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魔力と魔法

「それではヴォルター様、魔法についての話を始めましょうか」

「うん!」

「それでは絵本の内容に少し加えて話しましょう。まず、魔法の種類についてですが属性魔法四つと回復魔法、それに召喚魔法ですが人にはそれぞれの得意魔法がございます。魔導士全てが同じ魔法練度まで到達することはできません。得意属性によっては属性魔法では威力が、回復魔法では回復量が、召喚魔法では召喚獣の強さが異なって参ります」


 へぇ、得意魔法か。俺の得意魔法ってなんだろう。


「どうやったら、わかるの?」

「得意魔法でございますかな?それは経験則ですな。魔法の習得のしやすさや、他の魔法よりも力が高いものをその者の得意魔法とします」


 なんだ、魔法があるのにそこは意外と現実的な調べ方だな。一発で分かる魔法道具のようなものがあると思ったんだが。


「そうですね、あとは召喚魔法についてですが、魔法を使えるものなら必ず使うことのできる魔法であり、その使用者によって見た目が異なります。戦う際には魔法発動までの時間を稼ぐために使われることが多いですね」


 なるほど、魔法使いにとっての相棒か。俺の召喚獣はどんなやつになるんだろうか。


 その後も俺はクロードから魔法についての色々なことを聞いた。その中でも重要そうな情報としては、魔力は使えば使うほどその最大量は多くなっていくが、体の成長のピークとともに魔力の成長も止まってしまうこと。魔力を使い切ってしまうと魔力欠乏となり、体がだるくなりめまいや立ちくらみなど、貧血に似た症状が出ること。

 小説や漫画からなんとなく想像していた魔法像と似ている感じだった。


「まりょくって、どうやってつかうの?」


 俺は一番知りたかったことを直球で聞いてみることにした。


「魔力をどうやって自覚し、扱うかということですかな?魔法使いが最初に魔力を自覚するのには三つの方法があるとされています。一つ目は師匠から魔力を体に流してもらうことで感覚を掴むこと。これはほとんどの魔法使いが用いる方法ですね」


 師匠か。こんな一歳児の師匠となってくれるような物好きなんかいないよなぁ。


「二つ目は魔法を受けること。魔法を直接体に食らうことで、稀にではありますが魔力を自覚することがあると言われております。あまりに危険な方法ですので、自ら進んで行う人はほとんどいません。戦いの中で魔物の魔法を受け、偶然にも使えるようになったという方はたまにいらっしゃいますが」


 魔法を受けることで、か。この体でそんな事したら一発アウトだな。というか魔物も魔法を使うのか、一応覚えておこう。


「最後の方法は己のみで自覚することです。この方法は時間がかかる上に、才能の低いものはどれだけ時間をかけようと自覚することはない、と言われています。瞑想をすることで自分の体に意識を向け、体内に流れている魔力を感じる。目に見えないものをきっかけもなしに見つける、その難しさからよほどの物好きでなければこの方法は使いません」


 自分でか。時間はかかりそうだが、今の俺にできる方法はこれしか無さそうだ。どうせ暇なんだ、やるだけやってみよう。


「そうして自覚した魔力ですが、いきなり魔法へと変換して発動することはできません。最初はただ体の外へと放出することで魔力を消費し、保有する魔力量を増やします。また、魔力を意識的に動かすことで魔力操作の練度を高めます」


 なるほど、いきなり魔法ぶっぱなんてことはできないらしい。その程度のことなら死ぬこともなさそうだし、早速今日から始めてみるか。


「さすがに難しいすぎる話でしたかな」

「ううん、ありがとう!」

「ほほ、さすがヴォルター様。将来は優秀な魔導士となるやもしれませぬな」


 クロードから見たら将来有望な子供に見えるのだろうが、ただ前世のおかげで精神年齢が高いってだけだ。優秀になれるかどうかはこれからの努力次第だろうな。まあクロードも期待してくれているみたいだし、頑張ってみるか。


「なんだ、魔法の話か?」


 食後の運動と言って外へ行っていたローベルトが、いつの間にか家に戻って来ていた。


「はい、どうやらヴォルター様は絵本の内容では満足がいかないようでして」

「ほう!ヴォルお前、賢いんだな!」


 ローベルトが頭をガシガシとなでてくる。


 前世の父さんは剣道以外であまり褒めてくれるようなことはなかった。だからかこうやってちょっとしたことでも褒めてくれるのは、なんだかむず痒い。


「でも、剣のほうが強いし面白いぞ~」


 やっぱりローベルトは俺に剣の道を進ませたいらしい。そこは前世の父さんと同じだな。

 ローベルトに前世の父親の影が重なり、なんだか懐かしいような気分になる。

 まあ、もう少し体がでっかくなるまで待っていておくれ。


「しかし、魔法のことならクロードよりも母さんに聞いたほうがいいんじゃないか?」


 え、ラウラは魔導士だったのか?


「そうでございますね。私などは少しかじっていた程度ですので」

「まあ、さすがに魔法の修行をするのはもう少し大きくなってからって言うだろうがな」


 師匠になってもらえるかと思ったが、そりゃそうか。けれど身近に魔導士がいたっていうのは運がいい。魔力がしっかり扱えるようになったら、ラウラに修行をつけてもらえるようにお願いしてみるか。なんにしても今は一人で頑張るしかないな。

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