10.トーラムの街
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トーラムへと出発して2日目にしてついにトーラムの街が見えて来た。
トーラムは元々バルバラ大森林に住む魔物のスタンピードから対処する為に造られた街である為、大きな壁に囲まれていた。
バルバラ大森林はランクが低い魔物から奥地に入るほど魔物のランクが上がる為、冒険者もランクが低い者から高い者がこの街を拠点とする冒険者が多い。
だか、高ランクの冒険者はトーラムの冒険者ギルドではなく、バルバラ大森林の中にある野営地にある冒険者ギルドにいることが多い。
これはいつスタンピードが起こっても対処できる様にあらかじめ高ランクの冒険者を滞在させておく事で被害を最小限に抑える為だという。この野営地てクエストを受ける事が出来るのはCランクから受ける事が出来る。但し、トーラムのギルドマスターから許可が下りればDランクからでもクエストが受けれる。
トーラムに着くまでまでの間にトーラムの冒険者の事をガラムから話を聞いていた。
「見えて来ましたね」
「そうですね、我々は馬車で来てるからあの検問のところでユウ君達とお別れですね」
「えーっ!もー、お兄ちゃんと別れるの!?もっと一緒にいたい!!」
「ははは、随分とマリネも懐いたね」
「ははは…」
「そうだ!お兄ちゃん、パパ達のところで働こうよ!!そしたら、いつでも一緒にいられるし!」
「えっと、」
「こら、マリネ。あまりユウ君を困らせたらダメよ。ユウ君は冒険者さんなんだら」
「うー、だって!」
「ユウ君。ウチは冒険者向けのお店だから、いつでも来て下さいね。サービスしますから」
「はい!ありがとうございます!」
そんな会話していると遂にトーラムの検問のところまで着いた。
優は検問の前で降ろしてもらい、ムートとタタリと一緒に街に入ることになった。
ガラム達は優達にお礼を言い、先に馬車専門の検問の方に行き、街の中に入っていった。
検問の列に並んでいると多種多様な種族が並んでいたい優は落ち着かない様子で辺りを見渡していた。
獣の耳と尻尾を生やしている獣人族、小さいながらも筋骨隆々な地底人族のドワーフがいて、ついついジッと見ていたが、ムートとタタリの視線に気づいて、恥ずかしそうに頬をかいた。
「あはは…」
「あんなに強いのに、やっぱりユウは子供なのね」
「そう言えば、ユウは森にずっと居たって言ってたな。人族以外を見るのは初めてか?」
「うん、見たことが無かったよ」
「へー、珍しいもんだな」
「珍しいと言えばユウのその髪と目も珍しいわよね。私、黒髪黒目なんて初めて見たわ」
「ああ、俺もだ」
(言われてみれば、トルネラおばあちゃんもあの村の連中の奴らに黒髪黒目はいなかったな。むしろ金髪や赤髪とか派手な色が多かった)
自分の髪をいじりながら優は今まで会った髪色の事を思い出していた。
そんなやり取りをしてる間に優達の番がやってきた。
鎧で身を包んだ兵士が話しかけてきた。
「身分を証明出来る物はあるか?無いなら紹介状か証明人と銀貨3枚だ」
ムートとタタリはそれぞれ自分の冒険者カードを見せて入る許可を貰った。
「あー、コイツ何だが、身分を証明する物が無いんだな俺が証明人になるが良いか?」
「そうか、わかった。では君コチラに来てくれ」
そう言って兵士は後ろの窓口から紙を取り出して渡してきた。
「これは仮証明書だ。これを見せればこの街に出入り出来る。あと、この街で証明出来る物を作ってこの紙と一緒にここに出せば銀貨3枚戻ってくるから、作っておくと良い」
「わかりました。ありがとうございます
ムートさんもありがとう」
「気にすんなって。あそこでタタリも待ってるし、早く行くか」
「はい!」
優とムートは門をくぐり街へと入っていった。
そして優が物珍しく周囲をジッと見ていた様に優の事を粘ついた視線で見ていた者がいた。優は興奮してその視線に気づかずにいた。
その粘ついた視線の主人は優が消えるまでずっと見つめていた。
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「とりあえず、俺達は依頼とゴブリンの事を報告だな」
「そうね。で、ユウが冒険者登録ね」
「それじゃ、案内がてら冒険者ギルドまで行くか」
「ありがとう、2人とも」
優は2人に冒険者ギルドまで行くまでトーラムの案内をしてもらった。そして、冒険者ギルドまで着いた。
「着いたぞ、ここがトーラムの冒険者ギルドだ」
(これがトーラムの冒険者ギルド…レント村の冒険者ギルドとはえらい違いだなぁ)
ムート達が先に入りその後に続いた。
入ると中にいた冒険者が一斉にコッチに向き視線を向けてきた。
その視線は値踏みされている様で、居心地が悪かった。
「俺達は報告してくるから後は自分で登録してこい」
「わかったよ」
「それじゃあね、ユウ」
優はムート達と別れて受付のところまで向かった。
受付は人族の亜麻色の髪をした少し冷たい印象をした美人な女性だった。
優が近づくと、
「ようこそ、トーラムの冒険者ギルドへ。何か御用でしょうか」
「あの、冒険者登録をしたいんですけど、良いですか?」
「失礼ですが、年齢を聞いてもよろしいですか?規定で15歳以上でなければ登録が出来ませんので」
「はい、17です」
年齢を聞いて受付嬢は驚いた様に少しの間固まった。
「?どうしました」
「いえ、予想と違っていたので…ではコチラ紙に記入してもらって良いですか。代筆はどうしますか?」
「あ、自分で書けるので大丈夫です」
紙には名前・種族・戦闘スタイル・使える魔法の属性の項目があった。
名前はユウ・ユズリハと書き、種族は人族、戦闘スタイルは剣と格闘の近接と書いた。
使える魔法は空欄にした。トルネラからは理の属性と言っていて非常に特殊だと言っていたから、目立ちたくない為に書かなかった。
元々、人前ではあまり雷魔法は使わない予定だった。
「書けました」
受付嬢は紙の内容を確認して何か納得した様に頷いた。
「?」
「ありがとうございます。ではカードを作りますので少し血をコチラに垂らしてもらっても良いですか」
そう言って針とお皿を出してきた。
優は人差し指に針を刺して少しお皿に血を垂らした。
「では、少々お待ちください」
受付嬢はお皿を持って奥にある扉の中に入って行った。
少し経つとカードを持った受付嬢が戻ってきた。
「コチラがユウさんの冒険者カードになります。カードは身分証にもなりますので、紛失にはご注意下さい」
カードはランクが上がる事に色が変わるそうだ。
Sランク : 金色
Aランク : 銀色
Bランク : 銅色
Cランク : 青色
Dランク : 赤色
Eランク : 鈍色
Fランク : 白色
となっている。優はFランクだから白色のカードとなっている。
受付嬢から様々な説明を受けた。
クエストは1つ上のランクまでのクエストまで受ける事が出来るが、1つ上のランクのクエストを受ける場合はギルド側が判断してOKだったら、受けれる。
冒険者同士の争いは禁止されており、何かあれば決闘という制度で解決する。
スタンピードが発生した場合はDランク以上の冒険者は強制的に参加する義務がある。これを無視すると冒険者ギルドから登録を抹消されてほの権利が剥奪される。
要約するとこんな感じだった。後はトルネラから説明を受けていたので分かっていた。
「ありがとうございます。えっと…」
「私はアイリスと申します。ユウさんのご活躍を期待しています」
「はい、アイリスさん。よろしくお願いします」
優は最後に頭を下げてお礼を言った。
その事にアイリスは少し驚いた表情を浮かべた。
「アイリスさん?どうし」
何故驚いたのがを聞こうとした瞬間、
「おいおい!!ここはいつからガキの遊び場になったんだっ!?」
後ろからバカにする様な声音で大きな声が聞こえてきた。
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