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広間にて
「いやはや、王宮に引き篭もって社交の場には全く出てこないと聞いていたので、どんな変わり者のなのかと思っていましたが、案外普通の姫でしたな。」
マーフィー公爵が呟く。
「見かけはおっとりしていても、内面は分かりません。なにしろあのフランク王国の姫なのですから。用心するに越したことはありません。」
オブライエン公爵の意見に何人かが相槌をうつ。
「そんなに心配しなくていいんじゃない?普通の可愛らしい姫君じゃない。ちょっとぽっちゃりで僕の好みとは違うけど。」
ハンス皇弟が軽い感じで笑いをとると、ウィルバードが立ち上がった。
「ベル姫が無事に城に到着したのだから上々だ。フランク王国との繋がりはこちらに利益をもたらすことは間違いない。あとはタラサに任せて仕事に戻るぞ。」
頭を下げる公爵たちを後に、ウィルバードは自分の執務室へと姿をけした。