小さな小さな 大冒険!132
「も・もう一つは・・・」
「それは、ナツの精霊が最低でも1体・・・恐らく2体は消えるだろう覚悟だ。」
「私の精霊が・・・消える・・・」
その言葉に絶句してしまう。
『何を悩んでいるのナターシャ!・・・我が身を考えている場合ではないのです!!』
光りを失ったかのような目で俯いたのは一瞬。
「かまいません!!龍徳様!どうかお願いです!私を鍛えて下さいまし!!」
そう言って顔を上げたナツの目には強い意志が宿っていた。
「分かった・・・」
そして、ソーマとレイナ、さらに龍聖に話を伝えると心配そうにレイナが話しかけて来た。
「部長・・・本気ですか?」
「ああ・・・ナツの想いを組んでやろうと思う」
たったその言葉にいくつもの想いが含まれている事が分かってしまう。
『私がナツと同じ立場だったら・・・そうだよね・・・龍徳さんは、それが分かったから決めたんだ・・・』
「分かりました・・・」
そう言って頷くとナツを見つめた。
「ナツ!ちゃっちゃと強くなって来なさいな! あんたが弱いと張り合いがないのよね!」
「クス・・・ええ! 必ず強くなってきます!」
「24時間後にまた会いましょう!」
これは、龍徳が話したナツの修行時間。
「ええ♪ では・・・龍徳様!宜しくお願い致します。」
「龍聖・・・レイナ君とソーマといっぱい遊んでやってな♪」
「うん♪ ソーマ君とレイナちゃんといっぱい遊んでもらうからボク大丈夫だよ♪」
それが聞こえたソーマが小声で・・・
「グルル・・・吾・・・本気なのだが・・・」
ポツリと零した言葉が聞こえてしまったレイナがソーマの方を叩いて慰めていた。
「頑張れ!ソーマ!」
そして、龍徳とナツは場所を無人島の中央に作った修練場へと移動すると今後の決まりごとについて話し合った。
「これから行うのは、さっきも言ったが拷問だ。ハッキリ言ってやると決めたら俺は心を鬼にしてでもやり続けなければならない。」
「はい。」
「これから、注ぐ魔力量は今までの10倍の速度と10倍の量になるだろう。」
それを聞いてゾクッと寒気がナツを襲う。
快楽も度を超えれば地獄の苦しみである事は想像に容易い。
「ナツは俺が流し込む魔力を制御して抑え込む事を忘れるな! 流し込まれた俺の魔力を強引に圧縮して命と融合させ、蓄える作業を24時間続けてもらう!」
「ゴクリ・・・分かりました・・・」
「精霊の話は、それが無事終了してからでないと不可能だろうから今は気にするな・・・」
「はい。」
いつとなく真剣な表情と口ぶりが空気を重くしていく。
「では・・・覚悟は良いか?」
「はい!お願い致します!」
その言葉を聞いて、龍徳の異次元収納からコテージを取り出すと頑強な結界を張って中に入った。
そして、ベッドではなく床に布団を敷くとナツを横たわらせてデコとお腹に手を添えた。
『これは・・・俺も魔力タンクを開放しないと不可能だろうな・・・』
元から天井知らずの魔力量を誇る龍徳が、長旅の間に以前の5倍以上の魔力量を誇る様になった。
常に回復し続ける魔力をどうにか蓄える事が出来ないかと考えた結果、異次元収納に自分の魔力を蓄える方法に行きついた。
それを龍徳は魔力タンクと総称しているのだが、それを開かなくとも通常戦闘であれば龍徳の魔力が枯渇する事など有り得ない。
だが、今から龍徳が行うのは通常の魔力供給の10倍の量を絶えず注ぎ続けると同時に24時間パーフェクトヒールを結界内に発動させると言うムチャなものであった。
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