冥庵界へようこそ!(1)
腕試しの投稿です、
続きを製作するつもりはないので
ご注意ください。
あやかし、もののけ、怪異…
ここ、冥庵界にはそういった<マガイモノ>達が
思い思いに暮らしています。
冥庵界というのは、
天国と地獄の境目、死者の魂では寄り付けない
結界の中にある世界。
入口となる紅く大きな鳥居を越えたその先の風景は…
毎年紅葉が山を紅く染め、そこら中の建物は
風情あふれる木造建築、ここの名物と言われれば
観覧車ほどの大きさがある巨大水車でしょうか。
まぁ、古き良き日本の風景が取り囲む
村くらいの小さな一つの世界…
それが、冥庵界なんです。
私はと言いますと、
冥庵界一を誇る<モノノフ銭湯>
なんていう名前の、風呂屋の主人をやってます。
毎日毎日、色んなマガイモノのお客さん達が
押し寄せるくらいの人気でして、
これがもう、一日中働きっぱなしなんです。
…えー、私の話はこれくらいにして、
今から皆さんにお聞かせする話は、
20年前にこの世界に訪れた、一人の人間のお話です。
あれは丁度、私がまだ、
店の主人にはまだなっていない30の頃のことでした、
その日は確か…
よく晴れた天気の、たいへん気持ちのいい
土曜日だったと思います。
休日の日は私、休みでしてね、
午前中から庭で子供達とお手玉なんてして、
遊んでたんです。
三人子供がいまして、
一番上が[たくと]
二番目が[ゆめ]
三番目が[かいと]っていう名前なんですが、
…………と、
ああ、わかってます、
冥庵界に来た人間の話ですよね、
ええ、わかってますとも、申し訳ない。
では、改めてまして、
…まぁ、その日
この冥庵界をおさめる<天龍>様と呼ばれる
神様がいるのですが、
その方が、一人の少年を結界の外の世界から
連れて来られたのです。
名前は確か、[みらい]…
今でも彼が来た日はハッキリ覚えています、
なんせ初めてでしたからね、
天龍様が<人の子>を冥庵界に招き入れるなんて事は
…冥庵界は、普通ならば人の魂は
結界に弾かれ入ってこれないのです、
マガイモノ達の住む場所ですからね、
よそ者を入れる訳にはいかないのです…
その事ともう一つ、
ハッキリ覚えている理由が、彼の身なりです。
ひどくボロボロでした、
服も泥んこ、破けた部分とか特に目立ちましたね、
それに、顔と身体中がもう傷だらけ、
一体この子に何があったものかと、
鳥肌がたちました。
髪の黒い子供の少年で、
パッと見、大体10〜12才といった見た目でした。
目元とかは前髪で隠れていて、
見えませんでしたが、どうやら日本とは
違う国の子供のようでした。
喋りはしませんでしたが、
なんといいますか、風貌で日本人ではない感じが
したのです。
そして不思議な事に、その少年からは微かにですが、
我々と同じマガイモノの気配が
感じ取れました…
気が向いたら、
新しい小説を投稿しようかと考えています。




