのに姿が見えない。
そして、自分の口元を手で覆い隠しながら考え始めて行く
『ふむ・・・どうやら、この俺の目に映る光景は真実ではないようだな・・・生命反応は動いているのに姿が見えない・・・この反応が・・・龍聖だとした場合・・・俺と龍聖の違いが答えって事か・・・』
そして、時が止まる様に徐々に集中していく。
知覚認識速度が、どんどん加速していき龍聖と同じ1万倍に到達した時だった。
パァ~っと景色が光り輝くと共に色鮮やかな世界が広がっていた。
どこかの山頂に立てられたパルテノン神殿の様な場所だ。
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