小さな小さな 大冒険!165
「パパァ~♪ 遅い!」
「えぇ~? 龍聖君が早過ぎるだけだとパパは思うんだけどなぁ~」
「龍聖君寂しかったのぉ~!!」
「アハハ・・・試練が始まってまだ3分と経っていないのに寂しいとは・・・龍聖君はどうやって出てきたの?」
予想を上回る我が子の事が気になって仕方がない。
龍徳の質問に対しての龍聖の答えは・・・
「壁に囲まれる前に出たから分かんない♪」
「へっ?」
吐きり言って意味が分からない。
何故ならシャボン玉の様な結界が割れると共に隆起した地面に覆われていたのだ。
確かに正確に言えばシャボン玉が割れた瞬間は天井が塞がってはいなかったが、龍徳と謂えどあの一瞬で外に出ようなどとは考えもしなかった。
さらに、時間にしてほんの0コンマ1、2秒だった事を考えれば、人間の反射神経を超えないと不可能であった。
最初から全力でいれば対応も出来たかも知れないが、あの一瞬でそこまでの対応を取る事はなかった。
それを龍聖は、完全な状態でいたから反応したと言うのだから脱帽しかない。
本人曰く
「暗いのやぁ~!」
っと単純に閉じ込められるのが怖かったから逃げたのだと言う。
「アハハ・・・そうか・・・」
龍徳の笑いが乾いてしまうのも無理はない。
それでも瓦礫が存在しないところを見ると試練をクリアしたとみなされているのだろう。
そもそも抜け出す事が試練なのだから不可能だと思われる龍聖の方法で、開始早々抜け出せるのであれば十分に力を示した事になる。
そうこうしていると3番目にソーマ。4番目にナツ。最後にレイナが脱出したのだった。
「あぁ~私が最後だったぁ~!! 悔しい~!!」
っと悔しがっているが、ソーマとレイナの差は僅か1分程なので大差などないのだが・・・
龍聖は例外として3人は龍徳の修行の本質を理解していた為、龍徳が行ったような方法で脱出を試みたそうだ。単純にレイナは真面目に10%ずつ力を上げて行ったから遅かっただけで、何の問題もない。
だが、ソーマだけは違う。
何故分かったかと言うと3番目に出てきたソーマが瓦解したドームから出て来た時に
「ゲホッゲホッ・・・」
っと口から煙を吐いて出てきたからであった。
どうやら途中までは、同じように試したそうだが、パワーアップしたドラゴンブレスなら粉々に出来ると思ったそうだ。
その為、天井に向けドラゴンブレスを吐き出したそうだが、結果的に100%の力では抜け出せないと理解したソーマは魔力を込めて威力を上げたそうだ。
「アホだな・・・」
っと龍徳が呆れているとソーマが、納得がいかんっと突っかかっていた時だった。
≪見事クリアした者達よ。力とは自らの限界を超えて手に入れるものだと知れ。安易に手に入れた力程、脆いものはないと知れ。 力の本質を理解したものであれば、力の理を知るであろう。≫
そう声が響き終わると空を覆っていた結界が解除された。
「神谷部長・・・これって・・・力の試練が終わったって事ですか?」
「そのようだな・・・」
「えぇ~!!何か授かる訳じゃないの~!?」
レイナの言い分も尤もだ。
だが、龍徳は黙ってレイナの言葉を聞いていると近藤はナツが話だす。
「龍徳様?・・・力の理とは・・・」
「ふむ・・・もしかしたらだが・・・」
そう言って掌を頭上に翳し20㎝程度の炎球を作りだす。
「今から俺がやる事を見て各々感じた事を教えてもらえるか?」
「「感じた事?」」
「は~い♪」
「グルル・・・どう言う事だ?」
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