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ステータス

◇◆◇


 次の日の昼、俺は庭で母さんと向かいあっていた。


「まずはあなたがどこまで魔法のことを知っているかを教えて貰おうかしら」

「うん」


 今までに知り得た魔力の鍛え方や、魔法の種類などを伝えた。


「なるほど、絵本やクロードから得た知識かしら。では少し知識の補足をしましょうか」


 まあ、その二つからしか学ぶところがなかったからな。所詮は子供の浅知恵だろう。


「まずは属性魔法の種類分けについて。属性魔法にはⅠ型魔法、Ⅱ型魔法、Ⅲ型魔法という三つのランクに分けられるわ。Ⅰ型魔法は属性魔法を魔力から生成し、形作ったもの。Ⅱ型魔法は形成した魔法を長時間維持するもの。Ⅲ型魔法は属性魔法を一段階上の性質へと変化させたもの。これらの三つは数字が増えるごとにその難易度も上がってくわ」


 Ⅰ型とⅡ型に関してはなんとなくわかる。しかし、Ⅲ型魔法の性質を変化させるとはどういうことだろうか。


「性質を変化させるとどうなるの?」

「火属性は蒼炎に、水属性は氷に、土属性は鉱物に、風属性は爆風へと変化するの。Ⅲ型魔法を習得することで魔法のバリエーションは格段に増えるわ」


 それぞれの属性魔法がより強いものに進化する、みたいな感じなのかな。


「次に召喚魔法に関してね。召喚魔法では最初に自分の魔力を大きく消費して召喚獣を創り出す。一度創ってしまえば常に一緒に行動するか、特別な道具に仕舞っておくのどちらかよ。ほとんどの人は常に一緒に行動しているわね。召喚獣は所有者の魔力量とともに成長していくから、いつ召喚獣を創り出しても問題はないわ」


 いつ創り出しても問題ないなら、魔法が使えるようになったらすぐに召喚してみたいな。


「最後に魔法の基礎。魔力をどうしたら魔法へと変換することができるのかについて。これに一番大切なのは魔法に対する『イメージ』よ」

「イメージ?」

「そう、体内の魔力をその属性の魔法へと変化させるイメージを強く持つこと。そして、その魔力を体内から外へ放出する瞬間に、魔法を構成している最も小さな粒へと変化させ、その粒を集め形作ることで魔法を発現させるのよ」


 魔力を魔法を形作る最小単位の粒に変化させて集める、か。分子や原子みたいな考え方だと思うと、なんとなくだがイメージはつく。


「それじゃあ、魔法を発動する前に魔力量を確認しましょう」

「どうやって?」

「『ステータスオープン』と念じてみて。自分のステータスが脳内に浮かんでくるわ」


 ステータスか。小説や漫画みたいにこの世界にもそういう魔法が存在するのだな。


 ステータスオープン


【ステータス】

【名前】ヴォルター・クルーガー

【職業】

【称号】神に愛されしもの

【魔力】1080

【体力】50


 おお、出てきた。

 頭の中に自分に関しての情報が浮かんでくる。


「どういう仕組なの?」

「詳しいことは解明されていないわ。けれど一般的には神様の恩恵と言われているわね」


 神様の恩恵か。まあ、世界中の人間の情報を把握することなんて神様にしかできない芸当だよな。


「魔力量はいくつ?」

「1080みたい」


 単位みたいなのはないのかな?


「1080!……予想していたよりも多いわね。魔導士と呼ばれる人は最低でも1500程よ」


 1500で最低限の量か。この二年間の修行の成果はだいぶ大きいみたいだな。


「母さんの魔力量はどのくらいなの?」

「たしか、54000ほどね」


 ……さすが一級冒険者、桁違いだ。

 ん、ここの称号に書いてある『神に愛されしもの』ってなんだろう。神様って俺が会ったあの神様だよな?


「称号のところの、『神に愛されしもの』ってなに?」

「え、……か、神に愛されしもの!?本当にそう書かれているの?」

「う、うん」


 母さんは驚き、何かを考え込み始めてしまった。よほど珍しいものなのかな。


「……なるほど、そういうことね」


 なにか納得したようだが、何がなるほどなんだ。


「『神に愛されしもの』は文字通り、この世界を創造したと言われる『アラフ様』の寵愛を受けた者が得られる称号よ。その効果は状態異常無効、さらに魔力や体力の成長速度が格段に上がると言われているわ」


 アラフ様?世界を創造したって、俺が会った神様の名前かな。

 それに状態異常無効か。もしかして、神様にお願いした丈夫な体ってこれのことか?


「珍しい称号なの?」

「そうね、実際に持っている人に会ったことは無いけれど、特級冒険者の何人かが持っているって聞いたことがあるわ。世界にもそう多くはいないはずよ」


 世界にもって、かなりレアじゃないか!そんなの俺にくれてよかったのかな。


「……あまり周りの人には言わないほうがいいかもしれないわね」

「え、どうして?」

「この称号を持つ人はただでさえ貴重なの。誰が何を考えるかわからないわ」


 確かに、それほど珍しい称号を持つ人間を放っておくわけがないか。変な厄介ごとに巻き込まれかねない。


「あと、この称号は面倒事に見舞われやすくなる効果もあるって噂もあるわね」


 ……なんだその効果、すごくいらない。


「わかった、気をつけるね」

「これでヴォルの魔力量の成長にも納得がいったわね」


 ああ、人より成長速度が高いと言うなら修行のやる気も上がるってものだ。


「それでは早速、魔法発動の修行を始めましょうか」

「うん!」

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