小さな小さな 大冒険!153
「それなら何で時間がかかるんだ?」
「その・・・神書の量が膨大なものですから・・・どのページに必要な情報が載っているか・・・」
「ああ・・・そう言う事か・・・」
ナツが言いたい事はこうだ。
例えば広辞苑を思い描くとする。
目の前に3000ページ以上もの凄まじい情報が記載されている書物があったとしても、目次がない書物であった場合!何処に何が載っているか分からなければ調べるのに時間がかかるのは当然だ。
魔法によって全てを覚えているとはいえ、自分が欲しい情報が何ページの何行目に書かれていると分からなければ直ぐに情報が引き出せないとナツは伝えたかったのだ。
「申し訳ありません。」
っとションボリするナツの頭を撫でて龍徳が声を掛ける。
「何謝ってんだ? そんなの調べ物をするのと変わらないんだし、ナツにしか出来ない事なんだから♪ 逆に手伝えないコッチが申し訳ないよ♪」
「そ・そんな事・・・はぅ・・・」
龍徳の言葉に反論しようとするが、頭を撫でられている事が、気持ちが良いようだ。
「クスクス♪ ナツも頭を撫でられるのが好きだよな♪」
っと言われ恥ずかしくなってしまう。
「そ・それは・・・はぅ・・・」
『それは、龍徳様が撫でるからです・・・まるで・・・お父様に撫でられているみたい・・・』
それは、幼少期の記憶。
今は亡き実の父に頭を撫でられると不思議と不安な気持ちが薄らいでいき幸せな気持ちになった記憶が蘇る。
大人となった今、頭を撫でられる事などなくなったので、ナツの頭を撫でてくれる存在は龍徳位なものなのだ。
「クスクス♪ ナツは本当に頑張っているよ・・・だから・・・俺達の前だけは無理するな♪ 仲間だろう? 短い付き合いだが・・・ナツの事は分かっているから・・・俺達には甘えて良いんだからな?」
龍徳の言葉でナツの胸が締め付けられ嗚咽が零れだす。
「うっ・・・うぅ・・・」
『この方は・・・何で私にここまで優しいの?・・・私の気持ちを・・・私の本当の辛さを・・・この方だけは知っていてくれる・・・この言葉だけで私は戦える・・・龍徳様・・・私は・・・』
国民を守る責務。国を導く責務。王女としての責務。国王に変わって全てを熟さないといけないナツの気苦労はどれ程のものなのだろう・・・
それを想うと少しでもナツの心に寄り添って上げたいと思うのは当然だろう。
その龍徳の優しさがナツの胸に突き刺さる。
「俺に頼る事を躊躇うなよ? ナツは俺にとっても恩人なんだ♪ だから・・・必ず幸せになって貰いたい。」
「はい・・・」
撫でられていた龍徳の手を取って自分の頬に持って行き幸せそうに目を閉じた。
その光景をキッチンから見ていたレイナは・・・
『うぅ~! 何か良い雰囲気になってる・・・これ以上ナツさんを刺激したくないなぁ・・・』
以前、レイナから言われて龍徳の事について話した事があったが、恋愛経験のないナツは龍徳への想いを気が付かないでいた。
そんなナツを見て敵に塩を送る真似をしてしまうレイナであったが、ナツの答えは小人の国を守る使命があるとと言われてしまった。
それから1年が過ぎ、龍徳との距離が近くなったレイナだったが、龍徳とナツの遣り取りを見るとヤキモキしてしまう。
それは、以前世界中を旅している時にナツの事を龍徳と話した事があるからだ。
「ナツ達・・・大丈夫でしょうか?」
「ああ・・・まだ大丈夫だろう。とは言っても油断はできないがな・・・だから・・・今、出来る事をやっておかないとな♪」
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