小さな小さな 大冒険!138
「ひょぉ?」
その爆発に周囲の全てが飲み込まれていく。
「あの馬鹿!・・・私がいる事忘れてるんじゃないでしょうね!」
っと訓練を見ていたレイナが慌てて防御結界を強化する。
「今のは避け切れなかっただろう!!」
そして、爆発の煙が消えていくと
「な・何なのだその姿は・・・」
ソーマの目に映るは龍聖の四属性融合魔法の“龍聖王”の姿であった。
「フッフッフ♪ ボクの真の姿を・・・何だっけ?」
「バカ!散々打ち合わせしただろう!」
「龍聖様♪ 私の言葉の後に続いて下さいませ♪」
「有難う♪ソヨ♪」
「行きますわよ♪ 真の姿を見たからには」
「真の姿を見たからには!!」
「君は敗北の2文字を知るだろう! ですわ♪」
「君は敗北の2文字を知るだろう! ですわ♪」
「バカ!ですわはいらねえんだよ!」
「テヘ♪ 僕には難しいなぁ~♪」
ソーマがどこから突っ込んで良いのか絶句してしまう。
「グルル・・・まあ良いだろう・・・なんにしても・・・それが龍聖殿の真の姿と言う訳だな!」
「フッフッフ♪ それはどうかな!」
「グルル・・・油断大敵だ!」
「ん? んん~~!!」
地面から忍び寄っていた炎が龍聖の両手足を一瞬で縛り上げ拘束した。
「グルル・・・!前回のお返しだ!!」
そう言って龍聖の近くまで一気に間合いを詰めると
「喰らえ!! ドラゴンブレス!!」
超至近距離からの高密度に圧縮された炎の魔力が龍聖を飲み込む。
「グロロロロ・・・勝った・・・吾が勝った・・・とうとう勝ったぞ~!!」
っと大人げなく騒ぎまくる。
それを見ていたレイナがポツリとつぶやいた。
「バカね・・・魔力探知と生命探知を常に使えって龍徳さんから言われていたの忘れているわね・・・って・・・言っている傍から・・・」
レイナの言葉通りこのソーマの必殺のタイミングでさえ龍聖はダメージを追っていなかったのだ。
先程のソーマが放ったドラゴンブレスの瞬間、龍聖のオリジナルパッシブスキルの一つ≪知覚認識速度1万倍≫が発動した。
このスキルは精霊達が、龍聖の危機だと思った瞬間に発動するのだが、龍聖に惚れ込んでいる雷の精霊ソヨは、過保護である為、ちょっとした事で発動してしまうのだ。
龍徳は知る由もないのだが、龍聖の異常な速度での魔法発動の正体でもあった。
その為、ソーマがドラゴンブレスを放とうと口を開いた瞬間、前方に氷と雷の精霊が障壁を作りだしていたのだ。
この障壁は超伝導と同じ仕組みでありソーマのブレスを切り裂き後方に反らしていたのだった。
これは、龍聖王の状態でなくとも同じ事が出来たのだろうが、龍聖王の状態は、常に最大出力で、全属性の精霊を身に纏っている為、全ての攻防に最適な魔法が発動するのだ。
その為、光の大精霊マッチにより通常の結界とは別に光の防護壁が構築され一切の熱を通す事がなかった。
龍聖の周囲をドラゴンブレスが包み込んでいる中、龍聖がいる空間だけは何の影響も受ける事がなくソーマによって縛られていた炎の鎖を氷の大精霊ゼリーが、全てを凍らせていた。
この全ての流れは実際には精霊達と龍聖の間に会話が存在するのだが、知覚の認識速度が1万倍とは、0.01秒の間に100秒も会話が出来ると言う事だ。
言いかえれば時速1万㎞の速度が、時速1㎞に感じると言い換えても良いだろう。
なので、実際は・・・
「はっ!危険ですわ!」
っとパッシブスキル知確認識速度1万倍が作動。
この瞬間、ソーマが龍聖に向かいながら口にドラゴンブレスのエネルギーが収束し始めていた。
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