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理と異邦の剣士  作者: いろは
6/18

6.盗賊

「ハッ!」


 掛け声とともに優は一息にゴブリンを斬り伏せた。


(今日は魔物が少ない…?)


 いつもより魔物の数が少ない事に優は気づいた。


(どうする…。気になるしもっと奥に行ってみるか)


 優は何かあったら、魔闘技と流魔を全力で逃げれば良いかと考え、森の奥へ行く事を決意した。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


(魔物の死体が多い…。しかも、部位証明を切り取って無いって事は冒険者じゃないのか?)


 何故優が他の魔物の仕業では無く、人がやったと決めつけたのは食い荒らされてなく、死体の切り傷が鋭利な刃物で首を裂かれていたり、心臓を貫かれていた事から剣でトドメを刺していたからと考えたからである。これが、魔物の仕業だったら確実に食い荒らす跡がある。魔物は魔力を持っている人や魔物が好物だから仕留めて喰わないという事はあり得ないから優は人の仕業だと考えた。


(…。ボーグ達以外にこんなところまで来る奴なんてあの村に居たか?)


 優は魔闘技と流魔を併用して使っているが、その2つより周囲に糸状の魔力を張り巡す事に力を割いてより周囲を警戒して進んでいた。


 歩るいて数分、少し離れた場所で人の気配を感知した。

 そこには身なりが汚い2人の人がいてザ・盗賊という風貌をしていた。気付かれないように慎重に近づき、木を陰にして様子を伺った。


「おい、見つかったか?」


「いや、まだだ」


「くそっ!本当にアイツが言ってた洞窟なんてあるのかよ!」


「さぁな。俺は元々あんまり信じてなかったけどな。昔、盗賊が使ってた洞窟が魔物に襲われて溜め込んだ宝が残ってるって話なんて。」


「女やガキを売った金ももうすぐ尽きる。この話に賭けるしかねぇぞ」


「尽きたらまた拐えば良いさ。幸いこの森の近くに村があるし、近くに小屋があった。村から離れてるって事はそこにもある程度金もあるだろ」


「そうだな。取り敢えずアイツのところに戻るか」


「あぁ」


 2人の盗賊は話し終わると歩いて行った。


(コイツら盗賊か…あんな村の奴らなんて…どうでも良いけど、おばあちゃんに手を出すなら、放置出来ないぞ…どうする)


 チラッと優は歩いて行った2人の盗賊を見た。2人は周囲を警戒してないのか、呑気に笑いながら歩いていた。

 ゴクリと唾を飲み込み、激しくなった動悸を抑える為、胸を手で押さえて深呼吸した。


「スゥー、ハァー……よし」


(俺は冷静だ。アイツらは盗賊。人に害しかならない奴らだ、対処しないとおばあちゃんが襲われるかもしれない。おばあちゃんは俺が守らないと…)


 優は一旦、目を瞑り一呼吸して目を開けた。その左目は紅く輝いていた。


 魔闘技と流魔を魔力を注ぎ込み、左手に電気を貯めて一気に盗賊に接近した。


「閃光」


 左手に溜めたていた電気を解き放ち眩い光を出した。


「な、何だっ!?」


「ぐあつ!目がっ!?」


 突然の事で盗賊達は全く反応出来ずにまともに光を目に浴びて怯んだ。


 そのまま鞘に入ったまま片方の盗賊の側頭部を叩きつけた。

 そのまま首を掴み微弱な電気を流して気絶させた。


「ガッ!?」


「グサガ!?どうし…ブガッ!?」


 残った片割れのお腹を突き、足を引っ掛け膝を突かせて剣を抜き、後ろから首にあてた。


「喋るな」


「ゲホッ、ウエッ!」


「死にたくなければ、このまま残りの仲間とすぐにこの森から出て行け。分ったならそいつを連れて早く行け」


 勿論、優は殺す気なんて全く無く、ただの脅しだ。


「へっ、甘ちゃんが。死にたくなければじゃなくて殺したくないんだろ」


「…」


「グサガも殺してないだろ?普通だったら盗賊なんて問答無用で気絶じゃなくて殺してる」


「違う!ただの気まぐれだっ!」


「その割には剣が震えてるぜ」


「ッ!」


 盗賊はククッと笑い、首に剣をあてらたまま立ち上がった。


「分ったよ。アイツと残りの仲間も連れてすぐにこの森から出てくよ」


「待て。武器と防具を置いてけ。お前とそこの奴のまだ」


「あいよ」


 盗賊は自分と仲間の装備を置いて気絶した仲間を担ぎ歩いて行った。


「ククッ。お前はきっと後悔する。その甘さが何処かで必ず返ってくるぜ」


「早く俺の前から居なくなれ!」


 優は盗賊の言葉にイラつきながら見えなくなるまでその場にいた。





■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 今日はもう魔物を狩る気が無く、盗賊の装備を持ち帰った。装備は少し家の離れた場所に隠した。




「今日も行くのかい?何だか今日は嫌な感じがするよ…」


「うん。住まわせてもらってる分、頑張らないとね」


「私は一緒に住めるだけでいいのに…」



 今日はどんよりとした空で今にも雨が降りそうな感じがした。


(何か、妙にゾワゾワする…)


 優は魔物を倒しながら、奇妙な感覚に戸惑っていた。


(ある程度狩ったし、ギルドに行くか)


 ただの偶然であった。

 レント村に向かおうとして偶々、小屋の方角の方を見たら煙が上がっていた。


「は?」


 考える間も無く、優の足はトルネラが居る小屋へと向かった。

 魔闘技と流魔を全力で使って走った。


「ギギッ!」


「ギャッ!」


 走りながら飛び掛かってくるゴブリンを剣で斬り伏せ、魔力糸で感知して離れたところにいるゴブリンに気付かれる前に魔法で倒した。


 倒したゴブリンに目もくれず全力で走った。


(くそっ!魔物が邪魔くさい!)


 ポツポツと小屋へと向かってる途中、雨が降ってきた。

 そして、小屋へと辿り着いた。


「ハア、ハア…何で…」


 そこは優とトルネラが住んでた小屋がゴウ、ゴウと勢いよく燃え盛っていた。



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