小さな小さな 大冒険!159
するとドキドキと胸の鼓動が速くなる
「まただ・・・何なのでしょうこの感じ・・・苦しいのに・・・嫌じゃない・・・何で龍徳様の事を考えるとこうなるんだろう・・・」
熱く火照った自分の頬を両手で冷やす様に添えていると
「私・・・何考えているの・・・・私にはやらないといけない事があるのに・・・」
自分でも訳の分からない感情を忘れ去る様に頭を振る。
そして、必死に旧約聖書の中からヒントとなる一文を探していくのだった。
≪汝の力を問おう。第二の試練で、力を求めるものは強さで、知識を求めるものは知恵で、救いを求めるものは慈愛を持って命の在り方を示せ。我は試しの門番なり。限界を持って限界を消し、全力を持って全力を超え、最善を持って最善を打ち破るべし。これは神の定めたルールである。≫
「この言葉に該当する内容・・・」
ナツの脳内では次々にページが捲られていく。
既に全体の5分の3ほどの内容を網羅するが、未だ見つける事が出来ないでいると龍徳が風呂から出て来てナツの部屋を訪れたのだった。
コンコンっとナツの部屋をノックすると
「はい♪ どうぞお入りください。」
っと嬉しそうな声が聞こえた。
「助かったよ♪有難うなナツ♪」
『いつ見てもカッコいいお方ですわね・・・』
風呂上がりの龍徳を見てドキッとしてしまう。
「いえ♪ それに龍聖君は可愛いので、一緒にいられると幸せなんです♪」
「そう言って貰えると嬉しいよ♪ そう言えば例の一文はどうだい?」
そう聞かれてナツの顔が曇ってしまう。
「申し訳ありません・・・まだ見付けられておりません・・・」
「ナツ・・・」
そう言ってナツの前に行くと膝を付いて俯いているナツの顔を見上げた。
「頼むから謝らないでくれないか?」
「ですが・・・」
「あのさ・・・さっきも言ったけどナツは俺の恩人なんだよ・・・その恩人に頭を下げられると俺も辛い・・・」
「そんな・・・割った詩の方こそ龍徳様にお世話になってばかりなのに・・・」
「フッ・・・ナツには分からないかもな・・・それでもお願いだから少し位は俺に恩を返させて貰えないか?」
「だって・・・もう十分すぎるくらい龍徳様には・・・これ以上、龍徳様に迷惑をおかけしたくないのに・・・」
「そっか・・・ナツからしたら迷惑なのかもしれないけど・・・」
「迷惑だなんて・・・そんな事考えた事もありませんわ・・・逆に私がご迷惑ばかりかけてしまい・・・」
「ナツに迷惑をかけられた記憶がないんだが・・・それとも俺は頼りないか?」
「そんな事はありません!! 龍徳様ほど頼りになる方など居る訳がありません・・・」
ナツとしては、龍徳から受けた恩を数えたらキリがないと思っているのだ。
寧ろ頼り過ぎてしまい迷惑をかけているとさえ思っているのに龍徳は真逆の事を言う。
「そっか♪ そう思ってくれているなら良かったよ♪」
嬉しそうにナツに笑顔を向けると
「龍徳様は何で・・・何で私などにそんなにお優しいのですか?」
ナツからすれば数え切れないほどの恩を一つも返していない。
それなのに龍徳は、何度もナツを救ってくれるのに一切の見返りを求めない。
正直、嬉しいし。だが、同時に申し訳なさが同居してしまう。
「クス♪・・・さっきもレイナ君に同じ話をしたな・・・」
そう言ってレイナに放した事と同じ事をナツに話して聞かせた。
「俺さ・・・子供の頃からこの世界の真実が伏せられているって思って生きてきたから・・・ナツの存在って俺の中では夢そのものなんだよ♪ 憧れと言い換えても良いかも知れないな・・・ナツ達といると童心に戻ってワクワクするんだ・・・」
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