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フランク城にて
「ララララー。」
まだ陽が昇る前の薄暗い中、お城の一室から幸せそうな鼻歌と共に、美味しそうな香りが漂ってくる。これはフランク城での日常だ。
「おはよう。」
「おはよー!!まだ眠いよー。」
部屋に入ってきたのは第1王女でこの国の女王であるクララと、第4王女のリリアーネだ。
「おはよう。今日もいい天気になりそうよ。」
2人を迎え入れたのは第3王女のベル。
3人はテーブルに向かうと目を閉じ、指をくんで神に祈りを捧げる。そして、ベルが作った料理を食べ始めた。
「ベル姉様、今日もおいしい。」
嬉しそうにニコニコしているリリアーネ王女は黒髪に長い睫毛、豊かな胸に括れたウエストを持つ絶世の美少女だ。
「本当ね。いつもありがとう。」
クララ女王は銀髪をお団子にまとめたスレンダーな女性だ。
「どういたしまして。たくさん食べてね。」
そう答えるのは茶髪に膨よかな体のベル。
全く似ていない姉妹だが、ただ1つの共通点を持っている。それはエメラルド色の瞳だった。これは代々フランク王家の直系のみが受け継いできた。もう1人、この瞳を持つ者がいるのだが、この場には現れていない。
食事が終わった頃には太陽が昇り、暖かい朝日が部屋の窓から降り注いでいる。ベルは温かいハーブティーを入れて、その香りを楽しんでいた。
「ベル、あなたの結婚が決まったわ。」
クララ女王の声を聞くまでは。