小さな小さな 大冒険!182
そして、5人で中央に戻ると再び声が響き渡る。
≪最後の試練は、命がけとなろう。引き返すのであれば左の門を≫
っと地面から扉が現れた。
≪最後の試練へと挑戦する者は右の門へ進め。≫
ガガガガガっと同じ様に扉が現れたのだった。
≪最後の試練では、各々が、最強だと信じる者との戦いとろう。自分と向き合い勝つ事でしか道は開かれん・・・進むべきか・・・引き返すべきか・・・答えを出すまでに24時間の猶予を与えよう。しっかり選ぶが良い!≫
「さて・・・今日はこのまま休憩に入ろうと思うが・・・どうだ?」
「そうですね♪ 猶予が24時間あるそうですし、正直疲れました♪」
「龍聖君もお腹減ったぁ~」
途中で昼休憩は取ったものの現在の時間は17時を過ぎている。
「グルル・・・吾も第一の試練でもう少し鍛えたいと思っておったからその方が良いな。」
「わたくしも思うところがあるので、このまま休憩で構いませんわ♪」
っと全員の意見が一致した事で、異次元収納からコテージを取り出し食事の準備を始めて行った。
龍聖もレイナとナツと一緒に食事の準備のお手伝いをしている。
龍徳はと言うと連日一番大変な動きをしてくれているとナツとレイナに言われ玄関の外にあるウッドデッキに置かれた椅子に座りボォ~っと一人で考えているようだ。
『残り30日か・・・』
考える事は、試練で見た最愛の妻の姿。
『やっぱり・・・そう簡単には忘れられそうもないな・・・』
この戦いが終わった時にレイナの想いに答えを出すと言ったもののあそこ迄リアルな妻の姿を見て・・・否、実際に抱きしめたのだ。
その事が、龍徳の胸を締め付ける。
『・・・ナツミ・・・やっぱりお前に逢いたいよ・・・』
っと普段はあまり吸わなくなったタバコに火をつけてフゥ~っと吐き出す。
『それにしても嬉しくも嫌らしい試練だったな・・・否・・・ナツミに会えたんだ・・・アイツ・・・笑ってくれたな・・・』
現在まだ35歳にもなっていない龍徳が結婚したのは25歳の時。
大学生の時に知り合い約5年の交際期間を経て結婚した。
お嬢様だったナツミは恋愛経験がなかったが、メチャクチャモテる女だった。
大学は違ったが、俺の親友とナツミの親友も大学院へと進み4人でいつも一緒だった。
泣き虫の癖に正義感が強く。意志の強い女性だった。
優しく家庭的なナツミに俺はゾッコンだった。
結婚してさえも恥ずかしそうにキスをする彼女が好きだった。
俺に言い寄る女性がどんなにいても決して疑う事のない彼女の愛に何度救われたか・・・
そんな時彼女は決まってこう言うのだ。
「フフ♪ だって・・・龍徳さんは、私のヒーローだもん♪・・・それに必ず私のところに帰って来てくれるでしょう?」
疑う事を知らない訳ではない。
ナツミは神谷龍徳と言う俺自身を信じてくれる。
実際、学生の頃に飲み会で複数人の女性が俺の腕を引いてホテルに連れ込もうとした瞬間を目撃された事があったが、そんな時でも彼女は・・・
「もぅ~!本当にモテ過ぎ~!! な~んちゃって♪ ゴメンね? こんなところを見られたら龍徳さんも気まずかったよね?」
これには参ったよ・・・他の女と全然違った。
『フッ・・・今思えば・・・あの頃から俺の負けだったな・・・ナツミ・・・もう一度・・・もう一度君を抱きしめたい・・・』
既に火の消えたタバコを持ちながら星空の様に煌めく洞窟の天井を見上げる龍徳の目から一滴の涙が零れ落ちる。
「ナツミ!カナメと会社を起業する事になったから!」
「フフ♪ マイカからさっき聞いちゃった♪」
「そうなのか? 相変わらず情報が早いな・・・」
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