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新たな人生

「おぎゃぁ、おぎゃぁ」

「ラウラ!よくやった、本当によくやった!」


 なぜだか泣くのが止まらない。転生がうまく行って赤ちゃんになったってことなのかな。

 視界がぼやけてよく見えないが、これが赤ちゃんの目線なのか。


「あなた、この子の名前は決まった?」

「ああ、この子はヴォルター。ヴォルター・クルーガーだ」


 俺の両親か?異世界だっていうのに日本語で話してるが、神様がなにかしてくれたのかな。

 ヴォルターか、かっこいい名前だな。無事転生できたことだし、二度目の人生楽しもうか。


 意識はあってもやはり体は赤ん坊なのか、桐生剣人改め、ヴォルター・クルーガーは眠気に勝てずそのまま眠りについた。


◇◆◇


「ヴォル、ご飯の時間よ」

「あぅー」


 転生して三ヶ月ほどたったかな。目は見えるようになったが、まだ話すことはできない。

 俺を抱き上げてる、透き通るような肌に純白の髪をしたこのきれいな人が母親、ラウラ・クルーガー。さすが異世界というべきか、こんな美しい人が存在するのか。


 ラウラはヴォルを抱き上げて、母乳を与えている。


 まだ乳離れはできてないが、赤ん坊の体が精神にまで影響しているのかそこまで変な気持ちにはならない。


「ローベルト!あなたも早くご飯を食べて」


 家の中にいるラウラは庭で一心不乱に剣を振っている父親、ローベルト・クルーガーに呼びかける。


「ああ!今戻るよ」


 庭にいたローベルトは剣を片付けて家の中へと戻ってくる。


 それにしても広い庭だよな。だいぶ田舎に住んでるみたいだけど、それなりのお金持ちのように見える。しかし、この二人が働いているようなところは見たことが無い。言葉が話せるよになったら色々聞いてみるかな。


「ローベルト様、足元にお気をつけください」

「ああ、ありがとう」


 この執事服を来ている白髪白髭の、ザ・執事って感じの男はクロード・ウェンデル。見た目からして年齢は五十ほどかな。どうやらこの家に仕えているみたいだ。田舎に住んでいるのに執事がいる。やっぱお金持ちではあるのだろうか?


 ローベルトは椅子に座り、クロードの用意した昼飯を食べ始める。

 

「やっぱクロードの飯はうまいな」

「はは、恐縮でございます」


 ローベルトは黒髪のムキムキ、まさに歴戦の戦士のような見た目をしているが、目が見えないらしい。何かの事故で視力を失ったのか、常に両目を閉じている。

 いつも剣を振っている姿からして結構な熟練者のようだから、目を怪我したことで隠居しているのかな?それにしてもこっちの親も剣を使うなんて、神様がそういうふうに配慮してくれたのかな。


「クロード、午後はちょっと相手をしてくれ」

「かしこまりました」


 クロードも剣を使えるが、ローベルトに勝っているところは見たことがない。目が見えないのに強いってのは全盛期はどれほどのものだったのだろうか。


「ヴォルはお昼寝でもしましょうか」


 赤ん坊なのだから当たり前だが乳を飲んで、寝ての繰り返しをする毎日は流石に飽きてしまった。とは言っても、歩くことも話すこともできない状態では何もできないよな。

 せめて神様の言っていた。魔法ってものが使えるようになったらこの体でもなにかできるようにはなると思うんだが……。

 ま、成長するまで気長に待ってみますか。


 ヴォルはそのままラウラの腕の中で眠りについた。

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