小さな小さな 大冒険！124
「グルル・・・それは言い過ぎだ！」
「はっ・・・後で戦わせても良いが・・・俺と違ってレイナ君は手加減できない・・・良くて戦線離脱・・・恐らく死ぬ事になるが・・・それでも良いのか？」
「バカな・・・いくら何でも・・・」
「先に言っておくが・・・今のレイナ君なら・・・お前に放ったパンチ程度で吹き飛ばんからな？」
「なっ・・・」
その言葉が嘘ではないと龍徳の目が語っている。
「おい・・・俺が分からないとでも思っているのか？」
「な・何の事だ！？」
「いたんだろう？ 敵に古竜が！」
「なっ・・・何故それを・・・」
「1年前・・・お前が言っていた古竜の巣・・・そこにいたはずの龍の姿がないとなれば答えは簡単だ。アストゥーの配下が隷属させているのは想像に容易い。そうなれば青竜へと戻るのに時間がかかる事も予想済みだ！ソーマを失った奴の考える事など手に取る様に分かるが？ お前はそんな事も分からんのか？」
「返す言葉が無い・・・」
「当然・・・龍の素材が手に入れば大量の陰邪石を錬成し化け物を率いてレインベールを襲うであろう事も予想通り・・・だが・・・古の魔物とまでは予想していなかったがな・・・」
「相変わらず・・・貴様の頭はどうなっておるのだ・・・だが・・・だったら何故レインベールに来なかったのだ！」
「悪いが、俺の一番大事な事は龍聖の幸せだ。お前等の世界とは違いこちらにも都合がある。まぁ・・・そうは言っても予想以上にアストゥーの動きが早かった事は否めないな・・・」
っと2人の会話にナツが口を挟む・・・
「アストゥーには未来視がありますから・・・それは龍徳様のせいではありません・・・ですが・・・先程の古竜とはいったい？」
そして、簡単に古竜の存在についてナツに話して聞かせた。
「そんな事があったのですか・・・」
「悪いなナツ。確信がある情報ではないから無暗に不安を煽りたくなかったからソーマには口止めをさせていた。もし違えば、そう簡単に攻め入って来ないと思っていた。」
「そうは言ってもお主の事だから古竜がアストゥーの手に渡っていたと予想して動いておったのだろう？」
「何でそう思った？」
「グルル・・・なに・・・簡単な事よ・・・それ程の強さを身に付けている理由は・・・そう言う事なのだろうが！」
「まあな・・・巨人の世界でアストゥー達を探すには無理があったからな・・・だから、何かあっても大丈夫な様に俺達は修行を続けていたんだが・・・まさかお前達とこれ程の実力の差が出てしまうとは思わなかった・・・」
それを聞いてナツとソーマが俯いて言葉が出ない。
「ハッキリ言うぞ・・・今すぐ小人の国へ向かったところで、ナツとソーマがいれば俺達も本気で戦う事が出来ない・・・だから問おう！ お前達はどうしたい？ 今から10日間死に物狂いで俺の修行を受けてから向かうか！それとも待っているか！ 今すぐ選べ！時間はないぞ！」
そう言われても残してきたレインベールの民が心配だ。
だが、龍徳の言っている事も分かってしまう。
たかが10体程度の巨大な魔物と戦うだけで、ギリギリだったのにその10倍以上の戦力で攻め込まれているのだ。
間違いなく力尽きて倒れてしまう。
それだけならまだ良いが、敵に摑まってしまえば、龍徳が戦えなくなってしまう。
それが、分かっているからこそ龍徳が足手纏いだとハッキリ言ったのだ。
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