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タリス城にて
「何ですって。王女のドレスは1枚も準備しなくていいですって。それに王女の部屋に厨房を作れなどと。。ありがたいことに持参金に加えて改装の費用まで準備してくださると。いくらフランク王国が栄えているからといっても、こちらを見下しすぎではありませんこと?」
怒りを露わにしているのはここの女官長であるタラサだ。
「まあ良い。所詮は政略結婚なのだから、好きにさせるがいい。我儘が過ぎるようなら私が対処しよう。なぜフランク王国がうちのような小さな国に王女を嫁がせようとするのか。裏がとれるまでは油断するなよ。」
冷たい表情のウィルバード王からは結婚に対する喜びは微塵も感じられない。むしろ面倒事を淡々と処理しているように見受けられる。
タラサが退出した後、結婚の話など忘れたかのように日常の職務に向かうのであった。